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住宅のマネーと制度

2025.05.10

空き家リノベーションにかかる費用とは?利用できる補助金やおすすめな人の特徴を解説

空き家を相続して、使い道がなく困っている人や、家を買う際の費用の高騰に悩む人は、空き家をリノベーションして活用するのがおすすめです。

住む・貸す・売るなど、活用方法はさまざまですが、かかる費用や注意点など、不安要素も多くあります。たとえ住み慣れた実家であったとしても、不動産の購入や活用が初めての人にとっては、分からないことも多いでしょう。

本記事では、空き家のリノベーションにかかる費用の内容や相場、利用できる補助金やおすすめな人の特徴などを解説します。

INDEX

空き家リノベーションが注目されている理由とは?

日本国内の空き家率は、2023年の時点で13.8%に達しました。空き家率はこれまで連続して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で、約2倍という増え方をしている状況です。

放置空き家は周辺環境の安全性や治安の悪化を招くため、社会問題として捉えられるようになりました。

国や自治体も空き家の流通・再活用を促すために、さまざまな政策を打ち出し、放置空き家の法規制や、空き家活用のサポート(補助金など)に乗り出しています。

また、既存の家屋を修繕するうえで、エコ性能や移住、バリアフリーなど、さまざまな目的に応じた助成金が支給されるようになりました。

このように、空き家をリノベーションして再利用する人に追い風になる体制ができている状況なのです。

現状での空き家所有者の意識はどのような状況でしょうか。以下は、所有者の人に現在の利用方法や今後の予定を調べたデータです。3分の1の人が空き家を未利用で、今後の予定も決まってないと回答しており、今後リフォームや建て替え予定と答えた人は1割にとどまりました。

2021年 解体の窓口・空き家所有者・意識調査

空き家リノベーションのメリットとは?

まず、空き家をリノベーションすると良いことは何かを確認しましょう。

①比較的安くマイホームが手に入る

空き家をリノベーションやリフォームすることで、比較的安くマイホームが入手できるでしょう。

例えば相続した実家のリフォームに500万円をかけた費用を借り入れした場合でも、金利2.5%・ボーナス払いなしとして、月に6万5,000円の返済が7年で終わります。

新築のメリットははかり知れずありますが、この返済負担の少なさは魅力です。

また、賃貸収入を得てみたいという人にとっても、物件の取得費用が不要という点は大きな利点となります。不動産会社に相談して収支をシミュレーションしてみるのも良いでしょう。

なお、どちらも「家を直す」意味で使われる「リフォーム」と「リノベーション」ですが、2つは意味の異なる言葉です。

リフォームは老朽化した建築物を新築に近い状態に戻すことを、リノベーションは既存の建築物に工事を加え、既存のものよりも価値を高めることを意味しています。

②空き家のリスクを軽減することができる

一定以上放置されている空き家については、以下のリスクがあります。

  • ● 固定資産税が高くなるリスク
  • ● 倒壊のリスク
  • ● 不法投棄や犯罪の温床になるリスク

放置空き家はその荒廃が著しい場合、自治体から「特定空き家」に指定される場合があります。特定空き家とは適切な管理が行われておらず倒壊などの危険性や衛生面や安全面でも不適切であると認められた状態です。

特定空き家は固定資産税の軽減措置がなくなって、税額が現在の6倍となります。さらに、2023年12月より、そのまま放置すると特定空き家になると認められた「管理不全空き家」も、軽減措置の対象外となりました。

放置空き家は最悪の場合、行政の強制執行による取り壊しと、その費用請求という状況もあり得ます。

そのような行政の処分を受けていなくとも、実際に倒壊や放火で近隣に被害が及ぶ可能性もあるのです。

家は同じ状態でも人が住むなど利用していれば、傷みの速度は軽減が可能となります。さらにリノベーションで手を加えて再利用できれば、経済的にもお財布にやさしく、地域の活性化にもつながるでしょう。

