2019.12.06
北欧インテリアを取り入れた家づくりのコツを紹介!【部屋別事例】
最終更新日:2025/06/04

街の樹々が秋の深まりとともに徐々に色づきはじめ、陽が落ちるのも早くなりました。秋から冬にかけて家で過ごす時間が増える方も多いと思いますが、北極に近い北欧では陽が出ている時間が短く、家にいる時間を楽しむための工夫として、カラフルで明るく居心地のよいインテリアデザインが発達しました。
また、森林資源が豊富な北欧では木のぬくもりを大切にした家具も特徴的で、同様に木の文化のある日本人にも受け入れやすいインテリアテイストで大変人気が高いです。
今回は、そんな北欧テイストを活かしたインテリアの取り入れ方をご紹介します。
INDEX
北欧インテリアとは?

北欧のインテリアは近年、日本での海外インテリアのテイストでは1番人気ともいえるポジションを獲得しています。シンプルさと温かみを兼ね備えた北欧のインテリアデザインは、もともと日本人の感性にフィットするところを備えていたといえるでしょう。
自然とのつながりを感じさせる木材や石材などの使用、明るく開放的、無駄を排して機能的であるなど、日本の住環境でも求められる相性のよさも豊富です。
また、気密・断熱などの性能が日本でも重視される中、住宅性能では先進性の高い寒冷地の建物づくり自体も、受け入れられる素地があったといえます。
北欧家具は8世紀から11世紀にかけて、ヴァイキングの交易を通して発展し、20世紀に入ると現在の実用的で飽きのこないスタイリッシュなデザインが生まれました。
日本で本格的に人気に火が点いたのは2000年代後半といわれています。スウェーデンの家具やインテリアを扱うIKEAの隆盛は、周知の通りかと思います。
北欧の家の特徴
北欧のエリアは、デンマーク・ノルウェー・スウェーデンのスカンジナビア3ヶ国とフィンランド、またはこれにアイスランドを含めた5ヶ国を指すことが多いです。人口は5ヶ国を合わせても3,000万人足らずと、日本の4分の1ほどの人口となります。
緯度の関係で季節によって極夜、白夜など日照時間がかなり制限されるときがあり、終日夕方のような時期もあるようです。
このように、寒冷で日差しの少ない時期を過ごす北欧のライフスタイルでは、屋内での暮らしについて「ヒュッゲ(HYGGE・居心地のよい、快適な)」という言葉を使います。
長時間を過ごす住まいをヒュッゲの状態に整えるために、北欧の人たちはさまざまな工夫を行ってきており、日本でもコロナ禍以降の「おうち時間の充実」志向から、共感が強まったとも考えられるでしょう。
以下は好みのインテリアテイストについて、男女別に集計した結果です。北欧は女性で1位、男性で4位に入りました。

北欧の家のメリットは、機能面にもあります。以下をご覧ください。
北欧の家・機能面のメリット
耐震性・耐久性 | 欧米では面と面を合わせて強度を構成する「枠組壁工法」が主流。
=角材と合板を接合して面を作る「2×4工法」や事前に床と壁のパネルを作って現場で組み立てる「パネル工法」 |
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開放的な居室空間 | 開放的かつゆとりの空間を作りやすい。
=日本住宅の基本寸法910mmや1,000mmに対して、北欧スタイルは1,200mmと大きい。 |
高断熱 | 北欧は冬になると氷点下30度を下回る厳しい寒さ。 =寒冷地仕様の輸入住宅は断熱性能や気密性能に非常に優れ、断熱性が高い3層ガラス窓は30年以上前から採用。 |
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北欧風の家の外観

ツートンカラーを用いたシンプルなデザイン
以下の写真のような外観の家は、近年すっかりおなじみとなってきました。高気密・高断熱化に適したシンプルな外形と、淡いブルーやグリーン、アイボリーなどのアースカラーを用いたツートンカラーの外壁は、北欧風外観のアイコンといえるでしょう。
また、写真のような屋根の妻飾り、コントラストのはっきりした太い窓のサッシ、玄関ドアにアクセントカラーを配するなども、北欧風の家によく見られる特徴です。


コントラストが印象的な木製のサッシ
前項でも触れた窓のサッシは、屋内から見ても写真のような存在感のあるアクセントとなっています。本家の北欧ではおもに断熱性能が高い木製サッシ、木製+アルミのサッシが定番です。白や木目の色がおもに用いられますが、黒の場合も。

