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住宅のマネーと制度

2019.04.25

最大100万円が助成!板橋区 2019年木造住宅建替えのススメ

今後30年以内に巨大地震が発生する確率が70%(国土交通省調べ)と予測されています。

平成の時代は災害の多い時代だったと報道されていますが、時代が令和になったとしても安心・安全な生活をおくれるよう災害に対しての準備が必要です。

そこで板橋区では、木密地域(※)での災害時の延焼などを回避するために木造住宅の建替えを支援する助成金があります。今回はその助成金について解説します。

※木密地域とは、木造住宅が密集して建つ市街地のこと。「木造住宅密集地域」の略。耐震基準を満たさない老朽化した木造住宅も多いことから、地震・火災時に建物倒壊や炎症拡大など甚大な被害が想定されている。

INDEX

大地震に備えた、建替えのポイント

日本は世界でも有数の地震大国で、首都及び周辺地域では過去マグニチュード7、もしくは8クラスの大規模な地震が発生しています。もし仮に首都圏が大地震に見舞われた場合には、以下のような予測を国土交通省はしています。

[1]想定されている地震の揺れ(マグニチュード7クラス)
震源の直上付近では震度6強、地盤の悪いところでは震度7程度の揺れが発生

[2]激しい揺れによる家屋の倒壊、大規模な火災の発生
約18万棟の木造住宅、老朽ビル・マンション等が全壊。倒壊した建物から出火し、環状6~8号線に囲まれたエリアを中心に存在する木造住宅密集エリアで大規模な火災延焼が発生し41万棟が焼失。

(写真1:大規模地震発生の予測図 地震調査研究推進本部調べ)

以上の予測から巨大地震に対して備えることは、「耐震化+不燃化」が必要になると思われます。日々の生活を巨大地震から守るためには、地震に強い住まいにすることと、近隣で発生した火災の延焼に耐えうることが重要になります。

2016年4月に発生した熊本における地震で倒壊してしまった住宅を国土交通省が調査したところ、写真2のように倒壊してしまった建物が多かったようです。ポイントとしては、地盤のくずれ・隣の建物の衝突・シロアリによる構造の弱体化・柱梁の接合部の金物不足などがあったようです。

(写真2:2016年4月発生の熊本地震で倒壊した建物の様子)

これらの被害は、建築物の構造計算をした上で正しい施工をすれば、少しでも減らすことができたと考えられています。つまり「構造計算」+「正しい施工」=「安全な建築物」となります。

写真2のような木造住宅が多いと想定される木密地域では耐震や建替えが急務となっているのです。

板橋区の助成金を使って賢く建替えるには

板橋区では、地震による木造住宅の倒壊などの被害を最小限にとどめるため、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅の耐震診断、耐震計画等、耐震補強工事、除却工事、建替え工事にかかる費用の一部を助成することにより、災害に強い安全な街づくりを目指しています。その助成金の種類については、表3をご覧ください。

表3: 板橋区助成メニュー一覧

助成メニュー 建築物の要件 助成金額
耐震診断 ①住宅(住宅以外の用途を兼ねる場合は、1/2以上が住宅のもの
②木造2階建以下
③昭和56年5月31日以前に建築
※区指定業者に限る
診断表の1/2で、限度額75,000円
・高齢者等の場合は診断費用の2/3で、限度額100,000円
・特定地域の場合は診断費用の4/5で、限度額120,000円
耐震計画等 ①耐震診断を受けていること
②耐震診断の結果「倒壊する可能性がある」(1.0未満)と判断された建築物
※区指定業者に限る
作成費用の2/3で、限度額40,000円
耐震補強工事 ①耐震診断および耐震計画等を受けていること
②耐震診断の結果「倒壊する可能性がある」(1.0未満)と判断された建築物
③建築基準法における重大な違反がないこと
※既存の間取りに変更が生じる補強工事は助成対象外
工事費用の1/2で、限度額750,000円
・高齢者等の場合は工事費用の2/3で、限度額1,000,000円
耐震シェルター等設置工事 ①耐震診断を受けていること
②耐震診断の結果「倒壊する可能性がある」(1.0未満)と判断された建築物
工事費用の1/2で、限度額150,000円
・避難困難者の場合は工事費用の9/10で、限度額300,000円
除却工事 ①特定地域内の建築物
②耐震診断を受けていること
③耐震診断の結果「倒壊する可能性がある」(1.0未満)と判断された建築物
建築物本体の除却工事費用1/3で、限度額500,000円