空き家に対する決定的な有効策がない現状では、手つかずの空き家に対する規制は今後さらに厳格化される可能性もあります。

以下は、空き家の不安に関して、空き家所有者に尋ねた結果です。維持管理の費用や手間も、不安要素として高い率となることが分かります。

③環境負荷が低め

古い家をリノベーションしてリユースできれば、環境への負荷を抑えた住み替えによって、地球環境保護につながります。次世代に良い環境を引き継ぐために、環境への負荷を抑えるのは私たちの今後の課題となるでしょう。

政府が新築住宅で進めている長期優良住宅の普及や、良質な住宅ストックの形成に向けた取り組みも、長期的な環境負荷の削減を目標としたものです。

空き家リノベーションのデメリットとは?

メリットの多い空き家リノベーションにも注意すべき点があります。新築とは異なり、現在分からない点があるケースや、今の基準・ニーズに合わせたリノベーションが困難なケースです。

①予想外の費用が発生する場合がある

空き家は直近の状態が把握されておらず、目で見て確認ができない箇所の傷みが進んでいる可能性があります。

例えばシロアリの食害が進んでいて、躯体部分の修繕が必要な場合や、天井や壁面を伝わない雨漏りの発生から、屋根や屋根裏の腐食が進んでいたなどの場合です。

これらの対策として、インスペクション(住宅検査)を受けることをおすすめします。タイミングとしては相続の段階で、実家の価値を算定する際のインスペクションがもっとも有効です。

複数の相続人がいる場合、受託検査済みなら遺産分割協議で正しい判断が下せるでしょう。

また、家の性能に対するこだわりがある場合も、注意が必要です。気密・断熱の性能を強化する工事は補助金対象ではあるものの、相応の工事期間と費用を要します。

1981年以前の旧耐震基準で建てられた家の耐震性能を改善したい場合は、平均して189万円の耐震補強費用が相場です。(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査結果)

②理想の間取りが作れない場合がある

新しく利用するにあたって、今の家族の希望に合わせて間取りを変更したい場合も多いでしょう。

しかし、ツーバイフォーやプレハブなど、壁面や箱で強度を支える構造・工法の住宅は間取り変更の際に強度計算が困難です。

「リビングを2畳広げる」などの対応をすることは難しいか、施工会社に問い合わせたり、施工会社の系列の会社にリフォームを依頼することで費用が高くなったりすることが考えられます。

木造軸組工法の家は、このような工事には比較的容易に対応可能です。また、ツーバイフォーやプレハブなども、部屋ひとつを増築するなどの工事には普通に対応ができます。

空き家リノベーションのデメリットを解消する方法

この項では、空き家リノベーションのデメリットを解消する有効な手段をご紹介します。

事前調査・見積もりを行う

前述のように、住宅検査を含めた事前調査は、ぜひ行っておくことをおすすめします。内外観の補修や水回りの手入れを行って住み始めたら、あとで多額の修繕費用を要する、隠れた不具合が見つかるということも考えられるためです。

また、戸建て住宅は外壁や屋根材によってメンテナンスの必要なタイミングが異なり、住み始める時点で手を入れたほうが良い場合もあります。

プロの目によるチェックと見積もりの結果によっては、住む→貸す・売るなど、空き家の用途を変更することもあり得るでしょう。

ワンストップリノベーションの検討

これから空き家を取得して住まいにしようと考える方の場合、住まい探しからリノベーションまでを一括で進めてもらえるワンストップリノベーションもおすすめです。

希望の立地や、住まいに関する家族の希望を伝えておくと、適した空き家とリノベーション箇所、取得と工事の費用などを総額で出してもらえます。予算オーバーの心配がなく、物件選びのうえでの不安も軽減できるでしょう。

空き家リノベーションの費用目安

空き家のリノベーションは、家の状態や希望の箇所、設置したい設備や建材のグレードによってさまざまなため、同じ工事でもかかる費用に幅があります。

以下は国土交通省で発表されている資料に基づいた、空き家リノベーションの費用目安・相場です。(単位:万円)

