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今どきの住まい・暮らし

2023.04.20

インテリアデザイナー 小林マナさんの 「緑とアートを愛でる暮らし」

井の頭公園を臨む一角に、夫婦で共同経営する設計事務所と自宅が一体となった一軒家を6年前に新築したインテリアデザイナーの小林マナさん。好きなアートコレクションに囲まれた空間で暮らすマナさんに、インテリアのプロならではのマイルールをうかがいました。

INDEX

【1】仕事&居住空間を分けて共有スペースはすっきり

事務所スペースはマナさんが預かっている犬が自由に動き回れるようにレイアウト。
アーティスト・鹿児島睦さんの巨大な壁面アートの背後には、仕事関連の資料などがびっしりと収納されている。

東京都心のヴィンテージマンションから6年前に引っ越し、郊外にオフィス兼住宅「井の頭ハウス」を構えたマナさん。夫の恭さんと共同経営する『設計事務所ima(イマ)』の窓からも、プライベートな居住スペースからも公園の緑を一望できる井の頭ハウスは、まるで北欧の森の一軒家のようです。

「一般的には、南向きに窓を設ける家が多いと思いますが、この家は公園が臨める北向きに設けました。樹木は南向きに生い茂るので、北側から眺めるほうが葉っぱもきらきらと美しく見えるんです。それに、北向きの窓は陽射しも安定していますから。どの部屋からも公園を眺められるように窓を大きくとっていますが、寒冷地仕様の断熱材や複層ガラスで冷気を防いでいるので、この家は冬でもぽかぽかです」

お気に入りのロナン・ブルレックのポスターが貼られた玄関。
正面には器などのディスプレイ&収納棚があり、上部のガラス越しに公園の景色がちらりと見える仕様。
玄関の左は事務所、右は打ち合わせスペース兼ダイニングルームがつながる。

井の頭ハウスは、1階に事務所があり、通り抜けできるキッチンを隔ててダイニングルームと公園を臨むテラスが広がっています。事務所と居住スペースはどのように分けているのでしょう?

「日中はキッチンもダイニングルームもテラスも事務所のスタッフと共有して、打ち合わせや休憩に使っています。でも仕事が終わる19時以降は、キッチンもダイニングも夫婦で夕食をとるプライベート空間になります。だから共有スペースを使用したら必ず私物を片づけてきれいにするのがマイルールの1つであり、スタッフを含めた全員のルールでもあります」

画像(左):調理をしながら公園を一望できる明るいキッチン。奥はダイニングルーム。

画像(右):カラフルなテーブルやチェアが映えるテラスは、まるで森の中のカフェのよう。晴れた日はここで食事を楽しむことも。

マナさんは保護動物の預かりボランティアもしていますが、預かり犬や猫とはどのように棲み分けているのでしょう?

「亡くなった先代猫は犬がいることがストレスだったようなので、1階は預かり犬、2階は先住猫という風に生活空間を分けています。預かっているのは持病があったりする老犬なので、事務所まわりにいれば仕事中も見守れますしね。犬と猫だけでなく、夫婦でも私物についてはスペースをきっちり分けています。共通の趣味以外の物は自分の部屋に収納して、リビングなどの共有スペースには持ち込まないようにしています」

画像(左):マナさんの部屋は、アーティスト・石本藤雄さんの陶板作品をはじめ、好きなアートや愛用品の宝庫。

画像(右):DJでもある恭さんの部屋には、膨大なレコード&CDコレクションがずらり。選曲の仕事もここで行うそう。

【2】ハッピーなアートコレクションを愉しむ空間づくり

公園を見晴らす2階リビングの奥には、好きなアート作品を展示。空間のアクセントにもなっているバング&オルフセンの丸いスピーカーカバーは、テキスタイルザイナーの鈴木マサルさんがデザインしたもの。右手にある正方形クッションは、ミナ ペルホネンの生地を用いたオリジナルプロダクト。

2階は完全にプライベートな居住空間。多彩なアート作品があちこちに飾られ、まるで私設ギャラリーのようです。

「テンションが上がってハッピーな気持ちになるアートを飾って愉しむのが、2つ目のマイルールです。前の家で猫が作品を落としたことがあったので、リビングのアート棚はガラス張りにしました。作品によって空間の雰囲気が変わるので、蒐集した作品を時々入れ替えながら飾っています」


