Find your new style!

会員番号:

住宅のマネーと制度

2026.07.15

農地を宅地に転用する際に必要な手続きは?費用目安や注意点を徹底解説

取得費用も維持費も、非常にリーズナブルな農地転用ですが、誰でも希望の土地を取得できるわけではありません。

複雑な許可申請や、土地ごとの分類の違いに対応する必要があり、相応の日数を要する場合も。

本記事では、農地を宅地に転用する際に必要な手続きはどのようなものか、費用目安や注意点などを解説します。農地の土地取得には必須の情報なので、参考にしてください。

INDEX

農地を宅地にするための”農地転用”とは?

農地転用とは、田や畑などの農地を、宅地や駐車場など農地以外の目的で利用するための申請で、都道府県による許可制となっています。

農地は日本の食糧供給を安定させるうえで不可欠なものであり、無秩序に農地以外のものにしてしまうのは、良いことではありません。

しかし、地域の活性化や帰農、新規の就農などを生み出すためには、現状では農地として活用されていない土地を対象に、転用したほうが有効な場合もあるでしょう。

そのため農地法では、農業生産の安定と有効な農地転用の均衡を目指しながら、無秩序な転用を防ぐ施策を行っています。

農地転用は、農業委員会(後述)との下図のようなやりとりを経て、許可が下りるシステムです。

引用:日吉津村

農地を宅地に転用する際にかかる費用の目安

農地転用の申請自体には、費用は不要となっていますが、提出資料の準備、特別な許可申請などで必要となる費用として、以下のようなものが挙げられます。

申請書類にかかる費用

提出資料として土地の登記簿謄本や公図、地図のコピー代など、提出資料の収集にかかる費用として、10,000円万円弱が必要となります。

登記簿謄本や公図、地図の写しは法務局で誰でも取得することが可能です。近年では管轄以外の法務局でも取得が可能となっています。

土地改良区の除外決済金

対象となる農地が、土地改良区域内にある農地である場合、管轄土地改良区からの意見書(同意書)を発行してもらい、申請時に添付する必要があります。

意見書の発行には、土地改良区から対象となる農地を除外してもらう必要があり、除外金が必要となるのです。

除外金は土地改良区ごとに設定が異なるものの、1㎡あたりで100~500円程度が徴収されると考えましょう。

たとえば土地が100㎡の場合、10,000~50,000円程度が必要となります。

行政書士への依頼費用

以降の項目は、知識のない方には困難かつ日数が余計にかかってしまうため、行政書士など専門家への依頼費用の相場をご紹介します。

農地法第4条許可

依頼費用相場:
市街化区域内=30,000〜50,000円程度
市街化調整区域・非線引き区域=60,000〜100,000円程度

第4条の転用は、自己所有の農地を転用する場合に必要となる届出です。
たとえば農地に自宅の建築、貸し駐車場をつくるなどの場合に必要となります。

農地法第5条許可

依頼費用相場:
市街化区域内=30,000〜50,000円程度
市街化調整区域・非線引き区域=75,000〜100,000円程度

第5条の転用は、農地を賃貸や売買したうえで転用する場合の届出です。
たとえば他人が買い取って自宅や駐車場に変更する場合などに適用されます。

農振除外申請

依頼費用相場:
100,000〜300,000円程度

農振除外=農業振興地域の除外申請は、転用したい農地が農業振興地域整備計画の農用地区域内に指定されている場合、農用地区域から除外してもらうための申請です。

農振除外の申請は、受付が年1〜3回と決まっているため(自治体によってサイクルは異なる)、申請から許可までに最短でも約6か月、一般的には1年前後かかることもあります。

農業振興地域の中にも、青地(農業以外の目的の利用制限が厳しい)と白地(利用規制が比較的緩め)の区分があり、それぞれ対応が異なります。取り扱いの違いや、該当の農地がどちらに相当するかは、自治体の担当部門に問い合わせてみましょう。

引用:HOME4U

土地分筆登記

土地家屋調査士への依頼費用相場:
200,000~500,000円程度

建築する建物に対して、転用する農地の面積が大きすぎる場合は転用対象にできないので、必要な面積に分筆したうえで、農地転用を行う必要があります。

分筆は専門的な測量技術も要するため、登記まで含めて専門家である土地家屋調査士に依頼する作業です。

農地を宅地に転用する際にかかる期間の目安

農地転用の許可申請は農業委員会で受理されたあと、農地の広さなどによりますが4~6週間で許可となります。

しかし、農地が土地改良区内にある場合や、農業振興地域内の場合などは、除外申請をしなければ農地転用をすることができません。

土地改良区内にある場合、その除外申請には2週間程度が必要です。問題は農業振興地域内にある場合で、前述のようにその除外申請には半年から1年程度が必要となるため、「家づくりは急がずに、住環境とコスパを重視したい」という人向きでしょう。