価格帯 設備・内装
(水まわり系)
設備・内装
(居室系)
設備・内装
(その他)
構造・外装・防水系 外構・その他
0-20万円 ●温水洗浄便座の設置8-16
●バスタブの交換14-20
●畳の交換 6-12

●畳→フローリングに15-60

●壁クロスの貼り替え6-30

●段差の解消(床のかさ上げ) 8-20

●火災報知器の取付

4-10

●モニタ付インターホンの設置8-16

●手すりの設置 1-20

●内窓の追加 6-12

●雨樋の交換(戸建て)5-40
20-50万円 ●洗面化粧台の交換 20-50

●トイレ全体の改装(タンク式)20-100

●タンクレストイレへの交換30-50

●IHコンロへの交換 18-80

●ガス給湯器の交換20-50

●壁クロス→珪藻土18-30 ●廊下の改修20-100 ●スレート屋根の塗り替え(戸建て)
20-80

●シロアリ防止処理(戸建て)
15-30

●ウッドデッキの新設(戸建て) 10-80

●太陽熱温水システム (戸建て) 20-80

50-100万円 ●洗面所の改装
20-100
●システムキッチン(I型)の交換40-80

●システムバスの交換(マンション)50-100

●2室を1室にまとめる50-80

●床暖房の敷設50-150

●リビングに収納棚を作る40-90

●和室→洋室への改装 50-200

●和室→洋室(バリアフリー仕様)への改装70-300

●階段の改修(戸建て)20-100

●バルコニーの改修(マンション)20-100

●バルコニーの改修(戸建て)20-200

外壁材の重ね塗り(戸建て)
50-150

●シャッター式雨戸への交換(戸建て)
70-150

●耐震補強(金物使用)(戸建て)20-60

●サイディングの上貼り(戸建て)80-200

100-300万円 ●システムキッチンの交換(壁付→対面型)
75-200

●システムバスの交換(戸建て)60-150

●キッチン全体のリフォーム
80-400

●オール電化への改修100-200

●高効率給湯システムの設置55-100

●ダイニングの改修 100-200

●リビングの改修 200-400

●金属屋根の重ね葺き(戸建て)90-250

●瓦屋根の交換(戸建て)70-120

●玄関の改装(戸建て)20-150

●耐震補強(基礎からの工事)(戸建て)100-200

●太陽光発電システム(戸建て)
200-300
300-500万円 ●アイランドキッチン 300-450 ●天然素材を用いた室内全体のエコリフォーム 300-1000

●ホームシアター 300-500

●増築 300-2000
500-1000万円 ●躯体以外の部分を全面リフォーム
500-2500

●建物の一部を賃貸部屋に 800-2000

1000万円超 ●二世帯住宅化 800-2500

●減築 800-2600

●古民家再生 1200-3000

●曳き家、移築 800-

出典:リフォームの内容と価格について|国土交通省

上記の表をもとに、希望箇所をピックアップして費用の幅を概算してみてはいかがでしょうか。

空き家リノベーションの・リフォームに関する補助金制度

空き家リノベーション・リフォームの例として、以下のような各自治体の補助金制度が見られます。

※補助金制度は年度によって実施の有無や内容の変更がありますので、利用の際に必ず最新の実施状況を確認してください。
※予算額に達した時点で終了となる場合もありますので、注意が必要です。

