2026.05.20
ホームエレベーターで後悔しないために!価格や設置後の費用を解説!
住まいづくりのうえで、一般的に「自宅にエレベーターを付ける必要がある?」と考える方が多いかもしれません。しかしホームエレベーターは、住まいを活用するうえでの自由度を一気に高めてくれるメリットがあるのです。
しかしある程度便利さを知る方も、「お金がかかるのでは?」という不安はあるでしょう。
本記事では、ホームエレベーターで後悔しないために、設置のメリットや後悔ポイント、価格や設置後の費用を解説します。
INDEX
ホームエレベーターとは何?

ホームエレベーターとは、個人の住宅での仕様を想定した構造や形態の昇降機=エレベーターです。不特定多数の人が利用する通常のエレベーターとは異なり、定期検査は義務付けられません。(定期的なメンテナンスは要します)
似た規模や規格の商品で、小型エレベーターといわれるものがありますが、小型エレベーターとホームエレベーターは違います。
小型エレベーターは福祉施設、診療所、学校などの施設で利用され、通常のエレベーターにかけられている積載荷重条件が緩和されたものです。小規模とはいえ、商業用途の耐久性や安全性を求められます。
これに対してホームエレベーターは、設置できる場所が住戸、定期検査が不要なほか、昇降行程の上限・下限規定もなく、かご床面積が1.3㎡以下という規定です。内装材に難燃材使用の制限もなく、住宅のインテリアに合わせてデザインの自由度が高くなっています。
ホームエレベーターと階段昇降機の違いを比較
階段昇降機もまた、上階への昇降をアシストしてくれる機器です。階段のスペースを利用し、上り下りを可能にします。ホームエレベーターが家族全員の利用を前提とするのに対して、階段昇降機はおもに介護・介助を必要とする人向けに設置されることが多いでしょう。
階段昇降機は「椅子式階段昇降機」と「車いす用階段昇降機」の2種類があります。
椅子式階段昇降機は階段にレールを取り付けてレール上を椅子が上り下りするものです。一般的な住宅では大部分のご家庭がこちらの設置をする傾向です。
ホームエレベーターは住宅の強度や耐久性、一定の設置スペースが必要で、後付けが困難な場合もあります。反面階段昇降機は費用もホームエレベーターと比べてかなり安価で、設置スペースも少なくて済むでしょう。後付けする場合も施工が容易で、壁補強のリフォームは必要ありません。
ただし両者は本来用途として別のものであり、介助目的で検討する場合、予算に応じて比較することになるでしょう。
ホームエレベーターを導入する3つのメリット

身体的負担の減少
次項のバリアフリーが必要というほどではなくとも、階段で息切れを感じたり、足腰の痛みから昇降に消極的になったりする状況はありえます。階段の昇降は何度も繰り返すものであり、大きなストレスになる場合も。
このようなストレスを抱える人の行動が積極的になり、気持ちが前向きになるならば、設置の意味はあるでしょう。
とくに3階建て家屋でのありがたみは大きいといえます。スペースに制約のあることが多い3階建ての設計ですが、利用が推奨されるケースは多いでしょう。
バリアフリーへの対応
「エレベーターがあると運動不足になるのでは?」というのは、健康体な人の意識です。高齢でフロア間の昇降が困難になったり、事故などで運動機能が低下したりという場合、ホームエレベーターは必要となるでしょう。
近年では、将来のバリアフリー対応を視野に、段差をつくらない、廊下を広く取る、1階居室の準備などの設計を盛り込む方も増えています。
「今必要ないものに、数百万円の追加予算?」と考えたくなりますが、実は今必要ない、というわけでもありません。
荷物の運搬に困らなくなる
ホームエレベーターは、住まいの利用、設計の自由度を大幅に高めてくれます。たとえば採光・通風などの関係で2階や3階にLDKを設けたいという場合などはどうでしょうか。
家に頻繁に搬入する重い荷物といえば、食材の買い物です。2階以上にキッチンやパントリーを設ける場合、ホームエレベーターはその強力なアシストをしてくれることになります。
また、階下にランドリースペース・2階以上に物干しスペースという場合、毎日の洗濯物運搬でエレベーターが利用できるのは、とてもありがたいでしょう。
このほか、自宅で店舗やビジネスを営む場合の、顧客と家族の動線分断など、ホームエレベーターは自由な家使い・部屋使いにおいても重宝します。
ホームエレベーターの選び方を解説

