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住宅のマネーと制度

2026.06.17

マイホームは家賃手当てがなくなる?理由や補助のメリット・デメリットを解説

収入や勤続状況が安定してくると、マイホーム購入を考える方も多いでしょう。その際、住宅手当が打ち切りになるケースもあり、「損なのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、住宅手当の仕組みを理解すると、必ずしも損とは言い切れません。

そこで本記事では、マイホームで家賃手当てがなくなってしまう理由や、補助のメリット・デメリットを解説します。

持ち家にともなう生活設計の参考にしてください。

INDEX

そもそも住宅手当とは何?

住宅手当とは、勤務先の企業が家賃の一部を支払う仕組みで、住居手当ともいわれています。

勤務先からの住宅手当が行われる理由は、福利厚生の一環としてです。

一方で、国や自治体が支払う家賃補助制度は、以下のような目的が設定されています。

  • ● 若い世代や新婚世代の定住
  • ● 自治体への誘致(移住者支援)
  • ● 子育て世帯や高齢者世帯への支援
  • ● 生活困窮者への支援

公的な家賃補助は、地域振興・移住支援がメインで、次いで住居獲得困難者への生活支援ということができるでしょう。

住宅手当のメリットとは

住宅手当の最大のメリットは、住居費の負担軽減でしょう。

職場でまだ若手従業員の方は、給与収入に対する住居費の割合が高いため、とくに恩恵は大きいです。

たとえば都市部であれば、手取り20万円ほどで7万円の家賃を払い続ける状況で、2〜4万円程度の補助があるとかなり楽ではないでしょうか。

2025年、株式会社エフアンドエムの調べによると、中小企業で2万円超3万円以下を支給上限額としている企業が30.3%となっています。

しかし、中には上限5万円という企業も13.8%あり、大企業を含めると、5万円以上の支給例も多くあると考えられるでしょう。

住宅手当があれば、住居予算を上げられ、会社の近くに住んで通勤が楽になるなどの恩恵もあります。

住宅手当のデメリットとは

住宅手当は給与の一環として扱われるので、その結果、所得税や住民税の課税額が増えます。

税金だけではなく、社会保険料の金額も給与(標準報酬月額)によって決まるため、負担は上がることに。

これらは給与が上がったのと同じと考えれば、デメリットとはいいきれない部分もあり、たとえば標準報酬月額が上がるということは、将来の年金支給額が上がるということです。