太陽光を採り込む大きな窓
日照時間の短い北欧では、貴重な太陽光を有効に取り込むために、大きな窓が配されます。写真のような掃き出し窓だけでなく、ドアにも店舗のように下部までの大きなガラスを入れたものを使うことも。

急勾配の三角屋根
積雪量の多い北欧では、屋根の雪のメンテナンスが手間とならないように、急勾配の三角屋根とし、軒を長めに出す仕様にします。建物の形自体もシンプルですが、家全体を一つの屋根でカバーするのも、積雪の滞留を作らないた
めです。

北欧風インテリアのカラーパレット

北欧インテリアでは、鮮やかな原色が使われるのは調度や装飾、子ども部屋のものだけです。
ホワイト、グレー、ベージュなどのベースカラーを土台にして、淡い色調のアクセントカラーを差し色的に配置します。アクセントカラーには木目や植栽の緑のような、ナチュラルな色彩を借りることも。
インテリアでよく見られるのは、白やアイボリーをベースに、階段や梁などの木目をアクセントにする手法です。(後述)
以下は、北欧風のインテリアを選んだ理由を聞いたものです。「好み」や「落ち着く」「飽きがこない」などと一緒に「気分が上がる」「明るい雰囲気」が含まれている点に注目しましょう。
一般的な北欧のイメージであるモダン、おしゃれ、シンプル、落ち着くなどの支持だけでなく、長い冬を明るく過ごす知恵が支持されていることを示しています。

ホワイト×ウッドの王道コーディネート
前述の定番インテリア「ホワイト×ウッド」は、下の写真のようになります。北欧インテリアの定番であるこの組み合わせは、落ち着いた温かみだけでなく、明るさや楽しさが感じられるものです。
この定番の組み合わせは壁、床、梁、階段、家具などで、天然木を活かした色味や質感のコーディネートをします。そして壁面や天井は白やグレー、あるいはごく淡い色調を用いて、1面だけ前述の色の組み合わせでアクセントウォールを設けてもいいでしょう。
一見単調なように思えて、この組み合わせは無限に近いバリエーションを持つため、専門家はむしろ色の組み合わせに腐心します。ご自分で選ぶ際は、家具と床の色の調和を意識すればよいでしょう。

アクセントカラーの効果的な使い方
北欧インテリアでは、ベースをシンプルに抑えて、引き立て役のアクセントカラー(アースカラー)を配して明るさやおしゃれさを引き出しましょう。
取り入れ方のコツはブルー、グリーン、イエローなどソフトな色を壁のどこか、窓のサッシなどにあしらいます。その際にもう一か所、ラグマットや椅子などに同色を反復すると、おしゃれ感が増すでしょう。
この写真のように、キッチンの背景に1面だけミントグリーンのアクセントウォールを配していますが、さらに奥のパントリーの壁紙の色調もさりげなく合わせている点が、上級の技といえます。

部屋別・北欧インテリアの取り入れ方

この項では、以下の部屋別に北欧インテリアの取り入れ方をご紹介します。
- ● リビングルーム
- ● キッチン・ダイニングスペース
- ● ベッドルーム・プライベートルーム
- ● キッズルーム
リビングルーム
リビングルームは、以下の工夫を検討しましょう。
- ● 主役となるソファやテーブルの配色を、うまく差し色・アクセントカラーとして利用
- ● ファブリックのソファやラグ、クッションなどを北欧流の色やデザインでまとめる
- ● 間接照明やスポットライトで、温かい配光を心がける
- ● 小さなスペースでも明るめのアースカラーと自然素材で開放感を出す
写真はフローリング、建具、家具などのテイストを揃えたうえに、落ち着いた色調の壁面とダウンライトの配光が、夜の落ち着いた様子を想像させてくれるリビングです。ラグやクッションなどテキスタイル類の柄も、ムードを高めています。

キッチン・ダイニングスペース
キッチン・ダイニングスペースは、以下の点を意識してはいかがでしょうか。
- ● 木製のダイニングセットと内装のマッチングを意識する
- ● シンプルなオフホワイトやグレーの色味・陶器や石材のキッチン壁面
- ● ペンダント照明で食卓にスポット照明を設ける
ダイニングもテキスタイルでムードを盛り上げることができます。シンプルな色・形の食器類を選んで使用するのも効果的です。
写真のように、タイルのキッチン床もシンプルモダンな雰囲気と、汚れに強い実用性が得られます。