たとえば、耐震診断の助成金を受ける場合には、以下の要件を備えている建築物が対象になります。

[1]住宅であること(店舗等を併用している場合には、1/2以上が住宅であること)

[2]木造2階建て以下

[3]昭和56年5月31日以前に建築(※)

※昭和56年6月1日に建築基準法の耐震基準が大きく見直されました。5月31日以前に建てられた建物は新しい耐震基準に適合していない旧耐震基準の建物であるといえます。

上記の3点に合致する建築物の場合には、最大で診断費用の1/2で限度額75000円が助成されます。

さらに、「特定地域」(※)内の建築物は、建替え工事の場合に最大100万円助成を受けられます。これについては、巨大地震の後に起こりうる火災に備えることを目的としています。助成を受ける条件は表4の内容となります。

表4: 板橋区 特定地域における建替えで利用できる助成メニュー

助成メニュー 建築物の要件 助成金額
建替え工事 ①特定地域内の建築物
②耐震診断を受けていること
③耐震診断の結果「倒壊する可能性がある」(1.0未満)と判断された建築物
④主要用途が住宅で、順耐火以上の耐火性能を有する建築物への建替え
⑤建築物の外壁面が隣地境界線から50cm以上後退した計画であること
⑥幅員が4m以下の道路については後退整備を行うもの
・建替え工事の本体建物工事費用の内、限度額100万円

※「特定地域」とは大谷口周辺地域、仲宿周辺地域、池袋西・池袋北・滝野川地域、西台・若木・上板橋地域を指しますが、詳細は板橋区のホームページから参照可能です。「板橋区 木造住宅の耐震化推進事業」で検索して調べてみてください。(板橋区のホームページはこちら

特定地域内にない場合でも火災や地震に強い建築物にすることで、震災が発生した場合でも避難所などでの生活を回避することも可能になるかもしれません。

助成金の申請方法や注意点について

申請上の注意点としては、建築会社と契約をする前に、まずは板橋区に耐震診断の申し込みをすることです。この申し込みは「板橋区役所の窓口」もしくは電話でできるようになっています。

最初に耐震診断を行ない、ご自宅が耐震上どれだけの強度があるのか専門家に見てもらう必要があります。実際に耐震診断を行なう業者は、板橋区の指定業者になりますのでご注意ください。

(以前、耐震補強工事の助成を受けた建築物は対象になりません)

申し込み
診断は、区の窓口や電話でお申し込み可能。

連絡
診断機関の診断士から直接連絡が入ります。(訪問日時を決めます)

訪問・相談
診断士がご自宅を訪問します。

契約
話がまとまれば、区に申請をして承認を受けてから診断士と契約します。

診断費用支払い
診断結果の報告を受けて、診断士に診断費用を支払います。

助成金受取
区から助成金を受け取ります。(口座振替)

また、専門業者にみてもらう前に、ご自身で自宅の耐震性能をチェックする方法もあります。

「誰でもできるわが家の耐震診断」(国土交通省監修)というチェックリストです。建築された時期や建物の形、傷み具合をわかる範囲でチェックし、ポイントを加算することで、建物の耐震性能が簡易的にわかる診断になっています。こちらもホームページなどでチェックし、事前にご自身でやってみるのも良いかもしれません。

(写真6:「誰でもできるわが家の耐震診断」監修:国土交通省住宅局)

なお建替え工事にあたり業者の指定はありませんので、ご自身で選んだ建築会社で建て替えをしても助成が受けられます。ポイントは建物の契約前に耐震診断を申し込むことです。

「耐震化と聞くと、専門的すぎて何をどうしたら良いかよくわからない」という声を良く聞きます。最近の耐震化の技術は、かなり多様化しています。

建築物の安全性を高める方法として、材料や工法など、それぞれのメリットがあり一概にどれが良いとはいえませんが、まずはご自身の目に触れ、興味を持っていただくことが一番かと思います。

板橋高島平ハウジングステージでは、各メーカーが開発した最新の耐震技術が展示してありますので、いちど確認してみることをおすすめします。安心して任せられる技術・工法に出会えると思います。

板橋区の建替え工事の助成金についても、住宅展示場で確認してみましょう。

監修・情報提供

金内 浩之(一級建築士)

株式会社Lakke(ラッケ)一級建築士事務所代表。
大学卒業後、大手ハウスメーカ―の設計担当として16年、約400棟の設計を経験。

Ⓒ2019 Next Eyes.co.Ltd

この記事はネクスト・アイズ(株)が提供しています。

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