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家づくりの雑学

2024.09.09

耐震性能とは?等級1・2・3の違いと知っておくべき基礎知識

最終更新日:2025/06/04

この30年以内に阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震など、震度7級の地震を5回経験した日本ですが、さらに南海トラフ地震の広域にわたる臨時情報が発表されました。しかし、地震から家を守るための技術も目覚ましい進化を遂げています。

本記事では、耐震性能の指標と言われる耐震等級とは何か、耐震基準との違いや等級を上げて家を建てることのメリットなどを解説します。家づくりの際の安全を考える参考にしてください。

INDEX

なぜ地震で家が倒壊してしまうのか?

まず、地震が家にもたらす被害のイメージを持ちやすくするよう、地震で家が倒壊したり、被害を受けたりするのはなぜかを解説します。ハザードマップによって、危険度の差は示唆されていても、どこにでも起こりうることとして考えましょう。

倒壊してしまうメカニズム

地震の縦や横の大きな揺れが家屋に加わった際に、建物は歪んだり傾いたりなど、変形させられることになります。

変形のショックで、柱と梁や土台が組み合わさる部分(接合部)が外れたりゆるんだりし、部材自体のひびや破損なども起こることで、生じる現象が倒壊です。大きな縦揺れは、基礎が地盤から浮いたり抜けたりさせてしまうこともあり、その場合家屋が元の位置から動き、傾きが起きます。

これらのダメージが一定以上になると、倒壊に至らなくても、修復できずに取り壊しせざるを得ない症状となるでしょう。

比較的耐震性の高い鉄骨造、RC造に比べて、木造の耐震性能はやや劣ります。ただし新しい金物の開発など技術が進んで、建築基準法改正の2000年頃から、鉄骨住宅とそれほど変わらない耐震性を発揮できるようになりました。

木造戸建ての場合、筋交いや構造用合板で強化した耐力壁の量と配置のバランスが、倒壊を防ぎます。現行の建築基準法では、耐力壁の量やバランスを考慮して設計することが義務です。

このほかに地震で受ける可能性のある被害としては、津波によって建物が流される、地震に伴う火災で焼失するなどがあり得ます。これらすべては地震保険のカバー対象となります。なお、地震が原因で起きた火災は、火災保険ではカバーされず、地震保険の加入が必要です。

地震に弱い家の特徴

地震に弱い可能性のある家の特徴としては、主に以下の点が挙げられます。

  • ● 老朽化した木造住宅
  • ● 偏った間取り
  • ● 筋交いの不足

後述する1981年5月以前に新築された木造家屋は、強い揺れを伴う地震の際に倒壊を含む被害が出る可能性があります。とくに以前地震で強い揺れにさらされた建物は、見えない建物の傷みから、次の地震のときに被害が出やすい場合も。

このほか、建物の間取りも地震に対する強さに関係があります。下の写真の間取りのように図の下部が比較的広い部屋の間取りで柱が少なく、窓などの開口部が大きく壁が少ないなどの場合、建物の受け止める揺れの力が不均等にかかり、被害が出やすくなるのです。

さらに、建物が細長い、L字型、2階より1階部分の面積が少ないオーバーハングなどの場合も、正方形や長方形で総2階の建物に比べ、揺れの力を均一に受け止めきれない傾向にあります。

建物の強度を増すために、以下の写真のように斜めの筋交いや金属製の金具を使用します。これらの補強が十分ではない場合、被害が大きくなりやすいでしょう。

近年に設計・施工される住宅は技術の進歩で、リビングに吹き抜けや大きな窓を設けても、十分に大きな揺れに耐えられるようにつくられています。

また、筋交いや金物補強の進歩で、木造建築で最高レベルの耐震等級3が取得可能です。

過去の震災から学ぶ倒壊リスク

過去に発生した最大震度7以上の震災のデータをご覧ください。

年代 名称 最大震度 人的被害 家屋被害
1995年 阪神・淡路大震災 7 死者 約6,400
負傷 約43,700
全壊 104,906棟
半壊 144,272棟
2011年 東日本大震災 7 死者 19,775
不明 2,550
負傷 6,242
全壊 122,050棟
半壊 283,988棟
一部破損 750,064棟
2016年 熊本地震 7 死者 273
負傷 2,809
全壊 8,667棟
半壊 34,719棟
一部破損 163,500棟
2024年 能登半島地震 7 死者 549
負傷 1,393
全壊 6,483棟
半壊 23,458棟
一部破損 133,758棟

