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趣味・生活

2022.08.26

雑貨店「日用美」店主・浅川あやさんが移住で叶えた『自然と共存するゆとりあるおうち時間』

-私のとっておきのおうち時間-

時が経つほどに美しく、日々の生活を穏やかに彩る――。神奈川県・二宮町にある雑貨店「日用美」には、店主・浅川あやさんの審美眼に叶ったこだわりのアイテムが並んでいます。今回は物選びに長けた浅川さんのご自宅に伺い、おうちでの過ごし方や住まいづくりへの思いをお聞きしました。

INDEX

【1】生活環境を整えることを優先した移住計画

築80年ほどの洋館は店舗としてそのまま使用し、隣にあった日本家屋は傷みが激しかったので取り壊すことに。
そして、浅川さんにとって2軒目となる住まいづくりがスタート。

浅川さんが10年ほど暮らした鎌倉を離れ、この場所に移住したのは、今から3年ほど前。そのきっかけは、息子さんが通っていた保育園だったそうです。

「その保育園は山の中にあって、子どもたちは自然の中でのびのびと育つ、本当に天国のような場所でした。毎日息子の送り迎えをするうちに、私たちの生活もこんな環境だったら最高だろうなと思うようになったんです」

周囲の雑木林も含めて、敷地面積は約380坪。
庭にある小さな畑では、トマトやナス、キュウリなどの夏野菜が実りを迎えている。

人と自然が共生するパーマカルチャー※1を身近に体験した浅川さんは、リピーターが足しげく通う鎌倉の人気店をいったんクローズし、生活環境を整えることを優先しました。

※1 パーマカルチャー:パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語。人と自然が共存する社会を作るためのデザイン手法。

新居には憧れの薪ストーブも設置。「“浅川学童”と呼ばれるくらい(笑)、息子の友達もたくさん遊びに来てくれるんです。
子どもたちみんなで薪を用意してくれることもありますよ」。

新天地は海と山に囲まれた神奈川県・二宮町。雑木林に囲まれた敷地には、築80年ほどの洋館と日本家屋が何年も使われずに残されていたといいます。洋館の窓のステンドグラスや建具に心惹かれた浅川さんは、ここを店にすると決め、隣の日本家屋は取り壊して、新たに家を建てることにしました。

「実は家を建てるのは今回で2回目。以前の家は鎌倉の住宅街にあったので、いろいろと諦めることも多かったのですが、この家では私たちの理想を実現しようと決めました」

画像(左):リビングにつながるデッキ。洗濯物を干す竿は敷地内に生えていた竹を利用しています。
画像(右):家の外には、アウトドアライフに役立つキッチンを設置。

【2】コンセプトは『外にいるように暮らす』

画像(左):屋根勾配を活かした吹き抜けで開放感たっぷりのリビング。
真っ白な壁をスクリーンに見立てた映画鑑賞も、この家で手に入れた楽しみのひとつなのだとか。
画像(右):土間をイメージして、ダイニングの床はモルタル仕上げに。
汚れても掃除しやすいのだそう。ダイニングテーブルは浅川さんが20年前に購入し、実家で大切に使われていたもの。

1階は、屋根勾配を活かした吹き抜きのあるリビングダイニング、そしてキッチンが一体となった大空間です。3面に設けた大きな窓から、やわらかな日差しがたっぷりと降り注ぎ、窓の向こうに広がる雑木林の眺めがダイナミックに室内を彩ります。またリビングと庭をつなぐウッドデッキや床のモルタル仕上げが内と外の境界を曖昧にし、半戸外のような開放感をより一層高めます。

さらに圧巻なのは、2階の壁一面に設けられた本棚です。そこには、浅川さんやご主人の蔵書だけではなく、映画のDVDや家族の思い出の品々も飾られています。

画像:2階の廊下の壁一面に設けられた本棚には、蔵書のほか、家族の思い出の写真なども。また、ご主人の趣味のギターもディスプレイ。

ほかにも、薪ストーブを設置したり、リビングの壁をスクリーンに見立てたり。また、庭には生ごみを捨てるコンポストを置き、そこで作られた堆肥を畑に混ぜて使うなど、念願だったパーマカルチャーも実践しています。

画像(左):この家のために唯一購入した家具が、ハンス・J・ウェグナーの「デイベッド」のソファ。ウォールランプは自由に動かせるので、映画鑑賞のときも邪魔にならない。
画像(右):AVデッキ周りもすっきり。事前に何を置くかを考えた上で、コンセントの位置を工夫しているとのこと。

そして、実は移住計画と合わせて、ご両親との同居生活もスタートしました。

「両親との生活は慣れるまで少し時間はかかりましたけど、今はもうお互いのペースが掴めたのでだいぶ楽になりました。父も母も子どものことも含めてサポートしてくれるので、前よりも時間に追われることも少なくなりましたね」

【3】心の余裕がもたらした小さな変化

キッチンは、浅川さんがもっとも多くの時間を過ごす場所。愛用する食器のサイズや使用頻度を考えて作られたオープン棚をはじめ、広々としたアイランドキッチンは使い勝手も抜群だそう。

画像:浅川さんが「家の中心であり、わが家の司令塔」と話すキッチン。この家でもっとも長く過ごす場所だからこそ、使い勝手はもちろん、随所に浅川さんのこだわりが感じられる。

「キッチンにいると家全体を見渡すことができます。2階にいる子どもの様子も分かるし、庭を眺めることも。すべてを把握できるので、キッチンはわが家の”司令塔”のような場所ですね」

この家で暮らすようになって、浅川さんの中に小さな変化も生まれました。

「お店を始めた頃は、いつも使えないと意味がないと思って、普段使いのできるものをセレクトしていましたが、今は日常の中にアートがあるといいなと思うようになりました。佇まいが美しいものを見ると、にテンションが上がるんです。あとは、くすっと笑えるような、心が和むものにも惹かれるようになりました。この家での暮らしが影響しているのは間違いなくて、空間的にも時間的にも余裕が持てるようになったからだと思います」

画像(左):店で取り扱うものは、浅川さん自ら使用感や使い勝手を確認。中には20年近く愛用している湯呑(手前)もあり、少しずつ色味なども変化してくるそう。まさに「育てる感覚に近い」と浅川さん。
画像(右):ウッドデッキには梅干しも。浅川家では、梅仕事は毎年の恒例行事。

浅川さんの「とっておきのおうち時間」は、便利さを優先した都会の暮らしではなく、周囲の豊かな自然と共存することで得られる、ゆとりのある暮らしそのものでした。生活環境を整え、新たなライフスタイルを手に入れた浅川さん。同時にこれまで大切に育ててきた「日用美」も第二章を迎え、今後の展開にますます期待が高まります。

取材協力

雑貨店「日用美」店主・浅川あや さん

多摩美術大学を卒業後、内装インテリアの設計会社に就職。その後、ライフスタイルショップに転職。出産を機に退職すると鎌倉へ移住し、2013年に自宅の1階に雑貨のセレクトショップ「日用美」をオープン。2019年に神奈川県・二宮町に移住し、2020年秋に自宅の隣にショップをリニューアルオープンする。2020年7月、今回の住まいづくりを詳しく記した『日用美のくらしづくり、家づくり』 (小澤典代著・光文社)を発行。

【リンク】
ホームページ  https://nichiyobi365.wixsite.com/nichiyobi
Instagram  https://www.instagram.com/nichiyobi_asakawa/

編集・執筆:石倉 夏枝 / 撮影:小島 沙緒理

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