制度名 支給対象 補助枠
埼玉県春日部市
空き家リノベーションまちづくり事業
  • 空き家を所有または購入し、住宅もしくは店舗の改修をする人
  • 市区町村税を滞納していない人
  • 補助金の交付の対象となる経費は、リノベーションに要する費用の総額が70万円以上であること
  • 空き家バンク利用でのリノベーション:最大40万円
  • 空き家バンク利用から空き家解体し、建て替えの場合:最大40万円
  • 空き家バンク利用なしで空き家をリノベーションする場合(店舗への転用も含む):最大20万円
群馬県藤岡市
空き家リフォーム補助金
  • 住宅の所有者であって、当該住宅について補助対象工事を行う方であること。
  • 申請の時に当該住宅の所在地に住所を移転した日から1年を経過していない方、または、実績報告を行う日までに当該住宅の所在地に住所を移転する見込みの方。
  • 実績報告をする日から5年間継続して居住する見込みであること。
  • この要綱に基づく補助金の交付を受けていないこと。
  • 市町村税(特別区税を含む)を滞納していないこと。
  • 藤岡市暴力団排除条例に規定する暴力団員等でないこと。
  • 空き家として取得した住宅であること。
  • 宅地建物取引業者を介して売買により取得した住宅で、取得した日から起算して1年を経過していないものであること。
  • 建築基準法・その他の法令に基づき適法に建築された住宅であること。
限度額は補助対象工事に要する経費(消費税および地方消費税の額を含む。)を合計した額に2分の1を乗じて得た額または次の区分に応じ、それぞれに定める額。

ただし転入者である場合は、以下に定める額に10万円を加算する。

  • 空き家バンクを通じて取得した場合:50万円
  • 空き家バンク経由以外の補助対象住宅の場合:30万円
東京都八王子市
八王子市居住環境整備補助金制度
次のいずれにも該当すること

  • 補助の対象となる住宅の所有者等(賃貸住宅においてバリアフリー化改修工事または耐震シェルター・防災ベッド設置工事をする場合は、借主を含む)
  • 補助の対象となる住宅に住所を有する、または住所を有する予定であり、改修工事等の完了後、引き続き居住する方
  • 高齢福祉目的:20万円
  • 災害対策:10~100万円
  • 環境:5~50万円

適用できる補助金の目的は空き家対策だけでなく、中古住宅のエコ性能推進や地域活性化=移住促進までさまざまです。利用できる補助金をよく確認してみましょう。

空き家のリノベーション・リフォームに関する減税制度

続いて、空き家リノベーション・リフォームに関する減税制度について解説します。

所得税の控除について

リノベーションやリフォームで受けた融資も、一定の範囲で住宅ローン減税の対象です。また、融資を受けなくても下記の減税措置があります。

所得税の控除は本人居住の場合のみが対象となり、賃貸する場合は適用されません。

所得税の控除

減額の対象 控除額 期間
【住宅ローン減税】
10年以上の住宅ローンがある場合が対象
  • ローンの年末残高の0.7%を控除
  • 控除額上限 = 140万円
10年間
【所得税額の特別控除(投資型)】
自己資金のみでリフォームを行う場合が対象
  • 標準的な工事費用相当額の10%を控除
  • 控除額上限 = 62.5万円(67.5万円※)
1年間

※ 太陽光発電を設置する場合。また、長期優良住宅化の場合は最大80万円まで控除

固定資産税の減額について

固定資産税は土地家屋の保有について、固定資産税評価額に基づいて毎年課税されるものです。耐震や省エネルギー化をはかる改修が行われた場合、申告することで以下の減税が行われます。

固定資産税の控除

減額の対象 控除額 期間
【耐震】
本人居住のため・賃貸に出すため、いずれの場合も対象
固定資産税の1/2を軽減(翌年度分) 翌年度分に適用
【省エネ】
本人が居住する場合が対象
(床面積50~280㎡まで)
固定資産税の1/3を軽減 翌年度分に適用

空き家リノベーション・リフォームに関するローン制度

中古物件の取得がない場合でも、住宅用の借り入れは可能です。本人の居住か、賃貸する目的かにかかわらず、無担保で借り入れが可能な「空き家リフォーム向け」のローン商品は多数あります。

借り入れのための基準も、以下のように比較的緩やかです。

  • ● 年齢:借入時=18歳 or 20歳以上、60〜70歳未満/完済時=70〜80歳
  • ● 年収:最低150〜200万円 (※目安)
  • ● 勤続年数:1年以上

金利に関しても、新築用の住宅ローンと大きな差はなく推移しています。

ただし、現在利上げが進む最中であることと、無理な借り入れが生活の負担になることに変わりはありません。返済計画は慎重に検討しましょう。

空き家リノベーションはどんな人におすすめ?