農地を宅地に転用する際の手続きの流れ

農地に家を建てたい場合、都道府県知事から農地転用の許可を受ける必要があります。

農地法上の申請方法について、農地の利用方法による違いは以下です。

申請の種類 主な該当ケース
農地法第3条許可 農地を耕作目的で売買、贈与、または貸借する場合
(転用を伴わない)
農地法第4条許可 自分の農地に自分用の家などを建てる場合
(売買を伴わない)
農地法第5条許可 農地を買ったり、借りたりした人が宅地などとして使用する場合

第3条の許可を得るには、買主が農業従事者として認められる必要があり、また異なる準備や手続きが必要です。

この項では、農地法の4条と5条=農地を宅地に転用するための、以下の手続きの流れをご紹介します。

  1. 1. 都道府県知事の許可
  2. 2. 農業委員会への届出
  3. 3. 書類の提出

①都道府県知事の許可

必要書類を提出し、転用の詳細が確認されると、「都道府県知事許可」を受けられます。

許可基準は下記の2種類です。

  • ● 立地基準:農地区分によって許可方針が異なる。
  • ● 一般基準:転用計画の確実性や周辺農地への支障の有無などで許可が判断される。

②農業委員会への届出

転用する自治体の農業委員会を通して、都道府県知事への許可申請(届出)を行います。

農業委員会は農地に関するさまざまな事務作業を行う行政委員会です。

農地に家を建てる場合、以下から始めましょう。

  • ● 転用の進め方は、管轄の農業委員会や自治体の建築指導課へ相談する
  • ● 土地の名義・区画の変更にかかる登記や測量は、土地家屋調査士に相談する

③書類の提出

申請書には、以下に挙げた書類も添付します。必要に応じて追加書類を求められるケースもあるため、その場合もなるべく早く準備し、提出しておきましょう。

提出書類・添付書類 概要・詳細・注意事項
【法人の場合、下記いずれか】

  • ● 定款
  • ● 寄付行為の写し
  • ● 法人の登記事項証明書
登記事項証明書は3か月以内に発行されたもの。
  • ● 地図
  • ● 土地の登記事項証明書
土地の位置を示す地図。
登記事項証明書は全部事項証明書であり、かつ3か月以内に発行されたもの。
  • ● 土地の図面
土地に設置しようとする建物その他の施設、必要な道路、用水・排水施設その他の施設の位置を明らかにする図面。
  • ● 資力および信用を証するための書面
資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力および信用があることを証する書面。
  • ● 合意を証する書面
申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者との合意があったことを証する書面。
  • ● 土地改良区の意見書
申請土地が土地改良区の地区内にある場合に取得。
  • ● その他参考となる書類
必要に応じて、証明や参考となる書類(戸籍謄本や印鑑証明など)。

申請書の送付から、都道府県知事の許可が下りるまでは数か月が必要となるため、早めに書類準備や手続きを行いましょう。

農地を宅地に転用する際の注意点

農地を宅地にする許可を受けたあとは、登記されている地目を変更する必要があります。許可を受けたあとに、1か月以内に管轄の法務局に申請をしましょう。

地目変更登記の申請書に農業委員会から発行された「農地転用許可書」「届出受理通知書」などを添えて提出が必要です。

分筆登記などと併せて土地家屋調査士に依頼する場合、追加で30,000~50,000円程度の費用がかかります。

登記を怠ると過料の対象となってしまうため、要注意です。

農転手続きの提出図面でも確認を受けますが、家をつくる場合は接道義務など建築基準法にのっとった整備が必要となるので、併せて事前に確認しておきましょう。

まとめ

農地を宅地に転用する際に必要な手続きはどのようなものか、費用の目安や注意点などを解説しました。

複雑かつ日数を要する農地転用手続きですが、移住など、目的によっては理想的な住環境を格安で入手するチャンスでもあります。

しかし、知識なく全ての手続きを進めていくのは大変な作業です。地元の不動産会社で土地販売に強いところには、市街化調整区域や農地の開発許可に関してノウハウを持ったスタッフが在籍しているものなので、サポートを受けることをおすすめします。

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

© Housing Stage All rights reserved.

この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

この記事をシェアする

おすすめ記事 他の記事を見る

住宅のマネーと制度の関連記事 他の記事を見る

pagetop