東日本大震災は、津波による被害が大きかったため、被害状況をほかの地震と比較するのが困難です。しかし阪神・淡路大震災と熊本地震では、地震の強さに対する被害規模が明らかに縮小していることが分かります。

以下は、能登半島地震における建築年代別の倒壊率などの被害状況です。1981年に新耐震基準が導入される前の木造建築物の倒壊・崩壊は19.4%、新耐震基準かつ2000年に接合部などの基準が明確化される以前の倒壊・崩壊は5.4%となっています。

2000年以降の木造建築物の倒壊・崩壊は0.7%と倒壊・崩壊は激減し、これらの結果は2016年の熊本地震の際に実施した調査結果と同様の傾向で、「新しいほうが強い」ことを示しました。

耐震性能の指標として使われる耐震等級とは?

現在耐震性の指標となっているのが、耐震等級です。耐震等級は2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)で定義された、耐震性を判断する際の基準です。耐震等級は第三者の審査を受けて認定され、各住宅メーカーや工務店が、商品の性能基準としても表示しています。

生命や財産を守ることから、建物を維持して資産価値を守るレベル分けは3段階です。等級1はこれよりも弱い構造は危険というレベルとなり、等級2は等級1の1.25倍の強さ、等級3は等級1の1.5倍の強さと定義されています。

等級が上がるほど、強い揺れの中でも建物が維持されますが、反面基本的には柱や梁が太くなり、窓などの開口部が小さくなるなど、建築上の制約を受ける場合があります。

以下は耐震等級それぞれの目安です。

耐震等級1

耐震等級1は、建築基準法で定められた、最低限度の耐震性を満たす基準で、「新耐震基準」とも呼ばれています。新耐震基準は住宅ローン控除の対象の基準となり、不動産の資産価値の指針にもなっています。

等級1の定義は以下です。

  • ● 数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度。阪神・淡路大震災や2016年4月に発生した熊本地震クラスの揺れ)に対しても倒壊や崩壊しないこと
  • ● 数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度であること

家屋が倒壊しないことで、住む人の生命や家財の財産を守ることにはつながります。しかし、等級1は被害を受けた以降も、修繕することによって建物が使い続けられるレベルの定義ではないことを覚えておきましょう。

修繕に多額の費用がかかったり、建て替えが必要となったりすれば、金銭的な問題だけでなく、生活の変化によるストレスは相当のものを覚悟しなければなりません。

耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準が等級2です。

「長期優良住宅」の認定を受ける場合、耐震等級2以上をクリアすることが条件とされています。また災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の強度を持つことが必須の要件です。

等級1の対象となる地震以上の規模のものは、現状記録上では体験されていません。しかし地震の揺れの被害は、建っている場所の地盤などにも左右されることがあります。熊本地震の際に、等級2の家屋が倒壊した例も報告されており、「等級2なら必ず安心」とならないのが現状です。

耐震性能で「耐震等級2相当」という表現があります。相当とは、耐震性能は等級2で作っているが、認定を受けていない状態を指します。認定を受けることで以下のメリットがあるので、手続きを行いましょう。

  • ● 地震保険料の割引
  • ● 固定資産税の減免
  • ● フラット35Sでの金利優遇
  • ● 贈与税の非課税枠の増設

耐震等級3

耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるだけの性能・耐震強度水準を持つとされる耐震等級3は、現在もっとも優れた性能の定義です。

一度大きな地震の被害に遭っても、建物のダメージが少なく、住み続けられる状態を目指しています。大きな余震がきても安心できますが、屋内の家具や家財の倒壊の危険性があるので、余震が収まるまでの避難は推奨されるでしょう。

災害時にもダメージを受けずに救護や復興に向けての活動拠点となる消防署・警察署は、耐震等級3で建築されます。

地震保険料の割引は、等級1で10%、等級2で30%ですが、等級3の場合は半額にまで割引されます。保険は長期にわたって払い続けるものです。それなりの差となってくるので、安全性だけでなく、家のランニングコストにも影響がある点も、考えてみましょう。

耐震等級の見分け方と確認方法

では、既存住宅の耐震等級が不明な場合、どのように対処すればいいのでしょうか。耐震等級を調べる方法としては耐震診断を受けるか、性能評価書があれば、そちらに性能が記載されています。

耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による住宅性能表示制度によって定められたものです。

住宅性能表示制度は、建物の性能を建築の専門家でなくても分かりやすく表示するための基準となっています。住宅の性能に関する共通ルール(基準)を設け、住宅購入者がさまざまな建築会社の住宅を比較・検討しやすくなる仕組みです。

住宅性能表示制度にのっとり第三者機関が住宅の性能評価を行います。しかし施工の実費以外に、審査のために30~50万円程度の費用がかかるため、耐震等級3と同等の耐震性能を持ちながら住宅性能表示制度による認定を受けず、価格を下げて販売するケースもありました。

等級3を得ることで、税制や地震保険などの優遇が異なることを考えると、このコストダウンはもったいないともいえます。

耐震基準と耐震等級の違いとは?

家を地震から守る性能について、耐震基準と耐震等級、耐震・免震・制震などがあります。ここであらためて言葉の違いを整理しましょう。

まず耐震基準と耐震等級の違いです。

耐震基準とは、地震による建物の安全性を確保するための、最低限の基準です。これを満たしたのが耐震等級1でした。建物が倒壊しなければ、さしあたり命の危険は軽減され、家の中の財産も比較的保全されるでしょう。

耐震基準は日本国内のあらゆる建物に求められ、これを満たさない建物は作ってはいけません。関東大震災の翌年1924年に初めて制定されて以来何度かの見直しが行われ、1995年の阪神・淡路大震災以降は、2000年に見直しがされています。

これに対して耐震等級は、耐震基準のレベルをさらに強化していくべく、倒壊防止だけでなく損傷防止の観点からも、基準が定められています。

本来財産としては、家屋自体が家族にとってもっとも大きなものです。保険による保障だけでなく、建物の強度自体で家族の生活やお金を守りたいものです。

新耐震基準と旧耐震基準の違い

住宅ローンや税制など、さまざまな基準としてもっとも多く扱われるのが、1981年を境にした耐震基準です。

1978年の宮城県沖地震では全半壊の建物が4,385戸、一部損壊の建物が8万6,101戸と多くの建物が大きな被害を受けました。

中でも問題となったのが、ブロック塀の損壊による死者数11人という数と、地震後に屋外に出て建物の崩壊に巻き込まれて怪我をするという人が多くみられたことです。

地震の際は火災や液状化、上下水道の損壊ほか、さまざまなリスクがありますが、建物や外構の損壊は生命リスクにつながるという観点が生じたことになります。

これらの背景から、建物倒壊による人的被害を改善するために1981年の建築基準法改正が行われることとなりました。

旧耐震基準 1950年~

震度5の地震に際して、建物が倒壊しない。

  • 建物の自重の 20%に相当する地震力に対して許容応力度計算を行う。
新耐震基準 1981年~

震度6強から震度7程度の地震でも倒壊・崩壊しない。

  • 保有水平耐力計算(二次設計) 保有水平耐力比 Qu/Qun≧1

関連記事:
新耐震基準はいつから?旧耐震と現行の耐震基準との違いは?|住宅展示場のハウジングステージ

耐震等級と建築基準法の関係性

新耐震基準の「震度5強程度の地震では軽微なひび割れ程度にとどまり、震度6強から震度7程度の地震でも倒壊・崩壊しない」という定義と、満たすべき施工基準が耐震等級1といえます。これは新しく設計・施工される建物に必要な、最低限の基準です。

しかし意味ないとまではいえないものの、これは文字通り最低の基準であるため、大きな地震の揺れを受けた際に十分とはいえません。そのため、等級2や3など、任意の性能向上を通じて住まいの安全性向上を図るようになっているのです。

耐震・免震・制震の違いと特徴

耐震以外に、免震や制震という言葉が、建物への地震被害を防ぐ方法として使われます。耐震との違いは何でしょうか。

まず耐震は、建物の構造や部材の強度で地震の揺れに対抗する方法です。

これに対して免震は建物の基礎と地盤の間に、地震の揺れを逃がし、伝えにくくする構造をはさみます。建物に伝わる揺れの強さを軽減し、被害を少なくする方法です。

制震は特殊な装置で地震の揺れを熱エネルギーに変換し、地震の揺れを吸収する方法です。

いずれの方法も戸建ての注文住宅への応用が進んでおり、今後も技術の進歩とコストダウンが期待されます。

耐震性能の高い家を建てたいときは?

