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家づくりの雑学

2026.09.28

樹脂サッシのデメリットとは?メリットや失敗しないための対策も解説

窓用のサッシといえば、アルミが当たり前のような先入観がありますが、近年では樹脂製のサッシが徐々にシェアを伸ばしています。

断熱面の優位性などメリットが多い樹脂サッシですが、注意すべきデメリットも。

本記事では、樹脂サッシのデメリットとはどのようなものか、メリットや失敗しないための対策も含めて解説します。家づくりやリフォームの参考にしてください。

INDEX

樹脂サッシとは?

樹脂サッシの窓は、塩化ビニール樹脂から成型されたサッシの枠です。複層ガラスなどをセットして窓に施工することで、断熱性の高い窓となります。

日本における住宅用の窓は、長い間障子窓が主流でした。20世紀に入ってからサッシ枠にガラスをはめた窓が登場し、ガラス工業が大きく発展することになったのです。

当初木製が主流だったサッシの枠は、昭和30年代からアルミ製のものが住宅用に普及しはじめ、昭和50年頃に、新築住宅のほとんどがアルミサッシになりました。また、この時期に窓ガラスは一枚ガラスとなります。

一方、並行して欧米ではオイルショック(1970年)をきっかけに、エネルギー削減目的から家の断熱化がスタートし、窓サッシの材質はアルミから樹脂製に切り替えが始まりました。

同時期に欧米では、ガラスも複層ガラスからトリプル複層ガラスへと切り替えが進んだのです。

省エネ推進国であるドイツ発祥の樹脂サッシ窓は、断熱性・気密性に優れており、寒さの厳しい北米や、近年中国・韓国などでも急速に普及が進んでいます。日本では、高い断熱性能の求められる北海道での普及率が、約90%となりました。

樹脂サッシの普及率

現在では欧米や韓国での主流は樹脂窓であり、アルミ製サッシの登場からアルミ一本に力を入れてきた日本は、樹脂サッシの普及率わずか7%と、窓の断熱性能値において、後れを取った状況にあります。

樹脂サッシ工業会調べ

1997年の京都議定書(COP3)、2015年のパリ協定(COP21)を契機に、日本でも地球温暖化対策に対する取り組みが求められるようになりました。そこから住宅の省エネ化・窓の断熱化が進み、樹脂サッシ窓に対する意識も高まったのです。

樹脂サッシとアルミサッシの違い

アルミサッシを樹脂サッシと比較した際の優位性は「耐久性」「軽さ」「価格」などです。その反面、家屋の内・外に熱を伝えやすいという大きなデメリットがあり、この点が断熱性で不利な点となっています。

また、断熱性の低い窓では、結露が起きやすくなるのです。

室外側をアルミ、室内側を樹脂で構成しているアルミ樹脂複合サッシは、樹脂サッシで構成された窓との比較で、断熱性能は3割ほど低下します。しかしアルミの耐久性と樹脂の熱の伝えにくさの利点を生かした商品です。

なお、樹脂には紫外線に弱いという弱点があり、使用箇所、状況によっては部材の劣化が早まってしまうリスクがあります。樹脂サッシの弱点である紫外線対応が必要な箇所(南面、西面など日照の強い方角)には、複合サッシを採用するなど、使い分けもおすすめです。

樹脂サッシにするデメリットと対策

この項では、樹脂サッシにする以下のようなデメリットと対策をご紹介します。

  • ● 設置費用が高い
  • ● 重みがあり窓の開閉が大変
  • ● 紫外線により劣化・変色しやすい

1.設置費用が高い

日本では、樹脂サッシは2004年あたりから本格的に市場に登場してきました。海外に比較して歴史の浅い日本の樹脂サッシは、まだ十分なコストダウンに至っていません。

樹脂サッシの本体価格はアルミサッシの約2倍、樹脂とアルミの複合サッシでも1.5倍ほども高額となるのが現状です。

これは建築・リフォーム会社で樹脂サッシの取り扱いが少なく、仕入れに手間がかかるのと、コストの差から、またアルミサッシが選ばれることが多いためと考えられます。

1-1.対策

業者によって価格や対応は異なります。必ず複数社に見積もりを依頼して、内容や価格を比較するようにしましょう。

2.重みがあり窓の開閉が大変

樹脂素材はアルミほどの強度がないため、厚みを出して強度を高めています。また、重い複層ガラスやトリプルガラスを支えている関係で、とくに大きな掃き出し窓や引き違い窓では、重くなってしまうのです。