ここで改めて、空き家をリノベーションして利用するのはどのような人に向くかを解説します。

相続した空き家がある人

「場所が良くない」「古い」「自分が使う予定がない」などで、放置されてしまう空き家はたくさんありますが、その価値や利用法について、一度専門的なサポートを受けてみましょう。

実家であれば家族それぞれの思い出が詰まっていて、手を出しにくいという気持ちもあります。しかし、相続した空き家は、放置するほど価値を失っていくものです。

相続税が発生しなければ、空き家の取得価格は0円です。人生設計を見直して住居にしたり、あるいは売却して新築資金の一部にしたりするなど、いずれもとても有利な活かし方となるでしょう。

広い土地でのびのび暮らしたい人

リモートワークや副業、投資の発達によって、都市部の雇用にこだわらず自然環境の良い場所に中古物件を購入し、新しいスタートを切る人も増えています。

一方で地方では空き家の増加が深刻で、自治体が空き家バンクを開設し、格安での売買や賃貸のあっせんを行っている状況です。

さらに、地域活性化のために移住者向けの助成金や減税制度も設けられていることが多いため、その点も地方に空き家を求める動きが活発化する要因になっています。

地方は生活コストも安くなるため、経済的にはさらに有利です。ただし、車が必要となることがほとんどなので、その点は念頭に置きましょう。

費用を抑えておしゃれな家に住みたい人

家を取得してリフォームしても、それだけでは大きな出費にならないことも多いです。地方では空き家バンクのほかに、0円物件=物件自体の価格は無料で譲渡するという情報が発信されていることもあります。(登記やあっせんなどの費用は発生します)

つまり、リフォームでも新築でも、取得費用を抑えられる分、リノベーションや建築に予算を回すことが可能です。

ウッドデッキを増設したり、畳の一部をフローリングにしたりするなど、空き家をおしゃれにリノベーションする方法はたくさんあるでしょう。

空き家で家賃収入を得たい人

相続した実家が賃貸業のサイドビジネスに役立ったら、老後資金やお小遣いの足しになります。

戸建ての家はそんなに高く貸せなかったとしても、マンションのように管理費・修繕積立の出費がありません。また、間取りの小さなアパートとは違い、入居者の回転が緩やかで長く住んでもらえる傾向にあり、利回りとしては悪くない投資になり得ます。

地元の不動産会社に賃貸ニーズをよく確認して、収支を検討してみましょう。

空き家で開業したい人

例えば関東近郊にある築古の空き家の場合、古民家のような家の味をうまく活かしつつ、モダンな要素も取り入れ、カフェとして蘇生させるケースが増えてきました。

そのほかにも地域の商業ニーズを調査し、商材によっては自然に親しむ目的もかねて、遠方からお客様が訪れるビジネスも可能でしょう。

今はSNSなどの情報網でも集客が可能なので、そのようなビジネスに関心のある人は、調べてみてはいかがでしょうか。

空き家リノベーションにおける注意点

実家の相続予定があり、リノベーションを検討する場合は、なるべく早い段階から下調べなどの準備をしておきましょう。

相続人が複数の場合で遺産分割協議に手間取り、リノベーション以前に相続の話し合いがまとまらないケースがあります。

長期間の放置はもっとも建物にダメージを与える状況です。相続が開始される前、例えば両親が介護施設などに入居して空き家になった時点から住宅検査、資産査定を行いましょう。

