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2020/04/20

住宅地は3年連続、商業地は5年連続の上昇――2020年『公示地価』

国土交通省が2020年3月18日、2020年の『公示地価』を発表しました。『公示地価』は適正な地価形成を図るために、毎年1月1日時点における標準値の正常な価格を公示するもので、社会・経済についての制度インフラともいうべき存在になっています。これから土地を取得して住宅の建設を考えている人は、その動向をチェックしておきたいところです

INDEX

住宅地は堅調な需要を背景に3年連続上昇

 
国土交通省では、2020年の『公示地価』について、次のように概要をまとめています。

  1. 全国平均は5年連続、住宅地は3年連続、商業地は5年連続の上昇で、いずれも上昇基調を強めている
  2. 三大都市圏は全用途平均・住宅地・商業地いずれも各圏域で上昇が継続している
  3. 地方圏では住宅地は2年連続、商業地は3年連続で上昇し、上昇基調を強めている

好調の要因として、住宅地は交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調であること、商業地は、オフィス需要やホテル需要などが堅調で、交通インフラ整備や再開発などの進展で需要が活発であることなどを挙げています。

東京圏の住宅地は前年比1.4%の上昇に

実際の動きをみると、住宅地と商業地の『公示地価』の対前年変動率は図表1のようになっています。住宅地は全国平均で0.8%の上昇で、商業地は3.1%の上昇です。
東京圏については、住宅地が1.4%、商業地は5.2%上がっています。住宅地、商業地ともに前年の上昇率を若干ですが上回っており、堅実に推移しているといっていいでしょう。これから土地を取得して家を建てたいと考えている人にとって、地価上昇は必ずしも望ましいことではないかもしれませんが、購入後の資産価値の安定という点では安心材料といえます。

図表1 公示地価の対前年変動率

住宅地

商業地

2019年

2020年

2019年

2020年

全国

0.6%

0.8%

2.8%

3.1%

三大都市圏

1.0%

1.1%

5.1%

5.4%

東京圏

1.3%

1.4%

4.7%

5.2%

大阪圏

0.3%

0.4%

6.4%

6.9%

名古屋圏

1.2%

1.1%

4.7%

4.1%

地方圏全体

0.2%

0.5%

1.0%

1.5%

地方四市

4.4%

5.9%

9.4%

11.3%

その他地方

▲0.2%

0.0%

0.0%

0.3%

(資料:国土交通省ホームページ)

すべてのエリアで地価が上がっているわけではない

ただ、地域による格差が依然として続いています。地価が上がっているところがあれば、まだ下がり続けているエリアもあるのです。図表2は、全国平均と三大都市圏平均の調査地点数を、上昇・横ばい・下落に分類したグラフです。
三大都市圏の住宅地をみても、調査地点のうち23%で「下落」が続いているのが現実です。地価が下がっていれば、買いやすくなるのはいうまでもありませんが、買った後も下がり続けると、資産価値の低下が否めません。

図表2 上昇・横ばい・下落の割合

(資料:国土交通省ホームページ)

23区では南西部より北東部の上昇率が高い

たとえば、東京23区では、住宅地として人気の高い世田谷区、杉並区などの南西部の上昇率は3.7%ですが、江東区、荒川区などの北東部が5.0%の上昇と、南西部の山の手エリアに対して、比較的人気が低く、地価も安かった下町エリアの上昇率が高い傾向が強まっています。23区のなかで最も上昇率が高かったのは北東部の荒川区の8.8%でした。
そのほか、千葉県でも東京湾岸エリアの上昇率が高いのに対して、概して内陸部が低くなっています。図表3にあるように、君津市は4.3%の上昇に対して、野田市は2.2%の下落でした。

図表3 首都圏エリア別の上昇率の高い市区と低い市区

上昇率が最も高かった市区

上昇率が最も低かった市区

市区名

変動率

市区名

変動率

埼玉県

さいたま市

浦和区

3.7%

西区

0.2%

その他

川口市

4.3%

羽生市

▲1.1%

蕨市

4.3%

千葉県

千葉市

中央区

2.1%

若葉区

0.5%

その他

君津市

4.3%

野田市

▲2.2%

東京都

23区

荒川区

8.8%

葛飾区

2.6%

都下

稲城市

2.9 %

青梅市

▲ 1.2 %

神奈川県

横浜市

西区

3.6 %

金沢区

0.0 %

川崎市

中原区

3.0 %

麻生区

0.1 %

相模原市

緑区

2.2 %

中央区

0.7 %

その他

海老名市

1.1 %

三浦市

▲ 4.1 %

(資料:国土交通省ホームページ)

23区北西部から上昇率トップ10に4地点

 

さらに、首都圏住宅地の対前年変動率の上位10地点は図表4のようになっています。これまでは、都心や南西部が上位に入ることが多かったのですが、今回は都心のほかには北東部の調査地点が4地点入っています。南西部からのベスト10入りはありませんでした。
最近は、首都圏の「住みたい街」などのランキングで上位に上がることが多くなった赤羽から2地点入り、再開発で人気が高まっている日暮里エリアからも1地点が入っています。

図表4 首都圏住宅地の対前年変動率上位10地点

順位

所在地 1㎡価格 変動率
東京都港区港南3-7-23 122万0000円 14.0%
東京都渋谷区恵比寿西2-20-7 271万0000円 13.9%
東京都北区赤羽1-32-12 125万0000円 12.6%
東京都港区芝浦2-3-27 155万円 12.3%
東京都荒川区東日暮里1-3-2 99万7000円 12.1%
東京都文京区本駒込1-20-13 194万円 12.1%
東京都新宿区南元町4-49 131万円 11.0%
東京都北区滝野川5-6-4 87万7000円 11.0%
東京都北区赤羽西1-30-1 114万円 10.7%
10 東京都文京区本郷1-28-3 177万円 10.6%

(資料:国土交通省ホームページ)

 

今後は新型コロナウイルスの影響にも注意が必要に

ただ、以上の『公示地価』はあくまでも1月1日時点の調査です。1月以降、世界的に新型コロナウイルスが蔓延、その影響が深刻化しており、今後の地価、そして住宅・不動産価格への影響が懸念されます。
この点に関して、赤羽一嘉国土交通大臣は、『公示地価』発表後の記者会見で、コロナウイルスの地価への影響に関する質問にこう答えています。
「一般的に地価は、賃料、期待利回りなどの状況がその見通しに反映されるものでありまして、こうした地価は、一定の時間がその影響に要するわけでありますので、このコロナウイルスが現時点でどういう影響をもたらすのかは少し困難でございます」
 つまり、いますぐ影響が出ることはないにしても、いずれはコロナウイルスの影響で地価が下がる可能性があるということを示唆しています。十分に注意しておきたいところです。

著者

山下和之(やました・かずゆき)

新聞・雑誌・単行本の原稿制作、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プラントと税金対策』(学研プラス)、『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)などがある。

・山下和之の良い家選び ・Business journal ・現代ビジネス ・ARUHIマガジン
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