したがって重量が増え、開閉時には重いと感じるかもしれません。

2-1.対策

重さ対策として、商品を選ぶという方法があります。近年はフレームを薄く改良したサッシも販売されており、重量のデメリットは少しずつ解消されているようです。

3.紫外線により劣化・変色しやすい

樹脂サッシの耐久年数は50年ほどといわれています。しかし使用箇所、使用状況によっては劣化が早まることも。

樹脂サッシの劣化原因はおもに紫外線によるもので、劣化が進んでくるとチョーキング現象(サッシ表面に白い粉が吹くように発生)が起きます。直射日光が当たりやすい箇所への設置には、メンテナンスへの対応が必要です。

3-1.対策

アルミと比較して紫外線に弱い点は、樹脂製の洗濯ばさみの劣化(色の変化、もろくなる、変形)と同様の理屈といえます。

したがって、直射日光=紫外線の影響を受けやすい南側などに設置する際には、日よけなどで紫外線と日射熱対策を行うことが効果的でしょう。地道な方法ではありますが、長期間で相応の傷みの差となってくるはずです。

また、樹脂サッシは定期的な塗装によって、劣化を遅らせることもできます。外壁塗装を依頼する業者に相談すれば、やってもらえる場合があるので、施工された方は、問い合わせてみましょう。

樹脂サッシにするメリット

この項では、窓を樹脂サッシにする以下のようなメリットをお伝えします。

  • ● 断熱性能が高く光熱費の削減につながる
  • ● 気密性・遮音性に優れている
  • ● 結露やカビが発生しにくい

断熱性能が高く光熱費の削減につながる

窓はサッシとガラスの組み合わせで断熱性能が決まります。以下ではサッシとガラスの組み合わせで見た性能値を確認しましょう。

■各種サッシとガラスの組み合わせによる窓の断熱性能

※リビングアメニティ協会提供ASPによる計測

樹脂サッシは、アルミサッシとの比較で窓(サッシ+トリプルガラス)の性能値が、約2.6倍の断熱性能を持つことがわかります。

これは樹脂素材が熱を伝えにくく、熱の伝わりにくさはアルミの1/1000程度となっているためです。(この比較では、ガラス層の厚みの違いも差になっています)

断熱性能が高いことでのメリットは、以下の通りです。

  • ● 室内温度の安定=快適性
  • ● 安定した温度で省エネルギー効果が得られる
  • ● 光熱費の削減 につながる

また、断熱性能を上げると、冬の寒さや温度差によっておこるヒートショック発生を抑制できるため、健康上の対策にもなります。

気密・断熱関連のリフォームを検討される場合、国の実施する先進的窓リノベ2026事業が、補助金支給対象として利用可能です。

諸条件に適合した場合、下記の補助金額が窓の仕様や個数ごとに支給されます。年度ごとの予算に達し次第締切となる事業ですが、8月20日時点での、予算に対する補助金申請額の割合は18%となっており、余裕があるようです。

窓断熱改修・補助金額(戸建住宅、3階建以下の集合住宅・新築は対象外)

内窓設置

Low-Eペアガラス
ガス入Low-Eペアガラス

外窓交換(カバー工法)

樹脂窓+ガス入Low-Eペアガラス
真空トリプル

面積 補助金額(円) 面積 補助金額(円)
SS 4.0㎡以上 140,000 4.0㎡以上 239,000
2.8㎡~4.0㎡未満 89,000 2.8㎡以上 2.8㎡以上 188,000
1.6㎡~2.8㎡未満 58,000 1.6㎡~2.8㎡未満 138,000
0.2㎡~1.6㎡未満 36,000 0.2㎡~1.6㎡未満 89,000
S 4.0㎡以上 76,000 4.0㎡以上 156,000
2.8㎡~4.0㎡未満 52,000 2.8㎡以上 124,000
1.6㎡~2.8㎡未満 34,000 1.6㎡~2.8㎡未満 92,000
0.2㎡~1.6㎡未満 22,000 0.2㎡~1.6㎡未満 60,000
A 4.0㎡以上 対象外 4.0㎡以上 116,000
2.8㎡~4.0㎡未満 対象外 2.8㎡以上 88,000
1.6㎡~2.8㎡未満 対象外 .6㎡~2.8㎡未満 66,000
0.2㎡~1.6㎡未満 対象外 0.2㎡~1.6㎡未満 41,000
※左縦グレードの熱貫流率 SS:1.1以下、S:1.5以下、A:1.9以下

