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2021/01/20

相続対策に効果的な生前贈与とは?

相続税の節税対策を検討する際に、真っ先に思いつくものとして生前贈与があります。効果的な節税対策を行うには、まずは財産の現況等を把握する必要がありますが、相続税の納税額が多額になると見込まれる場合に、節税対策について検討することになります。今回、節税対策のなかの生前贈与について、基本的なところをみていきたいと思います。

ポイント

  1. 金銭の贈与の場合、贈与契約書の作成、口座を通した金銭の移動、通帳管理などに気をつけよう。
  2. 暦年課税贈与と相続時精算課税贈与の特徴を把握することで、効果的な生前贈与が可能となります。

INDEX

生前贈与のポイント

贈与税は、生前に親族や他人を問わず、誰かから財産などをもらった時に、もらった人にかかる税金です。
相続税を減らすには、財産をあげて(贈与して)、相続財産を少なくすればいいのですが、財産などをもらった人に贈与税を課税することで、相続税の減少分を補完する役割を担ってます。
財産の贈与といっても、親族の生活費を援助するための金銭の贈与や高齢者から若い世代への財産移転や、消費促進を目的とした政策的な観点から、一定の要件を満たす贈与については、贈与税は課されません。
生前贈与の際には、この贈与税が非課税となる贈与の仕方について検討することがスタートとなります。

贈与とは、「財産をあげます」「その財産をもらいます」の双方の意思表示があって成立するため、一方的に財産をあげた形にすることは贈与とは言えません。
その代表的なものとして「名義預金」が挙げられますが、これらの取引は贈与に当てはまらないため、名義預金等については、本人の財産として取り扱われます。したがって、本人に相続が発生した場合には、この名義預金等を相続財産として計上していないと、申告漏れを指摘されることになるため注意が必要です。
そうならないように、下記のとおり贈与の事実をはっきりと残すことが必要になりますので、生前贈与を実行する際には、忘れずに行うようにして下さい。

  1. 毎回、贈与契約書を作成し、各人が自署押印すること
  2. 贈与を受ける人の預金口座に振り込み、通帳・印鑑は贈与を受ける人が管理・運用していること
  3. 年間110万円を超える贈与を受けた場合、贈与税の申告書をすること

次に、税法上の贈与には、「暦年課税贈与」と「相続時精算課税贈与」の2種類あるのですが、その主な特徴を図1に簡単にまとめましたのでご確認下さい。

図1:暦年贈与と相続時精算課税贈与

項目

暦年課税贈与

相続時精算課税贈与

内容

毎年1月1日~12月31日の期間で贈与税を計算

60歳以上の祖父母・両親から20歳以上の子・孫への贈与(相続財産の前渡し)

非課税(控除) 限度額

受贈者単位で年間110万円まで

贈与者ごとに2500万円まで

非課税限度額を超えた場合の税率

8段階の税率のうち超えた金額に基づき計算(10%~55%)

一律20%

贈与者に相続が発生した場合

相続人に対する相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の計算対象になる

相続時精算課税贈与は相続財産の前渡しのため、当該贈与財産の全てについて、贈与した時点の価額にて相続税の計算対象になる

申告手続き

年間110万円以内の場合、申告不要

贈与税が0円でも申告は必要

まずは、暦年課税贈与のポイントからお伝えします。相続時精算課税贈与については、次で説明します。

暦年課税贈与は、もらう人単位で、年間110万円までの財産の贈与には税金がかかりません。
年間110万円までの範囲で毎年贈与をすれば、無税で財産を子や孫などに移転していくことが可能です。
しかも人数・年数が増えれば、効果が大きくなっていきます。
ただし、贈与者の相続開始前3年以内の相続人への贈与分については、原則的に相続財産に加算されてしまうため、贈与の時期は早いに越したことはありません。
節税対策の一環で生前贈与を行っても相続開始前3年以内に行ったものが相続財産に加算されてしまうと、生前の節税対策の効果が得られないという結果になってしまいます。
 

生前贈与を検討した方が良い人とは?

相続税の節税対策を検討する場合、まずは、財産の現況をみて相続税の納税額の水準を把握することから始める必要があります。
相続税の試算を行った結果、現在の手持ちの金融資産等で納税資金がまかなえる場合には、無理に節税対策を行う必要はないと判断されることもあるからです。
多額の相続税がでるとわかった場合に、生前贈与を活用した相続税の節税対策を検討していくことになります。

生前贈与の目的が節税対策の場合、相続財産を減らすために行われる、その代表的なものを列挙してみました。

  1. 暦年課税贈与により、子供・孫への金銭等の贈与
  2. 配偶者へは居住用財産の贈与、子供・孫へは住宅取得等資金の贈与
  3. 相続時精算課税贈与による、収益物件の移転

金融資産等が多い場合は、子供や孫への資金援助を検討していくことになると思います。
特に、住宅を取得するための資金贈与や教育費を援助するための贈与は、政策的に一定の金額まで非課税となる特例が用意されています。
また、賃貸物件等の場合は、相続時精算課税贈与により、その賃貸物件そのものを相続人に生前贈与することも検討事項になると思います。賃貸物件を相続人に生前贈与するメリットは次の通りです。

  1. 賃貸料収入等が相続人に帰属することになるため、被相続人の財産増加分を相続人に移転することが可能。
  2. 賃貸物件の贈与を受けた相続人は、賃貸収入から経費等を差し引いた残額を蓄えることで、将来の相続税の納税資金対策につなげることもできる。

ただし、相続時精算課税贈与については、図2のような留意事項があるため、その特徴を把握したうえで、実際に活用するかを検討しましょう。

図2:相続時精算課税贈与の留意点

相続時精算課税贈与の主な留意点

暦年課税贈与との選択制。相続時精算課税贈与を選択すると、その人からの贈与については、暦年課税贈与に戻れません。

その贈与者からの贈与については、2500万円までは贈与税はかかりません。超えた場合、超えた金額に一律20%の贈与税がかかります。 

納めた贈与税は、贈与者の相続発生時に、相続税と精算されます。

当該贈与を受けた場合、贈与税がかからなくても、必ず贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出しなければなりません。

贈与者に相続が発生した場合、相続税の計算上、相続時精算課税贈与として贈与した財産の価額(贈与税申告書に記載した価額)を加算する必要があります。相続時に当該財産の価額が下落していても、贈与時の高い価額をもって相続税が計算されます。また、相続時に当該贈与財産を売却などして所有していなかったとしても、相続財産に加算されます。

当該贈与財産が宅地である場合、この宅地には小規模宅地等の特例は使えません。

生前贈与を行うことは、相続対策につながることになりますが、過度の相続対策を行うことで、今後の生活資金を圧迫することのないようにしたいものです。健康で趣味を楽しみながら長生きすることが一番の節税対策につながると思います。
また、相続時精算課税贈与を検討されている場合、事前に専門家に相談されることをお勧めいたします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2020年12月16日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて詳細をご確認ください。

執筆・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、他業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、
令和元年12月に、池袋にて独立開業。
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