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2020/11/30

相続税の配偶者控除とは?

相続により配偶者が財産を取得すると、今後の配偶者の生活保障やこれまでの財産形成に対する貢献度を考慮して、相続税法上の優遇措置が受けられます。そのなかでも、特に大きなものが、「配偶者に対する相続税額の軽減」、いわゆる相続税の配偶者控除といわれているものです。皆さまも一度は聞いたことがあると思いますが、今回、この優遇措置についてみていきたいと思います。

ポイント

  1. 配偶者が相続により取得する財産は、最低でも1憶6千万円までは相続税はかかりません
  2. 二次相続を考慮した遺産分割を行うことで、相続税の総合計額を下げることも可能です

INDEX

相続税の配偶者控除とは?

相続税の配偶者控除とは、被相続人の配偶者が遺産分割等により実際に取得した正味の財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは、配偶者には相続がかからないという制度です。

  1. 1憶6千万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額

配偶者が相続により実際に取得した正味の財産額について、いずれか大きい金額ということは、最低でも1憶6千万円までは、相続税がかからないということを意味してます。簡単な事例にまとめましたので、図1を見て下さい。配偶者が取得する財産額について、2つのパターンを確認したいと思います。試算の前提として、相続人は配偶者を含めて3名、正味財産額は2憶円とし、配偶者が取得した財産以外は、長男・長女が各々2分の1取得することとします。なお、正味財産額とは、簡単にいうと、プラスの財産から債務・葬式費用等を差し引いた金額を指します。

例1では、配偶者の取得した正味財産額が1憶6千万円ちょうどだった場合となりますが、相続税の配偶者控除の適用により、相続税の納税額が0円になることがわかると思います。配偶者が取得する財産が1憶6千万円以下であれば、配偶者に相続税はかからないとうことです。

図1:相続税の配偶者控除の例示

(例1)配偶者の取得財産額が1憶6千万円の場合
項目 合計 取得者
配偶者 長男 長女
正味財産
(課税価格)
200 160 20 20
相続税額 27 21.6 2.7 2.7
配偶者控除 -21.6 -21.6
納税額 5.4 0 2.7 2.7

また、例2は、正味財産額の合計が4憶円で、配偶者が法定相続分である2分の1相当額の2憶円を取得した場合となります。配偶者が取得する財産として1憶6千万円を超えていますが、正味財産額の合計うち配偶者の法定相続分相当額を取得していれば、相続税額は0円になるという事例です。

図1:相続税の配偶者控除の例示

(例2)配偶者の取得財産額が法定相続分相当額の場合
項目 合計 取得者
配偶者 長男 長女
正味財産
(課税価格)
400 200 100 100
相続税額 92.2 46.1 23.05 23.05
配偶者控除 -46.1 -46.1
納税額 46.1 0 23.05 23.05

この相続税の配偶者控除の適用を受ける要件として、手続き要件があります。相続税の配偶者控除を適用して、相続税の納税額が0円となった場合であっても、申告書の提出が必要となりますのでご注意下さい。提出の際には、戸籍謄本、遺言書か遺産分割協議書の写し、配偶者が取得した財産がわかる書類などを合わせて提出する必要があります。

適用を受けるための留意点

相続税の配偶者控除の適用を受けるために、いくつかの留意点がありますので、主だったものについて見ていきたいと思います。

(1)遺産が未分割である場合は、対象となりません。

この相続税の配偶者控除は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算されることになっています。つまり、相続税の申告期限までに遺産分割できていない財産は、この特例の対象とはなりません。遺産分割が完了していることが要件となっています。
しかし、遺産が未分割の場合、相続税の期限内申告書等に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し提出することで、原則、申告期限後3年以内に遺産分割が完了すれば、相続税の配偶者控除の適用が可能となります。

(2)二次相続を考慮した遺産分割を行うことで、相続税の総合計額を下げることも可能です。

一次相続時には、相続税の配偶者控除を適用して相続税額が少なくなっていたとしても、その配偶者が被相続人となる二次相続時には、思っていた以上に相続税額が高額になるケースがあります。その理由としては、以下のとおりです。

  • 一次相続で取得した財産の他に、配偶者の財産も加算される
  • 二次相続は相続税の配偶者控除が使えない
  • 法定相続人が1人減るため、基礎控除額が低くなる

など

そこで、一次相続時に二次相続を見据えて、配偶者が相続する財産の範囲を決めると、一次相続および二次相続の相続税の総合計額が下がる可能性があります。図2の簡単な例示で見ていきたいと思います。
試算上の前提として、一次相続の相続人は配偶者を含め3名、正味財産額の2憶円について、「配偶者が1憶6千万円を取得するパターン」と、「1憶円を取得するパターン」での相続税額をまとめてみました。

図2:二次相続を見据えた遺産分割の例示

取得者 一次相続 二次相続 一次二次合計
正味財産 相続税 正味財産 相続税 正味財産 相続税
配偶者 160 0 0
長男・長女 40 5.4

200

33.4 240 38.8
合計 200 5.4 200 33.4 240 38.8

一次相続時:配偶者の取得財産が1憶円の場合(限度額以下に抑えた場合)

取得者 一次相続 二次相続 一次二次合計
正味財産 相続税 正味財産 相続税 正味財産 相続税
配偶者 100 0 0
長男・長女 100 13.5

140

15.6 240 29.1
合計 200 13.5 140 15.6 240 29.1

二次相続時において、配偶者の個別財産が4000万円あったとし、単純に一次相続により取得した財産との合計額を二次相続時の正味財産額(長男・長女は各々2分の1取得。)として計算しています。
一次相続時に、配偶者が控除限度額となる1憶6千万円まで取得しなかった場合は、相続税額は割高になります。しかし、相続税額が高くなりやすい2次相続時には、正味財産額が抑えられることで、相続税額が割安になる結果となりました。この場合、一次相続と二次相続の相続税の総合計額でみてみると、全体の相続税の負担が低くなることが分かると思います。

一次相続だけを考えるのであれば、相続税の配偶者控除を存分に活用するに越したことはありません。しかし、その反動で、二次相続時に多額の相続税を納税する結果になることもあり得ます。相続対策を考える際には、一次相続だけでなく、二次相続を見据えて検討されることをおすすめいたします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2020年10月19日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて詳細をご確認ください。

執筆・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、他業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、
令和元年12月に、池袋にて独立開業。
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