しかし問題となるのは、どちらかというと住宅手当がずっと支給されるとは限らない点です。

住宅手当=住宅手当には法律上の年齢制限はありませんが、多くの場合30歳までや35歳までと限定したり、年齢で支給を減額したりするケースが一般的です。

また、法定の制度ではないため企業には継続の義務はありません。転職先には住宅手当がないこともあるでしょう。

そして、退職後や定年退職後の状況も考えましょう。

住宅手当や給与収入なしに、賃貸物件に住み続けられるでしょうか。さらに、年齢によっては賃貸物件の住み替えが困難となっていることもあります。

将来に向けて住居費や、持ち家への住み替えも検討しておきましょう。

住宅手当を支給する企業が減っている理由

住宅手当は、企業にとっても大きな経費負担になることもあり、近年減少傾向にあります。

好景気のころの企業にとって、手厚い住宅手当は企業イメージアップや従業員のモチベーションアップ、人材定着させるための有効な手段でした。

しかし、人材不足であることは現在も変わりなくとも、住宅手当は減少傾向に転じています。

以下は、企業の負担する福利厚生費用の構成比です。

出典:日本経済団体連合会「第64回 福利厚生費調査結果報告

上記経団連発表のデータでは、住宅手当など住まい関連の福利厚生は、法定外の福利費の中で48.2%と半数近くを占め企業経営を圧迫していたのです。

また、企業の人事評価が成果主義型に移行し、成果に関わらず支給が必要な住宅手当は、悪平等ではないかという考えが生じてきたこともあります。

そして、「同一労働同一賃金」が普及してきたことによっても、正規雇用者だけに支給される住宅手当が格差であると考えるようにもなりました。

さらに、働き方が多様化し、リモートワークの普及から、在宅勤務の光熱費・通信費などを「在宅勤務手当」で支給するという方向性も生まれています。

マイホームだと住宅手当がなくなる理由

税制上のメリットが少ない

前述のように、会社からの住宅手当は給与扱いとなるため、所得税や社会保険料の対象となります。

一方、節税効果が高い借り上げ社宅(会社が直接家賃を負担する)に対して、持ち家への住宅手当の現金給付は、節税のメリットが少ないです。

従業員にとっても、税金が引かれて手残りは少なくなることが多く、福利厚生として効率が良くないと、廃止したり他のメニューに切り替えたりする企業が増えています。

多くの社員が使う福利厚生に予算が割かれるため

企業が福利厚生にかけられる総予算には限りがあります。その予算をどのように配分するかは、「より多くの社員が利用できる制度は何か?」という選択基準となります。

多くの社員が利用したい・しやすい制度の例

  • ● 育児支援
  • ● 自己啓発
  • ● 健康増進

上記のような希望がある中、持ち家に対する手当の恩恵にあずかるのは一部の社員に限られるでしょう。

近年の福利厚生は不公平感を解消し、多様な働き方を支えるために、利用者の多さを優先して提供される方向性にあります。

正社員と非正規社員の間の待遇差をなくすため

前述のように、正規雇用社員向けの福利厚生施策として、持ち家向けの手当支給があることは、非正規雇用社員との待遇差に映るでしょう。

近年導入された「同一労働同一賃金」の考え方からも、不当な待遇差を設けることが禁じられました。

正社員だけに支払われている状況を是正するうえで、企業は以下を迫られます。

  • ● 非正規社員にも同様の手当を支給
  • ● 正社員の手当を廃止する

コスト削減の方向性で住宅手当を廃止し、一部を基本給に組み込むなどの変更が進みはじめました。

リモートワークが普及したため

リモートワークが普及し、毎日通勤しない社員が増えたことで「通勤の利便性を担保するための費用補助」という当初における手当の目的が形骸化しました。

「週に何日か通う分には、会社から多少遠くてもいい」という考え方です。

どこの場所でも働ける業務の環境が整いつつある昨今、前述のように支給用途を住居手当よりも在宅勤務手当に充てる企業も増えています。

一度導入すると削減できないコストなため

福利厚生の方向性は、社員の声をモニターしながら最終的には、経営上のコスト判断が最大の決定要因となります。

住宅手当は住居費に関わるものなので、一度導入すると突然のカットは難しい固定費です。

企業は持ち家を持つ安定した労働力に住居費を補助するような、終身雇用的な福利厚生よりも、成果に応じた賞与支給という方向にコストを使う道を選びつつあります。

マイホームでも住宅手当が受けられるケースとは?

マイホーム購入後の転勤や単身赴任の場合

持ち家を購入した後に転勤が必要となり、単身赴任と決まった場合は、2か所の住居費を個人負担する形となるため、赴任先の住居に対して、手当が出る可能性があるでしょう。

自宅には家族が住み続けている場合であっても、赴任先の住宅手当自宅の維持費(住宅ローン補助費)が、単身赴任手当などの名目で支給されるケースもあります。総務部門によく問い合わせてみましょう。

マイホームの購入が推奨されている企業の場合

住宅手当の支給条件に「世帯主であること」が含まれているような規定のケースでは、持ち家でも自分が世帯主であれば、支給される会社がまだ残存しています。

とくに、公務員以外で古い体質を維持しているような企業や、独自の互助組織を持つような会社の場合では、特別な事例が存在するのです。

住居の形態=賃貸か持ち家かを問わず、世帯主であることで家族手当のニュアンスをもって支給されることがあります。

また、会社が指定するエリア(過疎地や会社近辺などが多い)に家を買った場合、地域貢献の一環で住宅補助が出るという変わったケースも。

ただしこれらの、マイホームで住宅手当制度を持つ企業はどちらかというと少数派の事例であるため、あくまで一部のことと考えましょう。

住宅手当の代わりになる制度

住宅ローン控除

マイホーム購入者にとって最強の味方となる制度が、税制優遇の一種である住宅ローン控除です。新築で13年の時限付きですが、会社からの手当として想定される額よりも、金額が大きくなることが多いでしょう。

会社員は初年度だけ確定申告を行うことで、翌年以降は年末調整で控除が適用されます。

制度名 内容 公式サイトURL
住宅ローン減税
住宅ローン控除
年末のローン残高の0.7%を所得税等から控除 国土交通省公式サイト

子育て世代・若者世代であるか、つくる住居の住宅性能などで、適用される条件が変わります。

自治体のマイホーム取得支援制度の活用

これからマイホームを取得する地域の自治体によっては、独自のマイホーム取得支援金事業が行われている場合があります。

自治体のマイホーム取得支援制度例

制度名 内容 公式サイトURL
東京都港区
子育て世帯等住宅取得支援事業補助金
子育て世帯または若年夫婦世帯の新築・中古取得で10万円 港区
埼玉県秩父市
結婚新生活支援事業補助金
新婚・新築かリフォームおよび引っ越し代金補助
上限30〜60万円
埼玉県秩父市
千葉県勝浦市
若者等住宅取得奨励金
若者夫婦(夫・妻の両方またはいずれかが満39歳以下の夫婦)が新築または購入した勝浦市内の住宅に転入で上限60万円 千葉県勝浦市

「子育て世帯の転入」などを条件に、数十万円単位の補助金が支給されるケースもあります。

ただし、希望するエリアで必ず支援事業があるとは限らず、タイミングによっては申し込みが規定数に達して、その年の受付が終わっていることもあり、要注意です。

自治体公式ホームページをチェックし、最新情報を必ず確認してください。

また、国が行う下記のような高性能住宅の支援事業もお見落としなく!

まとめ

マイホームで家賃手当てがなくなってしまう理由や、補助のメリット・デメリットを解説しました。

現在の福利厚生制度上は、非正規雇用格差回避、リモートワーク普及、実力主義など、持ち家に手当が出なくなってきている理由もお分かりいただけたかと思います。

ただし、持ち家のほうがさまざまな助成金、税控除を受けられて、おとくな点が多いのも事実です。賃貸との違い、持ち家の良さにも、ぜひ目を向けてみてください。

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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