生活への干渉度で選ぶ
まず、今と将来の家族の姿に思いを馳せ、エレベーターをどのように使用するか、シーンを想定してみましょう。日常生活での移動や、各階の使用方法・頻度を考えます。
高齢のご家族がいる場合、さらに5年後、10年後の状況も想定してみましょう。介護が必要になった際の利用方法も調べたり考えたりすることが大切です。1階に生活動線を集中させるだけでこと足りるのかがポイントでしょう。
階段利用が困難なご家族がいる場合、階段昇降機かホームエレベーターかの選択肢を、部屋使いの想定に基づいて検討します。
3階建て以上の住宅や、家事や洗濯の動線設定などに応じて、普段から家族全員にニーズが高くなるケースも想定してみましょう。
費用から選ぶ
候補の商品が選べたら、設置費用と維持費用の総額を計算し、家計への影響をしっかり検討する必要があります。
ホームエレベーターの一般的な耐用年数20年でかかる総コストを計算してみて、費用に見合う価値があるかを考えてみます。
また、設置の初期費用については、条件に合えば以下のような補助金の利用申請も、視野に入れてみましょう。
- ● 自治体の高齢者・障害者住宅改修費助成(住宅改造支援)
多くの市区町村でバリアフリー化目的のエレベーター設置に補助金が支給される。 - ● 長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
既存住宅の耐久性向上やバリアフリー化工事が対象。耐震性確保が必須となる場合が多いものの、補助対象となる。
補助金は年度によって内容の変更・実施の有無などがあるため、常に最新の情報を確認し、実施がない場合でも代替えの制度がないかなどを問い合わせするなどをおすすめします。
ホームエレベーターを設置することで住宅の資産価値にプラスとなることが考えられます。将来的に売却の予定がある場合は、検討材料の一つとなるでしょう。
設置場所やスペースから選ぶ
エレベーターの設置と、その場所によって、家そのものの使い勝手が大きく変わるでしょう。各階でエレベーターを設置する予定位置から、各部屋への動線を考え、有益性を判断します。
さらに住宅展示場などで実際のエレベーターを確認し、騒音や振動の影響なども含めて総合的に検討しましょう。
ホームエレベーターの設置にかかる費用相場

本体価格の相場
| エレベーター本体 | 価格相場:250~700万円 |
|---|
ホームエレベーターにおける本体価格の主流は、3人乗り用・2階建てのタイプで300万円台前半です。必要な階数やオプション設定、設置状況などによって価格が変動します。
家庭用エレベーターはまだ普及度や知名度が高くない関係で、海外産で格安の商品が登場していないようです。
設置工事費用の相場
| エレベーター本体 | 価格相場:40~50万円 |
|---|
エレベーターを設置するための工事費用ですが、メーカー公表の本体価格に設置工事費用が含まれている場合もあるため、確認が必要です。
また、ホームエレベーターを設置する際には建築基準法により、「建築確認申請」が義務となっています。この申請費用は約10~15万円が必要となるのが相場です。
後付けにあたり増築をする場合、増築部分が10㎡を超える場合や、建物が防火地域にある場合、建物自体の確認申請も必要となります。
申請費用は申請する都道府県や管轄の特定行政庁などによって異なり、建築物の種類や管轄の行政によっては不要になる場合がありますので、正確な内容は行政へ確認が必要です。
ホームエレベーターの価格が決まる要素

