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住宅のマネーと制度

2021.12.21

毎年かかる!不動産の固定資産税はどれくらい?

不動産を保有しているだけで毎年かかる税金が「固定資産税」です。この固定資産税は、各市区町村で税額を計算し、毎年6月頃に送付されてくる納付書に基づいて納税しているため、どのように税額が計算されているかを意識されることはあまりないのでは?
今回は、その固定資産税とは何か、どう計算されるのか、税額が減税される条件などをご紹介します。

ポイント
●小規模住宅用地の場合、固定資産税額は通常の6分の1に減額されます。
●住宅用建物の固定資産税の減税措置の適用は、一定期間だけとなります。

INDEX

【1】固定資産税とは

毎年1月1日時点で、土地・建物などの不動産の所有者に課税されるのが「固定資産税」です。都市計画事業などの区域内にある不動産の場合、固定資産税のほかに都市計画税が課税されることもありますが、今回は固定資産税の計算方法と納税方法についてご紹介します。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、原則、下記の算式で計算されます。

固定資産税 = 不動産の価格(課税標準額)✕ 1.4%

「不動産の価格」は、不動産の購入価格や建築工事費ではなく、原則として、固定資産課税台帳に登録されている価格=固定資産税評価額をいいます。固定資産評価証明書や固定資産税課税明細書の「価格欄」に記載されている金額のことです。
固定資産税は毎年納税することになりますが、その課税標準額となる固定資産税評価額は、3年ごとに評価替えが行なわれます。したがって、基本的には3年単位で固定資産税額が変動していくことになります。直近では令和3年度だったので、次回は令和6年度に評価替えされます。

原則的な固定資産税の計算方法の詳細は、図1にまとめましたのでご覧ください。

図1:原則的な固定資産税の計算方法

区分 課税標準額 税率
住宅用地 小規模住宅用地(200㎡までの部分) 固定資産税評価額✕1/6 14%
一般住宅用地(200㎡超の部分) 固定資産税評価額✕1/6
②①以外の土地 固定資産税評価額
③建物 固定資産税評価額

図1の「①住宅用地」については、課税標準額の軽減措置があります。
・宅地の面積が200㎡までは、固定資産税評価額の1/6が課税標準額
・宅地の面積が200㎡を超える場合は、固定資産税評価額の1/3が課税標準額

税率1.4%は変わりませんので、税額が面積に合わせて減額されることになります。

固定資産税の納税について

固定資産税の納税期限は、原則4月・7月・12月・翌年2月の末日となっていますが、各市区町村により異なります。さいたま市の場合は5月・7月・12月・翌年2月の末日となっており、毎年5月初旬までに各市税事務所から送付されてくる納付書を確認して最寄りの金融機関より納付します。
なお、市区町村により取り扱いは異なりますが、クレジットカード決済も可能となっています。決済手数料がかかる点をご注意いただき、ご興味のある方は、事前に所轄の市税事務所などのホームページなどでご確認ください。

【2】固定資産税の減税措置とは

固定資産税の優遇措置は大きく土地と建物の2つがありますが、ここでは主に住宅用建物への税額軽減についてみていきます。税額軽減ということですので、課税標準額✕1.4%で計算された固定資産税の税額から一定割合の税額が減額できるということになります。なお、土地の課税標準額の軽減のうち、負担水準と負担調整率については、説明の都合上、割愛しております。

・土地:課税標準額の軽減(住宅用地の課税標準額の軽減については、図1を参照)
・建物:住宅用建物の税額軽減

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新築住宅の税額軽減

令和4年3月31日までに建築された新築住宅については、下記(主な適用要件)の一定の要件を満たすことで、新たに課税される年度から3年間、固定資産税額の1/2が減額されます(3階建て以上の耐火・準耐火住宅は5年間)。

(主な適用要件)
・床面積が50㎡以上280㎡以下であること(戸建て以外の貸家住宅の場合は40㎡以上280㎡以下)
・店舗等併用住宅の場合は、住宅部分が1/2以上であること

たとえば、新築住宅用の建物の固定資産税評価額が2000万円の場合、当初3年間の固定資産税額は年間14万円(2000万円✕1.4%✕1/2)ですが、4年目以降は、簡便的に計算して年間28万円相当額となります。いきなり固定資産税があがったように見えますが、もともとの税額の水準に戻ったにすぎません。

中古住宅の改修工事に係る減税措置

令和4年3月31日までに、中古住宅の耐震・バリアフリー・省エネ改修工事を行なう場合にも、固定資産税の減税措置があります。減税を受けるための主な要件や、減税割合については、図2をご覧ください。この減税の特徴として、改修工事費用が50万円超である点や、減税される期間は翌年の1年間のみとなっている点などがあります。また、工事完了後3カ月以内に証明書などを添付して市区町村に申告する必要があるため、失念しないようご注意ください。

図2:中古住宅の改修工事にかかわる固定資産税の減額措置

改修内容 主な適用要件 減税措置
耐震改修 ・昭和57.1.1に在している住宅(共同住宅等含む)であること
・現行の耐震基準に適合する耐震改修であること(要証明書)
・耐震改修工事費用は50万円超
【翌年度のみ】▲固定資産税✕1/2
(家屋面積120㎡相当分まで)
※改修後認定長期優良住宅の場合2/3
バリアフリー改修 ・新築日から10年以上経過した住宅(賃貸住宅を除く)であること
・65歳以上または要介護等の認定者、障害者が居住していること
・バリアフリー改修工事費用は50万円超(補助金収入等控除後)
・改修後の住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
【翌年度のみ】▲固定資産税✕1/3
(家屋面積100㎡相当分まで)
省エネ改修 ・平成20.1.1に存している住宅(賃貸住宅を除く)であること
・省エネ基準に適合する工事であること(要証明書)
・省エネ改修工事費用は50万円超(補助金収入等控除後)
・改修後の住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
【翌年度のみ】▲固定資産税✕1/3
(家屋面積120㎡相当分まで)
※改修後認定長期優良住宅の場合2/3

なお、改修工事を行なう際には、増築や増床につながると、建物の価値が増加することで固定資産税評価額も上昇し、結果、固定資産税も上がるケースもありますので、事前にリフォーム会社に確認されることをおすすめします。

また、相続などにより空き家になった家屋を、長期間放置しておいて、倒壊、衛生悪化などの恐れがあると自治体に認定されてしまうと、一定の手続きのもと、住宅用地の課税標準額の軽減措置が適用されなくなります。小規模住宅用地の場合、固定資産税が一気に6倍に膨れ上がってしまいますので、空き家のまま放置することなく、できる限りすみやかに利活用されることをおすすめします。

毎年、市区町村から送付されてくる固定資産税の納付書には固定資産税課税明細書が同封されています。この明細書には固定資産税の計算項目が記載されていますので、評価替えが行なわれるタイミングで、固定資産税評価額だけでもご確認されることをおすすめいたします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2021年11月29日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて該当制度の詳細をご確認ください。

監修・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、
約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、多業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、令和元年12月に、池袋にて独立開業。

Ⓒ2021 Next Eyes.co.Ltd

コラムはネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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