高い耐震性能を持つ家を建てたいとき、主に以下の点に留意しながら設計・施工を進めます。

家の耐震性能を高めるノウハウ

構造計算 ● 壁倍率(耐力壁の強さ)や、耐力壁の量と配置のバランスを踏まえた構造計算を行う
壁の強化 ● 必要な箇所に筋交いを入れる
● 構造用合板や耐力面材を使う
床と屋根の強化 ● 床に構造用合板を使う
● 軽い屋根材を使って揺れを抑える
柱・梁の接合部の強化 ● 接合金物を使う
基礎の強化 ● ベタ基礎にする(水平面もコンクリート打ちする)
● 基礎のコンクリートを厚くする
梁の強化 ● 集成材などの強度の高い建材を使う
● 金物工法によって木材を切削する加工を減らす

構造計算は、用途に合った方法で正確な調べ方をする必要があり、計算によって耐震性に違いが出ないようにしなくてはなりません。

注文住宅では、家族の住まいに対する希望をかなえるために、さまざまな要望がリストアップされることでしょう。しかしときには、耐震性能の確保とは相いれない部分が出ることもあります。

優先順位を考えながら、うまくバランスをとった家づくりを目指しましょう。

関連記事:
地震に強いだけで大丈夫? これからの災害対策に求められる 「レジリエンスな家」とは|住宅展示場のハウジングステージ

耐震等級を上げるための具体的な構造対策

前項のような基準で耐震強度=等級を上げていきますが、具体的には以下のような工法や部材を用います。

  • ● 金物補強
  • ● 制震ダンパー
  • ● 耐力壁の配置

補強のための金物は、木造住宅の木材同士の接合部が地震の揺れでゆるまないように補強する役割を果たします。建物の揺れを抑制し、倒壊も防ぐ役割も果たす部材です。主に「柱と梁」「柱と基礎(土台)」「筋交い」に用い、使用する箇所や目的別に以下の種類があります。(代表的なもの)

  • ● 筋交い金物
  • ● ホールダウン金物
  • ● アンカーボルト
  • ● 仕口金物

制振ダンパーは、やはり部材の接合部などに設置し、地震による揺れを吸収し、建物に加わる変形や損傷を抑えることを目的に使用されます。地震の揺れの振幅を抑えて、倒壊防止のほか、揺れによる建物のダメージの軽減が可能です。

耐力壁は鉄筋コンクリート造の場合耐震壁ともいい、建物の強度を担う壁として、間取りのアンバランスによる強度バランスの補正や、地震に備えた補強を目的とします。

木造の軸組工法では壁が強度を担わないようにいわれますが、木造でも筋交いなどを用いて耐力を持つ壁面を構成することが必要です。

耐震性能を高めるためのコストと費用対効果

耐震等級の2や3を実現するためには、追加のコストが40~100万円ほど必要となります。ここには耐震等級取得のための申請費用を含み、等級2と等級3との比較では、そこまで大きな追加コストは生じません。

また、実はこのコストで得られるのは、大きな地震に際しての安心感だけではありません。

後述する地震保険料の割引のほか、固定資産税や不動産取得税の減免、フラット35Sで借入する場合の金利優遇、贈与税の非課税枠の増枠などさまざまな経済上のメリットが生じるのです。

さらに施工の際の補助金や、長期的な視点での費用対効果も考えると等級3の取得以外に、省エネ性なども加味した長期優良住宅の取得も検討対象となるでしょう。

【耐震等級3】の強度は熊本地震でも倒壊はゼロ

前述しましたが、2016年の熊本地震では、耐震等級の違いによる被害状況の違いが浮き彫りになりました。震度7クラスの地震が2回おそったため、2回目の揺れが被害をあぶりだした形になったといえるでしょう。

まず、耐震等級3の家屋は1棟も倒壊しなかったことで、その耐震性能を証明する形となりました。反面等級1を満たさない家屋は18%が倒壊・崩壊し、無被害は5.1%にとどまりました。震度7級で倒壊を防ぐという等級1の耐震基準も、2回目の地震によって防ぎきれず倒壊を許した形になったと考えられています。

また、建築年次と被害状況にも相関があります。国土交通省の調査によると、同地震で平成12年(2000年)以降の基準で作られた家屋が無被害であった確率は61.4%です。軽微・小破・中破の32.6%と合わせると、94%が深刻な被害を免れたことになります。

