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住宅のマネーと制度

2026.10.23

解体費用の補助金はいくらもらえる?対象条件・申請方法と注意点を解説

老朽化で使えなくなった空き家のトラブルが、社会問題として拡大しつつあります。

適切な形で解体すれば、所有者(もしくは相続人)にとってもメリットが大きいケースもあるなか、放置されてしまうのは、費用や手続き、権利関係など、いくつかの理由があるようです。

各自治体で、空き家の解体促進を目的とした補助金制度を設けていることが多いです。本記事では、解体費用の補助金はいくらもらえるのか、対象条件・申請方法や申請時の注意点を解説します。

INDEX

解体費用に使える補助金とは?

各自治体が実施する住宅・空き家の除却支援制度は、老朽危険空き家の除却、耐震対策に伴う除却などを目的として実施されてきました。

空き家は年々増加し、街の景観を損ねたり、放火や犯罪の温床となったりするケース、不法投棄場所にされる、災害時の被害拡大など、生活環境に悪影響を及ぼすリスクが懸念されます。

空き家問題は全国規模なので、 国土交通省が行っている「空き家再生等推進事業」の一環として、自治体は国からの補助を受けて運営されていることが多いです。

ただしあくまで 補助金や助成金制度は自治体の制度であり、実施の有無や補助金額も自治体によってさまざまで、全国共通の制度名や条件で行われているのではありません。

解体費用の補助金はいくらもらえる?

解体費用の補助額は、前述のように自治体によってまちまちですが、補助対象経費・補助率・設定された上限額などによって決められています。

なお、自治体によっては解体の補助に対して「建て替え建設費」「耐震建物普及促進」「都市景観形成」「地域産業振興」「移住促進」など、複合的な意味合いで支給増額を図られている場合も。ご自分の状況に当てはまる点はないか、確認してみましょう。

補助率・上限額と自己負担額の計算例

ここで、平均的な補助の相場感をご紹介しましょう。(架空の計算例)

工事総額:150万円、補助対象となる経費:120万円として、
補助金の補助率1/2、上限額が50万円なら、
補助額50万円・自己負担100万円。

このように、工事総額の全額が対象とは限らない点には注意が必要です。また、自治体によっては年間の予算に、金額や受け入れ件数の形で制限を設けていることも。その場合、上限に達すると翌年の事業までは申請ができません。

自治体ごとの解体費用補助金の例

空き家解体に関する補助金の具体例をいくつか、以下の表にまとめました。(2026年9月16日現在。実際に適用される制度は解体建物の管轄自治体へお問い合わせください)

地域 空き家解体の補助金制度名 解体の補助金額 主な支給条件
東京都
荒川区
古い空家の解体費助成 解体費用の2/3(上限100万円) ・1年以上使用されていないことが確認できる
・昭和56年5月31日以前に建築された建物
・区が現場調査等により倒壊等のおそれがあると判定したもの
神奈川県
横浜市
住宅除却補助制度 以下のうち、最も低い額
・20万円(課税世帯)
・40万円(非課税世帯)
・50万円(旧耐震建築物)
・対象建築物の延べ床面積(m2)×21,800円/m2×1/3
・対象建築物の除却工事に要する費用×1/3
・平成12年5月末日以前に新築の工事に着手した建築物
・所定の方法で耐震性が低いと判断された建物(チェック方法)
・空き家特例(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)を適用する場合(併用可能)
埼玉県
行田市
老朽空き家等解体補助制度 解体費用の1/2以内(上限30万円) ・市からの指導や助言を受けた、危険と判断された家屋
・個人所有で1年以上未使用
・所有権以外の権利が設定されていない
・老朽空き家の所有者または相続人で、過去に当該制度未利用。
大阪府
和泉市
老朽危険空家等除却補助金 対象家屋の除却に要する費用・上限40万円
先着15件程度
・市の基準による不良度評点
・過去に同市の耐震関係補助金を受けていない建物
・課税所得金額507万円未満
北海道
札幌市
危険空家等除却補助制度 (通常型補助金の場合)以下のうち最も低い額
・空家等の除却工事費×3分の1
(純粋な除却工事費のみ・諸費用は含まない)

・国が定める標準除去費×延べ面積×10分の8
 木造の場合:36,000円、非木造の場合:51,000円

・50万円

・申請者は個人で未着手の工事が対象
・札幌市が危険空き家と認定
・許可業者と契約して行う工事
・ほかの補助金の交付を受けていない
・交付決定3か月以内に工事完了報告を提出