サイズによる変動
家庭用エレベーターは、設置する容積のサイズによって価格が異なります。住宅用でも小型のエレベーターから、車いすが乗り入れ可能な大きめのエレベーターまで、サイズが大きくなるほど、価格も高くなります。
ホームエレベーターの面積例(三菱電機ホームエレベーターのラインナップ)
| タイプ | 奥行 | 間口 | 出入口幅 |
|---|---|---|---|
| グランデ | 1,350 | 950 | 800 |
| ファミリー・DX | 1,100 | 950 | 800 |
| ファミロング | 1,250 | 880 | 800 |
| ファミスリム | 970 | 900 | 680 |
| コンパクト | 900 | 770 | 680 |
| ジュニア | 560 | 1,000 | 800 |
※2026年4月現在・一方向出入口タイプの例・単位mm
駆動方式による変動
ホームエレベーターに採用されている駆動方式は「油圧式」と「ロープ式」の2種類があり、本体価格は構造のシンプルな油圧式のほうが安くなります。(設置に必要なスペースは油圧式、ロープ式ともにほとんど変わりません)
ただし油圧式はオイル交換費用が5年ごとに5万円ほど発生することもあり、現在の主流はロープ式となっているようです。どちらの駆動方式でも、乗り心地などに大きな違いはありません。
設置する家の構造による変動
エレベーターを設置する家が「木造」か「鉄骨造・RC造」かで価格に開きが生じます。鉄骨造・RC造よりも木造のほうが、本体価格が高くなるため、意識しておきましょう。
しかしエレベーターに合わせて家の構造を決めることはあまり考えられず、構造に合わせて商品を選ぶことになるでしょう。
オプションによる変動
ホームエレベーターに追加するオプションは、本体価格に追加される要素です。メーカーや商品によっては、オプションではなく標準で装備されている場合もあるため、候補商品を確認しながら必要なものを選ぶようにしましょう。
最近鉄道駅の構内でもよく見かける二方向出入口の扉は、各階の間取りの都合に合わせて動線を決められる点、重宝するケースがあります。
ホームエレベーター オプション価格の例
- ● 換気扇:3.5万円
- ● ヨコ型の手すり:1.5万円
- ● 車いすガード:5.5万円
- ● ルームミラー:6.5万円
- ● 二方向の出入口:45万円
- ● 音声アナウンス:11万円
- ● 地震管制運転装置:17万円
- ● 火災管制運転装置:11万円

ホームエレベーター設置後にかかる費用の内訳

月々の電気代
| エレベーターの電気料金 | 価格相場:月額・約500~900円 |
|---|
維持管理費用の中でも一番気になる部分は電気代の月額でしょう。
電気で稼働している家庭用エレベーターは相応に電気代がかかりますが、家庭用エレベーターで1日10往復すると仮定した場合の電気料金は、1,000円以内程度となります。これを年間に換算すると約1万円必要となる計算です。
これは使う頻度と、製品のサイズなどによっても異なります。
なお、エレベーターを設置するために契約アンペア数を高くする場合は、基本料金も上がることになるので、注意しましょう。
油圧式に限りオイルの交換代
| エレベーターのオイル交換(油圧式) | 価格相場:5年ごとに約5万円 |
|---|
※油圧式のみ
「油圧式」ホームエレベーターの場合は、5年ごとにオイル交換代が約5万円かかります=ロープ式では不要となります。両方式ではロープ式がやや高い以外は差があまりないため、維持費を抑えるためにロープ式にする例もあるようです。
管理維持のためのメンテナンス費用
| エレベーターのメンテナンス費用 | 価格相場:約5~9万円 |
|---|
※機種や仕様による
ホームエレベーターは建築基準法に基づく年一回の定期検査・定期報告は除外されており、必要ありません。ただし、安心安全にご利用を継続するためにも、定期的な保守契約がおすすめです。
保守契約を結ぶ際には、契約内容にどこまで含まれているのか、たとえば部品や消耗品の交換部品費用や作業工賃などが含まれているかも、事前に確認しておきましょう。
また、簡易的なメンテナンスプランで故障が起きて、修理を頼んだら上位のコースで契約していたほうが安く上がったというケースもあります。コースを決める際にはそのあたりもよく相談して確認するようにしましょう。

固定資産税
| エレベーターでかかる固定資産課税 | 価格相場:年間約2万円 |
|---|
土地や建物といった不動産を所有している人に対して課される固定資産税は、家庭用のエレベーターにも適用されます。
上記は相場であり、設置価格によって異なるケースもあるため、確認してみましょう。
ホームエレベーター購入後に後悔する人がいる原因