一つのテーブルを大人数で囲むような食卓は、どうしても散らかって煩雑になりがちですが、あまりその方向にいかないのも、シンプルを心がける北欧風の魅力でしょう。

ベッドルーム・プライベートルーム
ベッドのリネン類も、お部屋の雰囲気を作りやすいアイテムです。ラグや照明の傘などとコーディネートするのもよいでしょう。すっきりと落ち着いた色を選ぶのがコツです。
リモートワークスペースやプライベートルームは、可能であれば高めの天井と、主張が強めの太いサッシを持つ窓があると、北欧感が引き立ちます。
高価なアイテムを使用しなくても、色・素材の統一感だけで、清潔で生活感のないホテルライクな居室になる例です。

キッズルーム
北欧スタイルの家では、キッズルームはある種の解放区といえます。居室の壁面や床のベースカラーは落ち着いたものにしますが、調度品や小物はかわいいデザイン・明るいパステルカラーの色味をいろいろ試しましょう。
キッズルーム向けの北欧雑貨や家具・照明は値が張らず、面白いデザインのものが豊富に販売されています。
日本にはあまりないデザインの家具や小物類は、子どもの思い出として長く記憶に残るものです。

北欧インテリアを実現する工夫

この項では、北欧インテリアを実現する工夫について、家具・調度・グリーンなど、北欧風の内観にマッチした仕立て方をご説明します。コツが掴めさえすれば、決して難しいものではありません。
シンプルで統一感のある家具を取り入れる
北欧インテリアでは、実用性と機能性を兼ね備えた家具のポジションが大きいという特徴があります。派手さはなくとも、存在感を放つ力があり、デザインの一環として取り入れたいものです。
北欧を代表する有名家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンの椅子は見飽きない美しさが支持されています。ただウェグナー、ヤコブセンともに1脚で120万円以上と高価なものもあるため、こだわりすぎない範囲で選んでみましょう。
淡い色彩でお部屋の内装とコーディネートされたソファが、デザイン上の大切なポジションを担っているようです。

ジオメトリック柄をファブリックに取り入れる
「ジオメトリック」とは“幾何学的な”という意味で、正方形やひし形、三角形や同心円などさまざまな図形を組み合わせた柄の模様をジオメトリック柄と呼び、下の写真のように取り入れると北欧テイストらしさが一気に増します。カーテンやクッション、インテリアパネル(ファブリック*を長方形や正方形などのパネルに張り付けたもの)などに取り入れてみてはいかがでしょうか。大きな家具とは違って、ファブリックは気軽に取り入れられるので、部屋の模様替えにもお勧めです。
*カーテン・絨毯・クッションカバーなど、インテリアに使う布類のこと

ファッションでも柄×柄のコーディネートは少し上級者向けです。上手に室内へ取り入れるポイントは、柄を2パターンまでに抑えて、そのなかで使われている単色の無地の中に柄を入れるとまとまりやすくなります。
上の写真の場合は、無地のソファとクッションのジオメトリック柄をグレーでまとめ、差し色としてオレンジを入れることで、落ち着きのある北欧テイストを演出しています。
大ぶりのデザインペンダント照明を取り入れる
北欧テイストらしさといえば、照明。写真Aのように、大ぶりのデザイン性の高いペンダント照明を取れ入れると北欧テイストが演出できます。その際、天井付近が暗くなる場合は、補助的に天井を照らすスタンド照明やダウンライト、スポットライトなどを併用するといいでしょう。

また、リビングに取り入れづらい場合は、食卓の上のペンダント照明を北欧テイストの照明に替えるだけでも、OK。
代表的な照明はいくつかありますが、デンマーク王室御用達ながらも北欧の一般家庭でも広く愛される「レ・クリント」〈写真A〉もそのひとつ。また、こちらも北欧・デンマークのブランドで、独自のカーブを採用し、反射板の組み合わせによりまぶしさを軽減したルイスポールセンの「PH5」〈写真B〉などは根強い人気があります。ちなみにこれらは和室との相性もばっちりで、日本の家庭のインテリアにも取り入れやすいでしょう。

