2026.07.21
ZEHは後悔する・意味ないと言われる理由は?対策のコツやメリットをわかりやすく解説
経済性や快適性、補助金の充実度などが広くうたわれるZEHですが、初期費用がかさむことを始めとして、そのデメリットが懸念されることもあります。
確かに家族にとって安くはない設備費・施工費にふさわしい家となるかは、メリットとデメリットを丁寧に比較して、家族にあった仕様の家となるか検討する必要があるでしょう。
そこで本記事では、ZEHは後悔する・意味ないと言われる理由は何か、対策のコツやメリットなどを解説します。マイホームづくりの際に、住宅性能検討の参考にしてください。
INDEX
ZEHとは?

ZEHは、ゼッチと読み、高性能な設備が備わっている住宅のことをいいます。
主な性能として、以下の向上を目指すものです。
- ● 外壁などの断熱性能等
- ● 高効率な設備システム導入
- ● 省エネと室内環境の快適さを両立
- ● 再生可能エネルギーの導入
- ● 年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロ
省エネと快適さの両立とは、住まいの断熱性能を高め、冷暖房を多く稼働することなく快適な室温を保つという方法です。
さらに、再生可能エネルギー(主に太陽光)を自宅で生み出すことで、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指すことから、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=ZEHと呼ばれています。
ZEHは国を挙げての環境・省エネルギー政策として推進されており普及促進のために補助金や税制優遇が準備されました。
この背景には2030年以降に新築されるすべての住宅でZEH基準と同等の消費エネルギー削減を目指している点があり、ZEH基準の義務化も噂されているのです。
しかし、ネット上などの風評では「後悔する」「意味ない」などと言われることもあります。

関連記事:
ZEH(ゼッチ)の住宅とは?メリット・デメリットや補助金について解説|住宅展示場のハウジングステージ
ご参考:
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について|経済産業省資源エネルギー庁
ZEHは後悔しやすい?その理由と対策のコツ

