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住宅相談が増えています。トラブル発生前の事前相談が大切です

公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、国土交通大臣の指定を受けて、2003年から電話による住宅相談業務を行っています。この「住まいるダイヤル」は、建築家などの住宅に関する専門家が無料で相談に応じてくれるもので、制度スタートからこれまでの相談件数の累計は32万件を超えているそうです。

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無料電話相談の件数は累計で32万件を超えている

 その相談の内容に関して、同センターでは毎年『住宅相談統計年報』として相談の内容などを分析したものを公表しています。ここでは、その一部しか紹介できないので、これから住宅の建設、購入などを考えている人ぜひ下記アドレスから詳細をご覧ください。
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの『住宅相談統計年報2019』
 

18年度の相談件数は前年度比で14.6%の増加

 『住宅相談統計年報2019』によると、住宅リフォーム・紛争処理支援センターが受けた2018年度の電話相談件数は、図表1にあるように合計3万2253件でした。総件数を新築等住宅に関する相談、リフォームに関する相談に分けると、新築等住宅が2万0509件で、リフォームが1万1744件でした。
 1件の相談が1回で終わるとは限らず、繰り返しの相談もあるため、延べの応答回数は4万1639件に及びます。利害関係のない第三者として、建築などの専門家が相談に応じてくれる機関はなかなかありませんから、けっこう多くの人がこの電話相談「住まいるダイヤル」を利用しているようです。
図表1 住まいるダイヤルの相談件数の推移 (単位:件)

(資料:住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2019』)

トラブルが発生してしまってからの相談が6割超

 新築等相談件数は2万0509件ですが、図表2にあるように、このうち、「住宅のトラブルに関する相談」が65.6%を占めています。それに対して「知見相談」は16.3%で、「その他の相談」が18.1%という結果でした。
 「知見相談」の「知見」とは、体験を通して知識や見識などを得ることを意味し、ここでは相談によって事前に知識などを得、不安や疑問を解消することになります。いわば、転ばぬ先の杖ということになるのでしょうが、実際にはその知見相談を行っている人は少なく、大多数はトラブルが発生してしまってからの相談になっているわけです。
★公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの『住宅相談統計年報2019』

図表2 新築等相談における相談内容 (単位:%)

(資料:住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2019』)

事前に相談すればトラブルの確率は格段に低下

 住宅相談の専門家などによると、この知見相談が極めて重要だそうです。ある相談員は、
「トラブルに巻き込まれた人の多くは、事前相談していません。逆に、事前相談した人のほとんどはトラブルに巻き込まれていません」
 と事前相談の必要性を強調しています。
 いったんトラブルに巻き込まれと、解決は簡単ではないことが少なくありません。相手は不動産会社、住宅メーカーなどの百戦錬磨の担当者であるのに対して、施主や買主などは住宅や建築に関する知識はさほど持っていないのがふつうです。知識や経験の非対称性は限りなく大きく、納得の行く解決策に至るのは簡単ではないわけです。

一戸建ての不具合としては「ひび割れ」がトップ

 参考までに、トラブルが発生して不具合がある場合の不具合事象としては、図表3にある通りです。
 一戸建ての場合、最も多いのは「ひび割れ」で、21.0%に達しています。そのひび割れが発生する部位としては、外壁、基礎などが挙がっています。工事中の現地見学や引渡し前の検査時には特に注意しておきたいポイントです。
 そのほか、外壁や屋根などに多い「雨漏り」、設備機器や外構などの「性能不足」、そして屋根や外壁などの「はがれ」などが続いているので、十分にチェックしておきましょう。

図表3 トラブル相談における一戸建ての不具合事象(複数回答=上位10位)

(資料:住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2019』)

 

著者

山下和之(やました・かずゆき)

新聞・雑誌・単行本の原稿制作、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プラントと税金対策』(学研プラス)、『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などがある。
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