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今どきの住まい・暮らし

2021.07.17

二世帯住宅で仲よし!リビング共用の秘訣は?

二世帯住宅では、リビングを共用することで、世帯同士のコミュニケーションを深めるのに役立ちます。でも反対に、お互い不満を抱えたり、心の壁を生んでしまう場所にもなります。リビングを共用しながら二世帯が仲よく暮らすためには、工夫が必要です。リビング共用の問題とそれを解決するためのプラン例などをご紹介します。

INDEX

リビング共用で心配な問題点

インテリアや家具は、世代で好みも違う

リビングは、家の中でもっともインテリアや家具にこだわりたい空間です。
そのリビングのデザインについて、二世帯間で好みに大きな違いがあると、どちらかが我慢するか、お互いに遠慮してしまい両世帯の好みでもない中途半端な空間になってしまうかも。
リビングは来客を通す場所でもあるので、「住まいの顔」ともいえます。リビングを共用することでインテリアや家具に満足できないことは、避けたいものです。

好みの過ごし方ができなくてくつろげない

リビングは、テレビを視るだけでなく、趣味を楽しんだり、ときにはうたた寝したりと、本来、いろいろな用途で使いたい場所です。時間帯によっては1人でくつろぎたいものですが、二世帯で共用するリビングの場合は、1人になれる機会も少ないでしょう。
好きに物を広げたり、ソファに寝転がってお昼寝することにも遠慮を感じるようでは、せっかくのリビングなのにくつろげない場所になってしまいます。

リビングに居づらいことで生じる家庭内孤立

リビングは来客を招きいれる場所でもありますが、二世帯だと、互いに遠慮して友達を家に呼びにくかったり、たとえ友達を招いたとしても、ほかの家族がリビングに居られなくて自分の部屋に閉じこもってしまうことにも。来客が多いことは楽しいことですが、そのことでもう一方の世帯が窮屈な思いをする結果になっては残念ですね。
特に親世帯が1人の場合は、自分の部屋にこもってしまうと、まさしく孤立することになります。二世帯住宅のよさが無くなってしまうので要注意です。

音・照明・空調など室内環境は世帯別で違いがある

リビングでは、二世帯が仲よく一緒にテレビを視ることも多いでしょう。そんなとき気になるのがテレビの音量です。
子世帯にとって親世帯の音量は大きすぎることもあります。
そのほか、親世帯はリビングで新聞や読書をすることも多く、視力の面で子世帯よりも照明に明るさが必要です。
一方、子世帯は、リビングでテレビや音楽鑑賞などのために、くつろげる間接照明のような照度を好む傾向にあります。
また空調環境は、世代によって体感温度が変わってきますので、二世帯ではリビングが寒すぎたり暑すぎたりでギャップが大きくなることがあります。

対策と工夫で、共用でも快適に暮らせるリビングに!

リビングは面積や形状を工夫したり、「サブリビング」を設けることで、二世帯が、ちょうどいい距離間でコミュニケーションを取ることが可能になります。室内環境のギャップは、設備や仕様で対策を検討してみましょう。

間取り例Aのポイント

①広めのリビングにすることで、同じ部屋に居てもお互いの距離を保つことができ、好きな過ごし方ができる。

例:①-a テレビを視る
例:①-b 読書など趣味を楽しむ

② L字型にしたスペースやコーナーをファミリーリビングにすることで、来客があっても個室にこもらずリビングで過ごすことができる。リビングに居ながら少し集中するときなどにも使える。

③ リビングの延長としてサンルームを設ける。間仕切りサッシを閉めれば声も漏れにくいので、来客時も気兼ねなく過ごせる。ガラス越しに姿が見えて、程よい距離感も生まれる。

間取り例Bのポイント

④畳コーナーを設けることで、横になれる。畳とフローリングで空間をゆるやかに分け、程よい距離感が生まれる。畳を腰掛けの高さにすれば、畳に座ってテーブルを囲むこともできる。

⑤リビングの延長で広いテラスを設ける。第2のリビングとして活用できる。来客時にはテラスからリビングを通らずに他の部屋へ移れる動線があると便利。

1.自然な距離間を意識して、リビングは面積のほか、L字型やコーナー畳など平面的、立体的に工夫するのがおすすめ

面積を広めに確保できれば、同じリビングに居ても、距離を取って過ごすことができ、お互いに気を遣わず、好きなことに没頭できるでしょう。
また、あえてL字型の形状にして視線を少し外すことで世帯別に使いやすくする方法もあります。(間取り例A②)
リビングの一角にコーナー畳を設け、そこを腰掛けの高さにして床レベルを変えることで、その時々の過ごし方に合わせて座る場所を選べるので便利です。「ちょっと横になりたい」とか、「読書や趣味に集中したい」というときに、L字型やコーナー畳の空間を使うことで、お互いが同じ空間にいても黙認しあえて居心地がよくなるのではないでしょうか。(間取り例B④)

2.メインリビングに加えて、「ファミリーリビング」「テラス」「サンルーム」などの第2のリビングを設ける。

二世帯で一緒に過ごすリビングのほかに、来客時や一人になりたいときに避難できる、家族専用の「ファミリーリビング」があれば、そこが狭い空間でも落ち着いて憩うことができます。
ここ最近は、第2のリビングとして、「テラス」や「サンルーム」も注目されています。明るくて外ともつながる気持ちのいい空間があれば、遠慮して部屋に閉じこもる必要もなくなるのではないでしょうか。その際は、空間別に親世帯、子世帯の好みでインテリアを選んで、お互いの世帯の趣味嗜好を楽しんでみるのもおすすめです。(間取り例A③ B⑤)

3.全世代に合わせて、照明・空調・断熱などの設備・仕様計画を考える。

照明計画では、単一的な全体照明ではなく、メインのシーリングライトに、間接照明やダウンライトなど、複数の種類でプランニングすることで、読書や団らんなど、親世帯も子世帯も暮らしのシーンに合わせた灯りで過ごせます。
住まい全体の温湿環境を最適に保てば、世代に関係なく、快適に暮らすことができます。おすすめは全館空調や、部屋全体の断熱性能を高める仕様です。ぜひ検討してみてください。

大勢の家族が集まり、にぎやかに過ごすのは、二世帯住宅ならではの楽しみです。
リビングはそんな幸せな時間を共有できる大切な場所。ときには程よい距離で、お互いの存在を感じながら安心して過ごせるリビングにしてみてくださいね。
リビングを快適にすると、「祖父母と孫」「嫁と姑」「舅と婿」など、世帯を超えた仲よしが生まれるかもしれません。

住宅展示場にはさまざまな二世帯住宅のモデルハウスがあり、リビングのしつらえ、プランニング、インテリアなど参考になることがたくさんあります。
二世帯で一緒に訪ねて、お互いの暮らしのイメージを語り合ってみてはいかがでしょうか。

執筆・情報提供

川道 恵子(一級建築士)

(株)住まいと街設計事務所 代表取締役
住宅メーカー設計部にて、戸建住宅の設計業務 デベロッパーにて、マンション等の企画・監理業務を経て設計事務所において不動産開発業務に携わる。土地の活かし方、住宅の間取り提案等、幅広い実績多数。

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