ZEH住宅に暮らしてみて「後悔する」「意味がない」と感じるのはどのような点なのでしょうか。
不満として挙げられる、以下のような点についてご説明します。
- 1. 理想の間取りやデザインではなかった
- 2. 建築にかかる費用が高い
- 3. 維持費用が発生する
- 4. 耐震性に不安がある
- 5. 機器を有効に使いこなせない
- 6. 想定よりも発電量が得られない
- 7. エアコンが無駄になった
- 8. 光熱費はゼロにならない
- 9. “気密性”はZEHの条件に含まれていない
①理想の間取りやデザインではなかった
断熱性を高めるためには、おのずとプランにセオリーがあり、避けたい仕様が出てきます。
開放的な大きい窓や吹き抜け、広々したリビングなどは魅力的ですが、断熱性には不利なため、建築会社から提案がなかったり、反対されたりする可能性もあるでしょう。
また、太陽光パネルは十分な発電量を得るために、ある程度の屋根の面積や、適した方角を満たすことが必要です。
これらが制約となり、家族の理想にかなった間取りやデザインが実現できなかったと感じるケースがあります。
なるべくZEHの建設実績が多く、プランやデザインにおける経験値を積んでいる建築会社へ依頼することで、理想のプランとZEHにおける高性能を両立しやすくなるでしょう。
②建築にかかる費用が高い
ZEHは、知名度や普及率は高まりつつあるものの、建築コストの高さが導入のネックになっているといえます。
ZEH基準を満たすためには、以下のオプションが必要です。
- ● 高性能な断熱材・断熱サッシ
- ● 最新の省エネ設備機器(給湯や蓄電ほか)
- ● 太陽光発電システム
これらのため、材料費や工事費のコストは従来よりも上昇せざるを得ません。ZEH施工の普及によって、材料を始めとする建築コストが下がっていく想定があったものの、現在の建築資材・設備・人件費などの高騰が、それを妨げているのが現状です。
従来の住宅よりも導入機器が多いということは、そのメンテナンスのコストも必要となります。
ただし、入居後における光熱費は確実に下がり、国などの補助金、税制優遇で初期費用を抑えることも可能です。
以下の点を建築会社や専門家に相談し、ご家族のケースを試算してみてはいかがでしょうか。
- ● 従来の住宅とイニシャルコスト・ランニングコストを比較してみる
- ● 補助金や税制優遇の詳細を把握する
| 住宅のタイプ | 北海道札幌市等 | 東京都23区等 |
|---|---|---|
| 省エネ基準住宅 | 396,000円 | 277,000円 |
| ZEH水準住宅 | 289,000円 | 224,000円 |
| 年間光熱費の差 | ▲107,000円 | ▲53,000円 |
国土交通省試算
③維持費用が発生する
各機器の維持費用は、給湯器・蓄電池・太陽光発電システムなど多岐にわたります。
とくに、太陽光発電に関しては、FIT法(固定価格買取制度)により、定期点検やメンテナンスが義務化されました。
保守点検のスケジュールは導入1年後に一回、そこから最低4年に一回行うことが理想です。
定期点検やメンテナンスは一回あたり10万円程度かかる場合もあり、念頭に置く必要があるでしょう。また、設備機器は15〜20年程度での取り替えを要するケースもあります。
新築の時点から10年・20年経過後のメンテナンス費用は、相談のうえでしっかり把握しておきましょう。毎月定額を修繕費として積み立てることをおすすめします。
④耐震性に不安がある
屋根の上に設置する太陽光パネルは、1枚あたり15kgほどの荷重で、20枚設置した場合で300kg程度、架台などの付属部品を含めて400kg以上になる場合もあります。
耐震性を高めるうえでは、屋根は軽量なほうが有利とされており、荷重に対する何らかの対策を検討したいものです。
現場の職人からの声として、太陽光パネルの重量を受け止める屋根材は、瓦の緩みや風災による破損、雨漏りのリスクなどに対処する必要があるといいます。
これらを踏まえ、ZEHだけでなく、なるべく耐震診断や耐震補強に関するノウハウのある建築会社へ相談しましょう。また、施工後も屋根周りの定期的なチェックを依頼すると安心です。
⑤機器を有効に使いこなせない
ZEHは、消費エネルギーを常時モニタリングするHEMS(ヘムス)という管理システムを通じて、節約状況を管理します。
HEMSは電気機器を接続することでエネルギーの使用状況を可視化し、各機器のコントロールを通じてエネルギーの自動制御を進め、節電と快適さの両立が可能です。
HEMSのほかにも、消費エネルギーを機械制御する高性能設備機器があり、これらの複雑な操作やチェックのしかたに挫折したケースも、少なからずあるようです。
事前に見方や操作方法に慣れておくしか対策はないようですが、使いこなせれば効率的なエネルギー管理につながるものです。
また、使用する電気機器がHEMSに接続可能かも確認しておきましょう。スマートコンセント・スマートプラグ・スマートリモコンでの対応や、場合によっては電気機器買い替えなどの必要もあります。
⑥想定よりも発電量が得られない
太陽光という再生可能エネルギーに頼る以上、思ったよりも発電量が得られない事態は起こりえます。
季節やエリア、その年の天候によって日照量が少ないケース、立地によって日照が少なめなケース、新しくできた隣接建物の影響で日照量が減ってしまうなどのリスクは不可避です。
太陽光発電システム検討の際には、各メーカーの発電シミュレーションを利用して確認してみましょう。
機器メーカーや建築会社の専門的なアドバイスも得て、エリアの一般的な発電量の目安は、チェックしておくことをおすすめします。
⑦エアコンが無駄になった
これまでの家と同じような出力・台数のエアコンをつけたところ、家の断熱性の高さからそれほど使わずに済んでしまったという意見もありました。
これは回避可能な後悔ですが、知らないまま設置してしまうと、無駄になってしまうこともあるでしょう。
エアコンは使用頻度よりも経過年数で故障が始まるため、たまにしか使わなくても入れ替え時は変わりません。ゆくゆくは取り外すなどの対応をすることになります。
これもコスト上昇に影響しますが、高断熱住宅は全館空調システムを導入すると、さらに効率良く家全体を快適な温度に調節できるうえ、電気代も節約可能です。
⑧光熱費はゼロにならない
ZEHの住宅なら光熱費はほぼ0円というのは、実は誤解です。
家電製品などで使う電気エネルギーは、ZEH住宅の基準となる消費エネルギーの対象外です。
テレビやステレオ、電子レンジ、パソコンなど住まいに直接関係ないエネルギー量を計算に入れた場合、住宅の性能を純粋に評価できないためです。つまりこれらの機器の消費量があっても、ゼロ扱いとなります。
ZEH基準の対象となるのは、主に以下の消費エネルギーです。
- ● 冷暖房などの空調
- ● 換気設備
- ● 給湯設備
- ● 照明設備
また、最近は電力売買の相場で買電が値上がりし、売電が値下がりしていることも光熱費がかかる要因となります。
光熱費ゼロに近づけるためには電力会社のプラン見直し、蓄電池の設置などを工夫しましょう。
⑨”気密性”はZEHの条件に含まれていない
ZEHは、高断熱住宅を目指して設計・施工されますが、高気密は条件の対象外です。
したがって数値目標も設けられていないため、「ZEHで建てれば高気密」というわけではありません。
もちろん、断熱性の基準を達成するために、外に熱や冷気が逃げていく状態では難しいため、相応の気密性は担保されるでしょう。
ただし、気密・断熱・空調が一体でコントロールされるものではなく、それぞれに目を向ける必要がある点は、意識しておく必要があるのです。
住宅展示場での体感や、気密・断熱・空調の3つに対する基礎的な知識、建築会社の気密性に対する実績などを確認しておくことをおすすめします。
ZEHは後悔・デメリットだけじゃない!メリットは?

では、ZEHの家で得られるメリットは、どのようなものでしょうか。
室内の快適性は、夏の涼しさ・冬の暖かさを通して体感できるでしょう。身体に影響する温度差ストレスやヒートショックの回避、子どもが小さく体温調節が難しいうちも、安心な面があります。
また、太陽光発電の設置によって、災害時の電力供給が可能になるため、その点でも安心です。
さらにエコキュートの貯湯タンクが備蓄水として機能します。370〜460Lの機種であれば、季節にもよりますが家族4人・3〜4日分の生活用水となります。
ライフラインがある程度担保されているのは、家族の暮らしを守るうえで、大切なことではないでしょうか。
経済的なメリットでは、下記のアンケートのように月平均で8,562円という結果が見られ、15,000円以上というケースも15%ほど存在します。

また、前述のように補助金や税制優遇など、初期費用の抑制メリットにも目を向けてみましょう。
まとめ

ZEHは後悔する・意味ないと言われる理由は何か、対策のコツやメリットなどを解説しました。
近年の住宅建築コストの上昇で、「ZEHにすると完全に予算オーバー」というケースは多いと考えられます。
ただし、住まいの予算配分は「何を優先するか」で大胆な割り振りは可能です。
エコ性能や耐震性能・自然環境などを重視し、その分立地にかける予算を下げて、移住促進補助金やZEH補助金を得るという選択肢も考えられます。
経済性・快適性・安心感などを材料に、柔軟に検討しましょう。
執筆・情報提供

滋野 陽造
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