解体費用の補助金を受けるための条件

空き家解体費用の補助金を受けるためには、自治体ごとにそれぞれ定められた条件が存在し、それを満たすことが必要です。この項では、補助金を受けるために設定されている条件の例をご紹介します。

建物の条件|空き家・老朽化・耐震性など

建物の使用=1年以上住んでいないなど:多くの自治体では、空家等対策特別措置法の基準に基づき、1年以上人が住んでいない状態を条件としています。電気・ガス・水道といったライフラインが長期にわたって使われていない状態などが判断基準です。

新耐震基準を満たしていない:現行耐震基準を満たしていないことも、補助金を受ける際の条件とされていることが多いでしょう。主に1981年(昭和56年)6月1日に改正された新耐震基準が判断ポイントとなります。

現行の基準をクリアしていないなど=旧耐震基準で建てられた建物は、大地震の際に倒壊リスクが高いことから、解体を促す目的で、補助金の対象の一つです。

老朽化の進行=倒壊リスクが高い:老朽化が進んで倒壊のリスクが高い空き家も、解体補助金の対象となることが多いです。長年放置されたことで雨風の影響を受けて劣化し、地震や台風などの災害時に、倒壊する危険性も高まっているでしょう。

補助金を受けるには自治体公認の調査を受け、上記のほか建築時期や危険度、対象区域など基準を満たす必要があり、専門の担当者が物件を確認します。

その結果として、危険な状態にあると判断されれば、補助金の適用対象となるルールです。建物が古ければ対象となるというわけではない点に注意しましょう。

申請者の条件|所有関係・相続・税の滞納など

補助金の申請者は、建物の所有者・相続人などの申請資格を問われます。相続に関しては、登記完了済みか、未登記でも遺産分割協議書・戸籍謄本の提出で足りるかは自治体によって基準がさまざまです。

また、建物共有者の同意や税の滞納の有無なども確認対象です。申請の条件として、以下が問われることが多いでしょう。

● 空き家の所有者であること
● 税金の滞納がないこと
● 以前に同じ補助金を受け取っていないこと
● 暴力団との繋がりがないこと

工事の条件|対象経費・施工業者・解体後の用途など

対象となる工事については、以下の点が自治体によって条件が異なります。

● 建物本体以外の撤去費や残置物処分費等が対象となるか
● 施工業者の所在地等の要件(自治体内の業者か)
● 跡地利用条件の基準

これらの条件の有無も、一律に扱わずに、自治体ごとに事前の確認が必要です。

自分の地域の解体費用補助金を調べる方法

具体的に管轄自治体の対応を知りたい場合は、どのようにすれば良いでしょうか。

まず、建物がある管轄自治体の公式Webサイトを探すことが確実です。「自治体名+空き家+解体+補助金」と検索します。(うまく表示されない場合「除却」「助成金」のキーワードも含めましょう。)

補助金制度の有無、当年度の募集状況、事前調査の申し込み、申請窓口などを確認しますが、例年年明けから3月あたりにかけては、情報がやや古くなっている可能性があります。

この時期はまだ申請可能な枠があるか、翌年度に持ち越しか、翌年度は補助金事業が実施されるかなどは、電話などで役所に直接確認するのが良いでしょう。

解体費用補助金の申請から受け取りまでの流れ

この項では、解体費用補助金の申請から受け取りまでの流れをご説明します。自治体によって順序が異なるケースもありますが、以下は一般的な手続きの流れです。

参考:リショップナビ

①自治体への事前相談・対象確認・見積もり取得

工事契約前に自治体に連絡を取り、建物が補助金対象かの判定の流れを確認します。空き家解体の受給には、自治体の審査を通過することが必要です。審査通過のうえで、制度に対応する業者に工事見積書を依頼します。