高額な費用が必要
ホームエレベーターの設置には、初期費用として300万円から900万円程度が必要となります。(工事費とオプションを含む。サイズや対応階数によっても変動)
さらに、ホームエレベーターを動かすための電気料金や定期点検などメンテナンス費用として年間15万円から20万円程度のランニングコストがかかり、固定資産税も通常より高くなるのです。
点検時の部品交換、故障時の修理費用なども併せて考えた場合、長期的な維持費用は相応な金額となり、維持しきれないというケースも。コスト面を軽視した結果、金銭的な負担が後悔につながることのないよう、注意しましょう。
スペースを取りすぎる
ホームエレベーター設置のためには、各階それぞれ1畳程度のスペースが必要となり、新築時の設置には、あらかじめ考慮した間取りを検討する必要があります。
リフォームで後付けしたい場合、屋内への設置と屋外設置の2つがあり、屋内設置なら吹き抜けやクローゼットなど現在あるスペースから確保する必要があります。必要な居住空間が狭くなったことへの後悔が起きないようにしたいものです。
屋外設置の場合は、間取りの変更はありませんが、ホームエレベーターを支えるだけの構造を確保した外壁をつくる必要があり、設置費用はかなり高額となってしまいます。
また、エレベーターを設置する位置によっては、家全体の動線に対する影響が出て、不便になる部分が出てくることも。
日常生活になるべく支障をきたすことのないよう、設置前の動線計画は十分に行いましょう。
また、エレベーターは建築基準法を満たした住宅でなければ設置することができません。リフォームで設置する場合は、改築する対象となる住宅の「建築確認検査済証」が手元にあるかを確認する必要があります。
停電のリスク
停電時にはエレベーターが使用できなくなるため、階段で下りられない方が、復旧まで上階に取り残されるというリスクがあります。停電自体の頻度や、災害時における電力復旧の速さ(当日内〜4日程度)を考えれば、そこまで深刻とはいえませんが、念頭に置く必要はあるでしょう。
中には非常用のバッテリーを搭載したタイプもあるものの、停電が長時間続く場合、結局復旧までは階段を使い、エレベーター稼働無しで生活せざるを得なくなります。災害時・緊急時の対応策を十分に検討しておきましょう。
騒音が生活の妨げになる
ホームエレベーターを動かす際には、モーター音や機械音が聞こえます。寝室や書斎に近い場所に設置した場合、とくに夜遅くなど周囲が静かな時間帯にこの動作音が気になってしまうことも。
また、エレベーターの動きで微細な振動が家の建物全体に伝わって、不快に感じることもあります。音や振動は、気になる人にとっては辛いものです。このあたりを考慮せずに設置し、後悔の原因とならないよう、事前に体験したり調べたりしておきましょう。
ホームエレベーター設置に向いている家庭の特徴

この項ではここまでのまとめを兼ね、ホームエレベーターへの向き不向きを整理します。
ホームエレベーター向きの家族
- ● 運動機能など身体的な制約のある家族がいる
- ● バリアフリー対応が必要となる
- ● 3階建て住戸
- ● 2階以上のキッチンや物干しの動線
- ● 資産価値からも付けておきたい
- ● 上記を満たせれば、コスト面はOKといえる
身体的に階段利用が困難な家族がいる、あるいはバリアフリー対応が必要なご家庭では、設置効果は高くなります。
また、3階建てなどで頻繁に上下移動が必要な家や、荷物を定期的に上階に運ぶニーズがある家も設置を検討するのに値するでしょう。
ホームエレベーターが向かない家族
- ● 全員が健康で上階へのアクセスに不安がない
- ● バリアフリーに対応する必要がない
- ● 平屋もしくは身体機能に制約のある家族は1階で暮らせる
- ● 今の家に設置が困難
- ● コストが見合わない
2階建ての住宅でも家族全員が健康、あるいはバリアフリーが必要ない状況、身体的な制約がある家族の生活が1階で完結できるようなご家庭では、費用対効果が上がらない可能性もあります。
また、物件の条件として設置が困難(コストがかかりすぎる)、初期費用・維持費用が家計に対して負担が大きすぎるという場合も、慎重に検討すべきでしょう。
身体機能の対応はホームエレベーター以外にも、階段昇降機や手すり、スロープの設置など、手軽かつ費用対効果の高い方法もあるため、これらの方法も含めて検討する必要があります。介護や生活動線の専門家に相談するのも良いでしょう。
まとめ

ホームエレベーターで後悔しないために、設置のメリットや後悔ポイント、価格や設置後の費用を解説しました。
住宅の仕様検討の際は、エコ設備や耐震性、防災性、快適性など、将来の暮らしを長い目で見据えた選択肢がいくつかあります。
これらの選択肢より一般的な知名度は低いものの、ホームエレベーターも長い家との付き合いを支えてくれるアイテムとなるでしょう。
大切な家族へのケアをしたい。気に入った立地をフルに活かしたい。コストはかかりますが、検討の価値はあるかもしれません。
執筆・情報提供

滋野 陽造
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