画像(左):2階廊下の目立つ場所にはお気に入りの版画「LOVEの木」(松林誠さん作)。下の椅子は幼稚園の設計をしたときの試作品。

画像(右):設計事務所imaと飛騨産業のコラボで生まれた猫を愛でる家具「メデル」を愛用しているマロンちゃん。

「アートだけでなく、仕事で作製したオリジナルプロダクトも、リビングなどに飾って愛用しています。実際に使うことで、新たに発見することもありますからね。たとえば、ミナ ペルホネンの生地を使ったクッションは、猫がバリバリと爪とぎをしても、すぐにボロボロにほつれたりしないんですよ。まさに少しずつ経年変化を愉しめる仕様なんだなぁと実感しています」

画像(左):1階は土足OKですが、2階はNG。階段の踊り場にも鈴木マサルさんの陶芸作品がさりげなく。

画像(右):夫婦で別々に購入した造形作家・古賀充さんのアートは、右がマナさん、左は恭さんが所蔵。

【3】生活感を見せない収納の工夫

2階の廊下の壁には、マリメッコの布コレクションやリネン類をまとめて入れられる収納庫を設置。

アート作品に囲まれた小林邸は、物が多いのに空間全体がとてもおしゃれにまとまっています。

ランドリールームの壁は空色、床は芝生を思わせる緑色にデザイン。洗濯後に干して畳むまでの一連の動作がこの場で完結。

「生活感を見せないように収納を工夫するのが3つめのマイルールです。特に生活感が出てしまうのが、室内干しの洗濯物と、そのホコリ。以前暮らしていた家では洗濯物は室内干しだったので、どうしても生活感が出てしまって。だから、この家では洗濯物を干してアイロンがけまでできるランドリールームを作ったんです。廊下には洗ったリネン類をそのまま収納できる大容量の収納庫も設置したので、洗濯物の生活感とホコリ問題から解放されて、片付けや掃除もラクになりました」

リビングの一角にある扉を開けると、シンクのついた収納式ミニドリンクバーが出現。内部のライトも自動的に点灯する仕組み。

ほかにも、リビングにはお酒が楽しめるミニドリンクバーがありますが、使わないときは扉を閉じて生活感を払拭しています。また、時々入れ替えるアートコレクションもリビングの戸棚にスッキリ収納して、飾る・隠すのメリハリを徹底しているそうです。

「蒐集しているアートは年々増えますし、動物たちもいるので、収納についてはさらに工夫していきたいと思っています」

マナさんが大切にしているマイルールから、仕事と居住スペースを上手に使い分け、生活感を見せない空間づくりに気を配ることが、素敵なライフスタイルの秘訣のようです。

住宅展示場には、マナさんのようにインテリアを整えるためのヒントがたくさんあります。具体的なイメージづくりの参考に、ぜひお近くの住宅展示場をチェックしてみてください。

取材協力

インテリアデザイナー 小林マナさん

東京都生まれ。1989年、武蔵野美術大学工芸デザイン科卒業。ディスプレイデザイン会社を経て、1997年に夫の小林恭さんとデザイン、アートの勉強のため半年間ヨーロッパ17カ国70都市を巡る。1998年に設計事務所ima(イマ)を共同で設立し、マリメッコの国内外の主要都市のフラッグシップストアの設計をはじめ、イル・ビゾンテの国内店舗やラプアンカンクリのラプア店などの設計を担当。現在は、物販、飲食のインテリアデザインを主軸にプロダクトデザイン、住宅建築、住宅リノベーション、幼稚園、ホテルや展示会の会場構成なども手がける。2019年、2020年、2022年 にグッドデザイン賞、2023年青山スパイラルで開催されるSICF24にて審査員に就任。

【リンク】
HP :https://ima-ima.com/
INSTAGRAM:https://www.instagram.com/manakobayashi/

取材・執筆:轡田 早月
撮影:小島 沙緒理
編集:石倉 夏枝

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