以下は国土交通省の調査で、平成12年(2000年)以降の耐震等級3と等級1(建築基準法レベル)の被害状況の差を示したデータです。

耐震性能は事前に定めているケースが多い

住まいの建築や設計を行う会社は、一定の耐震等級を基準にしてフリープランの設計を受け付けています。その基準が等級2であれば、打ち合わせが進んでから「等級3で建ててください!」という要望には応じられなくなります。

その場合、壁の量や基礎の仕様など、設計上の基本的な構造が大幅に変わる可能性があるためです。つまり最初の段階から耐震等級などの要望を明らかにし、設計部署に伝えることが必要となります。

どんなに豪奢な建材を使い、ぜいたくに見える家でも、施主からの要望がなければ、外観にお金をかけて耐震性能は等級1の家にすることも可能です。

しかし、大規模・広範囲の震災の場合、地震保険の性格上、当初契約した補償内容を満たせない事態になることもあり得ます。

全壊扱いでも解体が必要な建物を処分し、新たに住居を確保することになれば、軽い補修で済み続けられる場合とでは大きな差となります。しっかりした家を建てることが、年々重視されていくようです。

地震保険料の割引制度について

地震保険は、耐震等級に応じて割引が適用となります。割引率は、次のとおりです。

耐震等級1 耐震等級2 耐震等級3
耐震等級3 10% 30% 50%

等級1と等級3では、年間の保険料を2万8千円、保険期間を35年間と設定した場合のコストで39万2千円の差が出ます。

等級1 28,000×35×0.9(割引率10%) 882,000円
等級3 28,000×35×0.5(割引率50%) 490,000円

なお、耐震等級割引と併用はできないものの、ほかにも以下のような免震建築物割引・耐震診断割引・建築年割引などが対象となります。

割引制度 説明 割引率
免震建築物割引 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」=品確法に基づく「免震建築物」 50%
耐震診断割引 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たす 10%
建築年割引 1981年6月1日以降に新築された建物 10%

耐震診断割引と建築年割引は、耐震等級1を適用したのと同等という意味です。

住宅購入前に確認すべき耐震性能のチェックポイント

前述のように住宅性能表示制度による耐震等級は、第三者機関の審査によって証明されます。

第三者に施工状態を客観的に評価・認定してもらえば、住宅購入にまつわるトラブルを予防することにもつながるでしょう。

後悔のないよう、住宅購入の際には事前に希望する耐震性能を伝え、重要事項説明書、性能評価書、建築確認申請書などの確認を行いましょう。

耐震性能のチェックポイント

● 耐力壁の量や配置の不足
● 鉄筋の入り方や基礎の深さ
● リフォーム時の耐震補強対応
● 経年劣化のチェック
● 外壁や屋根材のずれ・ヒビ
● 地盤に応じた基礎設計
● 柱頭・柱脚・筋交いなどの接合方法
● 耐力壁のバランス計算と配置

中古住宅の耐震性能を調べる方法

中古住宅の場合、耐震性能のデータがない物件の確認を行う手段として、耐震診断があり、診断の結果補強工事を実施することもできます。

費用の相場は一般診断で10万円、精密診断で20万円ほどです。一般診断で耐震補強工事の必要性を調べ、耐震施工のために精密診断を行うという流れになります。

設計事務所や専門機関、自治体などの専門資格保持者によって2時間ほどの作業で診断が行われるのが一般的です。(一般診断の場合)

耐震性能向上を図る場合は、設計に30万円、施工に150万円ほどが相場となります。耐震診断などには自治体の補助金が適用できる場合があるので、依頼する前に調べて申請しましょう。

まとめ

耐震性能の指標と言われる耐震等級とは何か、耐震基準との違いや等級を上げて家を建てることのメリットなどを解説しました。

耐震等級が分かりやすい形で耐震性能に直結している点、全体予算をかければ比例して耐震性能が上がるものではないなどの点は、意外に感じられたのではないでしょうか。

2024年1月にも北陸エリアで大規模地震を経験し、今後も太平洋岸を中心に、広範囲の震災リスクが高まっているといわれています。耐震性は住宅性能の中で、今後さらに大きな比重を占めることになるでしょう。家づくりの際には、さらに深いご検討をおすすめします。

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士。
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令などのジャンルを中心に記事の執筆を行う。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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