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2021/07/15

配偶者控除は贈与税と相続税どちらがお得?

夫婦間の相続や贈与をとおして財産が移転した場合の税金を計算する上で、いくつかの優遇措置が認められています。代表的なものとして、夫婦間で贈与を行なう場合の「贈与税の配偶者控除」。もうひとつは相続により配偶者が財産を取得した場合の「配偶者に対する相続税額の軽減」(以下、「相続税の配偶者控除」とします。)があります。今回は、夫婦間の税制上の優遇措置の内容についてご紹介します。

ポイント

  1. 贈与税の配偶者控除の適用となる財産は、居住用不動産(マイホームまたは購入資金)になります。
  2. 相続税額が高額になりそうな場合、贈与税の配偶者控除の利用を検討してみましょう。

INDEX

贈与税と相続税の「配偶者控除」のポイント

たとえば、配偶者の生活拠点を確保し、安心して生活してもらうために、配偶者にマイホームを取得させようとします。生前に贈与する場合には、「贈与税の配偶者控除」、相続発生を機に取得させる場合には、「相続税の配偶者控除」という優遇措置が利用できます。まずは各々の制度の概要について図1にまとめました。なお、どちらの優遇措置も、一定の要件を満たすことで適用されます。かならず、利用する前に適用要件の確認をしてください。

図1:贈与税の配偶者控除と相続税の配偶者の税額軽減の概要

項目 贈与税の配偶者控除 相続税の配偶者控除
概 要 贈与時に正式な婚姻期間20年以上の配偶者から下記の財産を取得等し居住
・マイホーム(居住用不動産)を取得
・金銭を取得しマイホーム購入
      ↓
贈与財産の価額から最高2000万円控除
相続により配偶者が取得する正味財産額のうち、最低でも1憶6千万円までは、配偶者に相続税はかからない
その他主な要件 一定の書類を添付して贈与税申告が必要 ・遺産分割が成立していること
・相続税の申告が必要

贈与税の配偶者控除は、贈与を受けた財産の価額から最高2000万円までの控除(非課税枠)。

贈与の日において婚姻期間が20年以上である配偶者から、マイホームとなる居住用不動産の贈与を受けた場合や、金銭の贈与を受けてマイホームとなる居住用不動産を購入し住み始めた場合に利用できる制度です。もともとの暦年課税贈与の年間110万円と、この贈与税の配偶者控除を合わせて、最高2110万円までの贈与財産については贈与税がかかりません。

相続税の配偶者控除は、最低でも1憶6千万円まで相続税がかからない

被相続人の配偶者が、相続などにより実際に取得した正味財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは、相続がかからないという制度です。

  1. 1憶6千万円
  2. 配偶者の法定相続分相当額

いずれか大きい金額ということは、最低でも1憶6千万円までは相続税がかからないということです。仮に、正味財産額が4憶あり、配偶者の法定相続分が2分の1だとすると、配偶者が取得する正味財産額としては2憶円まで相続税はかかりません。なお、正味財産額とは、簡単にいうと、プラスの財産から債務・葬式費用などを差し引いた金額をいいます。

マイホームのような高額になるものでも、配偶者に移転させる場合には、贈与にせよ相続にせよ、税制上の優遇措置により、税負担を最小限におさえて移転させることができます。

それぞれの相違点などから考える

ここでは、配偶者に財産を移転させる際に、贈与で移転させるか相続を機に移転させた方がいいのか考えていきます。図2にそれぞれの制度のメリットとデメリットをまとめてみたのでご確認ください。
※夫から妻への贈与、かつ、一次相続が夫の場合と仮定。

図2:各制度の主なメリット・デメリット(夫から妻に贈与・一次相続は夫の場合)

項目 贈与税の配偶者控除 相続税の配偶者控除
メリット ・贈与したマイホームは、夫の相続時の遺産分
 割対象から外れる
・夫の相続時に、贈与税の配偶者控除された
 価額に対応する相続税を減らせる
・生前にマイホームを売却予定の場合、
 譲渡所得の特例(3千万円特別控除)を
 夫婦で使える可能性あり​
・妻には、相続税負担が少なく、多めの財産を残せる
・流通コストは登録免許税(税率0.4%)のみ​
デメリット ・下記の流通コストあり
 不動産取得税※(R3.12.31まで取得分)
  土地の税率3%
  建物の税率3% ※軽減特例あり
 登録免許税:税率2%
・子供がいない場合、先に妻に相続があると
 意味がなくなることもある(夫に戻るため)
・争続の場合は基本的に使えない。(一定の手続きを行うことで利用可能)

贈与税の配偶者控除の利用のポイント

まず相続税が多額と見込まれる場合、相続対策の一環として利用できます。

生前に妻にマイホームなどの全部もしくは一部を贈与することで、夫の相続財産を減らすことができます。

相続などにより財産を取得した相続人が、相続開始前3年以内に取得した贈与財産については、相続財産に加算しなければならない決まりがありますが、マイホームなどについては、たとえ相続開始前3年以内の贈与財産であったとしても、特別控除された金額までは相続財産に加算する必要はありません。つまり、確実に相続財産を減らすことができるのです。さらに、事前にマイホームを妻に贈与しておくことで、相続発生時に、マイホームについて遺産分割の対象とならないため、妻が安心して住み続ける家があるという点もメリットになります。
また、贈与税の配偶者控除を検討する場面としては、生前にマイホームの売却予定があり、売却益がでると見込まれる場合が考えられます。
譲渡所得の計算上、居住用財産の3000万円特別控除という優遇措置があり、一定の要件を満たすことで売却益から最高3000万円の特別控除が認められています。
贈与税の配偶者控除を利用してマイホームの持分の一部を妻のものとし、共有状態で売却することで、夫婦合計で最高6千万円の特別控除が可能となります。
なお、贈与税の配偶者控除を利用する際には、贈与税がなかったとしても、不動産取得税や登録免許税などの流通コストがかかることは覚えておきましょう。

相続税の配偶者控除の利用のポイント

被相続人である夫が住んでいた土地(宅地)を配偶者が取得する場合、一定の要件のもと、土地の評価額を8割減額できる「小規模宅地等の特例」が使えます。
この場合、宅地の評価額は自用地の2割評価額となった上で、最低1憶6千万円までの正味財産額までは相続税がかかりません。
節税対策の観点からは、夫の財産額が、これらの特例を利用して相続税がかからない水準であれば、無理に贈与税の配偶者控除を利用しなくてもいいという考えもあります。

もし「争続」になった場合は、遺産分割ができない間は、基本的に相続税の配偶者控除などは利用できないため、生前に遺言書を作成するなどの対策をお勧めします。

配偶者にマイホームを移転させる目的を明確にしたうえで、どの税制上の優遇措置を利用するのかを検討してもらえればと思います。
特に、相続財産の構成上、不動産の占める割合が高い場合、二次相続を見据えて、生前に分割対策などの相続対策について検討されることをお勧めします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2021年6月4日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて該当制度の詳細をご確認ください。

執筆・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、他業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、
令和元年12月に、池袋にて独立開業。
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