通常は審査完了までに1か月ほどかかると考えましょう。申請が集中する時期はさらに長引くこともあるでしょう。

ここまでのプロセスはあくまで着工の前です。申請前に解体を進めると、補助の対象となりません。

②必要書類をそろえて申請し、交付決定を待つ

申請の際は以下の種類等を提出するのが一般的です。

● 申請書、工事見積書
● 建物の写真
● 所有関係を確認できる書類(謄本・相続関連など)
● 共有者の同意書など

申請の受理を受けたら工事の準備に入りますが、交付決定とは違うので、工事契約・着工できるタイミングを確認するようにしましょう。

③解体工事・実績報告・補助金の請求を行う

補助金の交付決定通知が発行された後に解体工事を開始します。解体工事には自治体への届け出や工事完了後の報告など、各種手続きを期限内に終わらせることが必要です。

解体工事が終わると、一定の期間内に必要な書類をそろえて自治体へ完了報告を行わなければなりません。必要な申請は、解体業者が代行してくれることが一般的です。

この審査を通過すると確定通知が発行されて、補助金を受け取ることができます。手続きを円滑に進めるために、業者と連携しながら必要書類の準備は早めに進めましょう。

補助金は工事終了後に支給されるので、解体費用は一度は全額自己負担です。資金を用意しておく点も忘れないようにしましょう。

解体費用の補助金を利用する際の注意点

この項では、解体費用の補助金を利用する際に注意すべき点についてまとめます。

予算到達による受付終了:補助金は「先着順」や「予算が上限に達した時点で終了」といった条件に注意が必要です。予算を超えれば、申請内容を満たしていても補助金は支給されません。

自治体のWebサイトで最新情報を確認し、早めに申請を進めましょう。

工事着手前に申請する:補助金を受ける前提として、工事着手前の申請が基本です。うっかり進めてしまったことで、受給対象外とならないように、注意しましょう。

工事完了による報告期限:解体費用の補助金における工事完了・報告の期限は、一般的に以下が設定されていることが多いです。

 日数による期限: 工事完了後から「20日以内」または「30日以内」
 日付による期限: 交付決定から数か月以内、またはその年度の末日(例:2月末や1月末など)

どちらの条件であっても「より早いほう」の期日が適用されるため、期限を確認のうえ、間違いなく報告を行う必要があります。

他制度との併用制限:同じ解体工事(同一の経費)に対して複数種の補助金を二重に受け取ることは原則として禁止です。例外として、自治体の単独予算(国費なし)の制度の場合、国の制度と組み合わせることが認められる場合もあります。

税金の減免措置が受けられなくなる:空き家の解体で、それまで適用されていた固定資産税や都市計画税の軽減措置が対象外となり、税負担が増えることが。

住宅の建っている土地は固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1に軽減されているところ、更地にするとこの特例の適用外となるためです。

ただし、以下のケースでは特例終了によって6倍にはなりません。

● 200㎡を超える広い土地(一般住宅用地)だった場合
200㎡超の部分は、解体前の特例でも「1/3」にしか軽減されていないことから、解除されても最大3倍の上昇になる。

● 更地の負担調整措置(上限)が適用される場合
更地(非住宅用地)の税額計算では、評価額そのままではなく「70%(または一定の係数)」を掛けた課税標準額となる=実際には3〜4倍程度に収まることが多い。

● 解体によって建物分の固定資産税がゼロになる場合
土地の税金は上がるものの、これまで課税されていた建物分の固定資産税がなくなる。

● もともと「特定空き家」等で勧告を受けていた場合
管理不良によりすでに特例の対象外であった場合、解体しても税額は変わらない。

● 1月1日(賦課期日)の判定タイミングに起因する場合
1月1日時点で新築や別の住宅の建築が始まっているなどの場合、自治体の認定や状況によって特例が継続・再適用される。

補助金が使えない場合に解体費用を抑えるには?

何らかの理由で補助金が使えない、あるいは使えたとしても、自己負担を極力減らすよう、費用そのものは抑えておきたいもの。

まず業者選定の際は相見積もりをしっかり行うのが基本です。同じ工事範囲で、複数社の見積もりを比較し、撤去・処分費や追加費用の条件まで確認しましょう。

そのほか、依頼するタイミング=季節や決算時期によって、値引きをしてもらいやすいタイミングがあります。

目安として、依頼に向くのは稼働に余裕ができやすい年明け〜2月・梅雨期(6月前後)で、依頼を避けたいのは需要が集中する3〜4月(年度末・新年度)と11〜12月(年末)です。

また、土地内の駐車スペースは作業車両に自由に使ってもらい、可能であれば土地の近隣の空き地を借り上げて解体業者に提供しましょう。重機のオペレーションや廃材の搬出が効率的になり、値引き交渉の材料となる場合があります。

参考:ワケガイ

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まとめ|解体費用の補助金は契約・着工前に確認しよう

解体費用の補助金はいくらもらえるのか、対象条件・申請方法や申請時の注意点を解説しました。

再度の確認ですが、補助額・対象条件・実施状況は自治体で異なります。したがって最初に起こす行動は以下です。

管轄地の制度確認→自治体への相談(診断依頼)→業者の見積もり取得

これらを基本にして、進めていきましょう。

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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