ナチュラルカラーの木製家具を効果的に取り入れる
家具でもモダンテイストとナチュラルテイストの両方が、存在感を発揮します。北欧テイストに欠かせない要素のひとつに、ナチュラルウッドがあります。優れた木製家具が発達しているのは、森林の豊かな北欧ならでは。多くのデザイン性の高い家具が生まれています。中でも部屋の雰囲気を明るく演出してくれるナチュラルカラーが特徴的です。

家具だけはなく、フローリングや小物まで、ナチュラルウッドで揃えることで、より北欧テイストを演出できますよ。
北欧家具が購入できるショップは多くありますが、お薦めをご紹介します。
greeniche(グリニッチ)
北欧と日本のブランド家具が広く揃う。アンティークの取り扱いもあり。通販OK。
Karf(カーフ)
北欧テイストを中心に、ていねいに仕上げられた無垢材の家具が豊富に揃う。通販OK。
actus(アクタス)
北欧テイストのほか、幅広くデザイン性の高い家具や小物と出会える。子ども用家具も充実。通販OK。
IKEA(イケア)
リーズナブルに小物や家具をはじめ、住宅設備まで幅広い商品がラインナップ。通販OK。
観葉植物などのインテリアグリーンを取り入れる
ナチュラルな北欧インテリアを活かすために、あるいは無機的なモダンに振れすぎたインテリアのアクセントとして、観葉植物も大切なポジションを持っています。
北欧スタイルに合う観葉植物としてモンステラ、フィカス・ウンベラータなど厚手の大きな葉を持つ鉢がフィットするでしょう。
モンステラは放置してしまうと天井に届くくらいに成長します。モンステラもフィカス・ウンベラータも剪定や手入れは必要ですが、あまり神経質に管理する必要のない、比較的育てやすい植物です。

北欧風の家をご紹介

美しいシンメトリー外観・北欧モダンと和モダンの融合の家
シンメトリーな本格的外観からは想像できない、和室の意匠が違和感なく溶け込んだ家です。かなり大きな間取りなのに、家のどこにいても「ヒュッゲ」が感じられるような、落ち着きとくつろぎに満ちています。



スウェーデンのデザイン意匠をフルに体現した外観です。タイルとサイディングのツートーンがシンメトリーな建物形状や外構の作りこみと調和して、本格的な北欧テイストの住まいとなりました。

天井のダウンライト、食卓のペンダントなど、細かい配光がくつろぎをもたらすリビングです。床や建具、家具までコーディネートされていて、視覚的なストレスを全く感じません。

高い吹き抜けを持つリビングは、落ち着いた配色のソファに、ジオメトリック柄のクッションが少しだけ遊び心を加えています。

玄関ホールをかわいい調度が引き立てます。ナチュラルな風合いの手すりが印象的な階段は、多角形に折れながら階上へ。和風の引き戸と北欧風の意匠が仲よく共存。

吹き抜け側から2階ファミリールーム=セカンドリビングをのぞむ。家族のつながりを意識した、開放的な空間が広がります。

床の間まで備える本格的な和室が、ほかの居室の違和感なくひとつながりの空間に。和と北欧のナチュラルスタイルが高次元で溶け合っています。
所沢ハウジングステージ(スウェーデンハウス設計・施工)
延べ床⾯積 216.88㎡(65.60坪) |
〒359-1151 埼玉県所沢市若狭3-2353-1(所沢ハウジングステージ) 西武池袋線「狭山ヶ丘」駅下車 徒歩約13分 国道463号線バイパス沿い、若狭四丁目交差点そば 10:00~17:00 水曜定休 |
まとめ

北欧インテリアを取り入れた家づくりのコツをご紹介しました。北欧インテリアはナチュラルとモダンの両方向で、日本でもなじみが深いスタイルとなっています。
北欧テイストは、、ンプルモダンのインテリアの両方と相性がいいので、チェックしてみてください。北欧テイストを意識して、スタイリッシュで安らげるスローな空間を目指しましょう。
前項のように、シンプルモダンのインテリアの両方実際に展示場でも北欧テイストを取り入れたインテリアの実例が見られますので、ぜひ体感してイメージを膨らませてみてくださいね。
監修・情報提供

吉田美帆(一級建築士)
代表一級建築士/グリーンライフプロデューサー/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/LOHASスタイリスト(NPO法人ローハスクラブ認定/花育インストラクター(NPOフラワーハートセラピスト協会認定)武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て、2010年SUNIHA UNIHA(サニハユニハ)設立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞。・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞
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