そのうえで、相続の予定を話し合い、管理担当の相続人を決めて風通しなどのメンテナンスをすることをおすすめします。

また、空き家を取得して貸す場合、立地やニーズ、建物の状態をしっかり確認せずに多額の費用をかけてリノベーションを行うのは禁物です。入居者が決まらない、思ったより家賃を安くせざるを得ないなどで、収支が悪くなることが考えられます。

これは売却する場合も同様です。購入希望者の住まいへの好みはさまざまで、売却しやすくするためにどの程度お金をかけるかを、経験なしに判断するのは困難です。まずハウスクリーニングや住宅検査をするようにしましょう。

空き家リノベーション・リフォーム事例

この項では、具体的にリノベーションやリフォームを行った目的や予算などの事例をご紹介します。

雨漏りの補修と水回りの交換

築年数 40年
リフォーム費用 200万円
施工期間 48日
施工内容 ・雨漏り補修 ・システムキッチン交換 ・給湯器交換

空き家だった実家に帰って住まわれるための工事です。懸案だった雨漏りの補修は、粘土瓦の一部交換と傷んだ屋根材の補修等で、比較的軽微な予算で収めることができ、給湯器は高効率のものにして、補助金を申請しました。

実家を賃貸に出すリフォーム

築年数 20年
リフォーム費用 140万円
施工期間 15日
施工内容 ・ハウスクリーニング ・壁面再塗装 ・屋根再塗装

相続した実家が築20年とまだ新しく、比較的駅から近かったため、賃貸物件として貸し出すことにしました。屋根や外壁はメンテナンスが必要な時期に来ていたので、補修や再塗装は必要でした。

屋根にソーラーパネルを載せていたため、屋根塗装の予算はやや高めになりましたが、内装のハウスクリーニングも含めて140万円・15日ほどで済ませることができました。ハウスクリーニングと外装が同時に進められたことと、屋根と外壁で足場を兼用したことで早く安く仕上がったものです。

中古購入してバリアフリー改修

築年数 50年
リフォーム費用 300万円
施工期間 30日
施工内容 ・廊下と建具の改修 ・玄関スロープ増設 ・畳と便座の交換

今までの家を息子さん家族に譲り、空き家バンクで見つけた小さめの格安物件に、ご夫婦二人で移転した例です。

2部屋をつなげ、ドアを引き戸に改修、玄関は車いすにも対応して転倒の危険が少ないスロープを作りました。あと100万円前後で床暖房の設置を考えたのですが、そこまで使用しないわりに、毎年の固定資産税が高くなるため、見送りました。

移住してのびのび子育て

築年数 40年
リフォーム費用 1200万円
施工期間 48日
施工内容 ・オール電化 ・太陽光発電 ・耐震補強 ・断熱改修

都市部や新築と迷った結果、移住して環境の良いエリアで子育てをしていこうと決められたご家族の例です。空き家をベースに徹底して住宅性能を高め、長く住める家を目指しました。

エコリフォーム関連と移住関連の助成金が利用できたため、数百万円単位の補助金を受給しました。

まとめ

空き家のリノベーションにかかる費用の内容や相場、利用できる補助金やおすすめな人の特徴などを解説しました。

ご自分で住む場合、サイドビジネスとして貸す場合それぞれに、空き家の良さはあります。

子ども時代を過ごされた実家でも、気づかない良さは多くあるものです。懐かしいだけではない良さを再認識する点もあるでしょう。

住まいは施工年次によって採光・通風・断熱・防湿などの設計思想が異なり、新しいものだけが良いとは限りませんが、好みの違いや進化の差などはあります。

最新の住まいの快適性や性能も体感してみることがおすすめです。その際にはぜひ、住宅展示場へお運びください。

提供

総合住宅展示場ハウジングステージ編集部

「住まいづくりの後押しを」をモットーに、皆様の理想の住まい実現に向けたコンテンツを制作しています。最新モデルハウスの情報はもちろん、資金計画や法律に関する情報、専門家によるアドバイスなど、家づくりに必要な情報を幅広くお届けします。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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