ご参考:
先進的窓リノベ2026事業公式|環境省

気密性・遮音性に優れている

樹脂サッシはサッシの隙間から漏れる空気の量が少なく、気密性に優れた製品です。この気密性は、サッシの隙間から漏れる音が減る=防音効果が高いことにもなります。

気密性の高さから結露が少なく、外の通りに面した居室でも比較的静かにすごせることになるでしょう。

結露やカビが発生しにくい

樹脂サッシは熱の伝わり方が少なく、室内側サッシの表面が冷えにくいことから、結露を軽減することができます。

結露を軽減することで、窓回りに発生するカビ・ダニも防げ、快適な室内を実現することも可能です。

樹脂サッシの設置・交換にかかる価格相場

樹脂サッシの施工にかかる費用は、内窓追加の場合で8~15万円、窓全体を樹脂サッシで施工する場合は、25~60万円程度です。

ベランダに出入りする掃き出し窓のように、サイズが大きい窓の場合は、予算30万円以上と考えておきましょう。

また、高性能のサッシ・窓ガラスを選ぶことで高額になりやすいため、施工会社と相談しながら、ご自宅に適した性能とバランスにふさわしい物を選ぶようにしてください。

樹脂サッシ選びで失敗しないためのポイント

この項では、樹脂サッシ選びで失敗しないための以下のようなポイントについて、ご説明します。

  • ● アルミと樹脂の複合サッシを採用する
  • ● 樹脂サッシに適したガラスを選択する
  • ● モデルハウスを見学してみる

アルミと樹脂の複合サッシを採用する

価格と性能のバランスが取りやすいアルミと樹脂の複合サッシを採用することが、有効なケースもあります。

前述のように樹脂サッシのみで構成された窓に比べて断熱性能は3割ほど落ちます。しかし、日照の強い箇所で樹脂の紫外線による劣化を避けたり、断熱性能でやや妥協しても良い箇所などに使用したりするには向くでしょう。

樹脂サッシに適したガラスを選択する

樹脂サッシに合ったガラス選択とは、ガラスそのものの断熱性能=グレードのことです。以下、下にいくにしたがって、高性能なガラスとなります。

  1. 1. 単板ガラス
  2. 2. 複層ガラス
  3. 3. Low-E複層ガラス
  4. 4. Low-E複層ガラス(アルゴンガス)
  5. 5. トリプル複層ガラス(アルゴンガス)

樹脂サッシのような断熱性に優れたサッシには、ふさわしいグレードのガラスを選択することで、性能を最大限引き出せることになるのです。高い断熱性を持つ「Low-E複層ガラス(ペアガラス)」や「トリプルガラス(3層ガラス)」などがおすすめです。

ガラスには真空ガラスと組み合わせるという選択肢もあり、その場合、断熱性能の向上と、窓の重量を抑えられるなどが期待できます。

モデルハウスを見学してみる

樹脂サッシ・気密・断熱窓の重量や静粛性などは、実際の建物で確認するのが一番です。

見学予約のうえ、展示場で違いに触れてみませんか?ご予約の際に、見学されたい内容のリクエストをいただくことで、対応が可能です。

モデルハウス見学予約|住宅展示場のハウジングステージ

まとめ

樹脂サッシのデメリットとはどのようなものか、メリットや失敗しないための対策も含めて解説しました。

窓断熱は、お部屋の快適性や光熱費に直結するテーマですが、樹脂サッシや高性能ガラスに対する施主側の関心は、まだ薄いと感じられます。

本記事でご紹介したように、「先進的窓リノベ」事業によって、リフォーム向けの窓断熱補助金は受けられますが、新築住宅の窓断熱性能に対する国の補助金は、窓単体では存在しせん。

省エネ性能を満たす住宅が対象となるみらいエコ住宅2026事業が対応しています。窓を含んで、住まい全体のエコ性能アップを検討されてみてはいかがでしょうか。

ご参考:
みらいエコ住宅2026事業|国土交通省・環境省

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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