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2025.11.13

ローコスト平屋は300万円で建てられる?デメリットや注意点、実例を解説

近年人気や施工数の右肩上がりの平屋です。シェアは2024年で17.0%と、2008年の8.0%から約2倍以上の伸びを見せ、建築戸数もコロナ禍で全体が下落した2020年を除き、すべて前年を上回っています。

ワンフロアの平屋はローコストと相性が良さそうですが、ローコストと相容れない部分も。そこで本記事では、ローコスト平屋は300万円で建てられるのか、デメリットや注意点、実例を交えて解説します。平屋の特性をうまく享受できるローコスト建築を目指しましょう。

INDEX

ローコスト平屋住宅とは?

ローコスト住宅は、建築費用を抑えて建てる家の総称です。コンパクトなサイズと、間取りや設備をシンプルにすることで坪単価を低くし、削る部分は削ってメリハリをつけた家づくりを目指します。

近年ではコンテナハウスや小規模プレハブなど、資材や構造でコストダウンを目指すものや、建築を3Dプリンターで行うという手法も始まっており、今後が興味深いです。

2階がない点では建物をシンプルにできる平屋ですが、土地取得までの予算を考えると、ローコストに向く面と、不向きな面があるといえるでしょう。

関連記事:
平屋の家の特徴や選び方・間取り例を紹介!|住宅展示場のハウジングステージ

以下は、平屋の住宅に住んでみたいと思うかどうかの問いに関するデータです。8割強が「住みたい」と回答しており、平屋志向の根強さがうかがえます。

2024年 株式会社AlbaLink調べ

ローコスト平屋を300万円で建てた場合の間取りの特徴

ローコストの平屋をつくる場合、予算を300万円とすると、坪単価30万円で10坪の広さ(33㎡平米)。

坪単価を上げ、付帯工事や諸費用も含めてなるべく300万円で収めようとする場合、5~8坪の広さとなるでしょう。

間取りに関しては、シンプルな長方形や正方形の外形で、部屋割は極力細かくせず、部屋数の少ない1LDKや2DKが標準です。

33㎡程度の広さであれば、建ぺい率60%で55㎡=約17坪の広さの土地があれば良いことになります。

また、オーダーメイドではなく、既成のプランを選択することによっても、建築の坪単価を下げることができるため、間取りに対してこだわりのある人には、ローコスト平屋はあまり向きません。

さらに、平屋の場合必要な床面積をワンフロアでまかなう必要がある関係で、極力郊外や地方の価格の安い土地にすると良いでしょう。

ローコスト平屋は30年後も住める?

ローコスト平屋の寿命は、構造上でとくに不利な点はなく、メンテナンスさえしていれば、一般的なコストの住宅に比べて短命ということはありません。

ただし、屋根や外壁、設備などのグレードによって耐用年数が変わるため、交換時期の早い外壁材やシステムキッチンなどは、短い周期で手を入れる必要性は考えられます。

しかし最初はグレードが低めであっても、メンテナンス時にカバー工法や塗装でグレードの高いものに取り替え、設備も長持ちするものを使うようにすると良いでしょう。初期費用はかかりますが、長持ちすることでメンテナンスのコストもやや抑えられるようにできます。

ローコスト平屋はやめた方がいいと言われるのはなぜ?

ここまで述べたように、ローコストの平屋はそれなりの制約の中でつくる必要があります。この項では「やめた方がいい」といわれる具体的な理由について、確認してみましょう。

間取りやデザインの自由度が低い

前述のように、平屋をローコストでつくると、比較的定形の、シンプルな間取り・デザインに偏りがちで、個性を発揮したり、こだわりを実現したりするには、知恵や工夫が不可欠になってきます。

シンプルな既成プランで家族のこだわりを発揮するのであれば、建物へのオーダーは最小限にして、その代わりやや広めに確保した庭に、家事や育児などのニーズを満たす機能を盛り込むという補完的な方法も。

例えば子どもの遊び場、家庭菜園、家族団らんをアウトドアで過ごすウッドデッキなどは、家ができ上がってから徐々に整えることもできるでしょう。

防犯対策まで手が回りにくい

平屋は外部からのすべての視線が1階に集まり、防犯やプランバシーに配慮が必要な構造です。

しかし防犯性能の高い窓や玄関ドア、セキュリティシステムの導入などには相応にオプションの予算が必要になるでしょう。また、視線をさえぎるための外構の構築も必要です。

防犯についてはカギの増設で、プライバシー保護は外構に生け垣を植えるなどで、整えていくことをおすすめします。

収納スペースを確保しづらい

ローコストプランで、かつ部屋数に余裕の取りにくい平屋の場合は、居室にスペースを割くために、収納の場所を確保しづらい点が、ダメな理由になりやすいでしょう。

デッドスペースを減らし、あと付けで作り付けの収納を検討するなどが有効ですが、不要なものは極力持たないミニマリスト的な暮らしに抵抗がなければ、それがもっとも本質的な対策かもしれません。

ものが少ない生活は、ストレスが軽減され、行動も積極的になるほか、部屋をおしゃれに整えやすい効果もあります。

ローコスト平屋のメリット

続いて、ローコスト平屋のメリットをお伝えします。経済上の良さもさることながら、シンプルに暮らしたい方にはこの上ない選択といえるプランといえるでしょう。

初期費用と維持費を抑えられる

うまく要望にメリハリをつけてプランを組めれば、初期費用を抑えて建築することが可能です。300万円というラインにどこまで沿えるかは、家族の要望次第ともいえます。しかし絶対的なコスト抑制は実現可能で、トライする意義は大いにあるでしょう。

維持費については前述の通り、使用している建材や設備に左右される面があります。しかしもともと平屋はメンテナンスで大規模な足場を組むことが少なく、壁面の面積も小さいため、維持自体にお金がかからない部分もあるのです。

家事動線が良く暮らしやすい

小さな家のシンプルな間取り構成は、シンプルな生活動線を生みます。食事・洗濯・清掃などの日々の動作が考えられた収納場所を設定していれば、コンパクトな家はとても動きやすい暮らしの場です。

あとは生活空間上でオンとオフの切り替えをどう意識するかが、プラン検討上のポイントとなるでしょう。

また、居住人数が少なければ、朝や夕方の時間帯にお出かけ・帰宅の動線が重複することもなく、快適です。

平屋を建てる際に活用できる補助金制度

補助金制度を利用すれば、どこまで300万円ローコスト平屋実現の助けになるのでしょうか。できるだけうまく活用して、コストを浮かせたいものです。

子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)

子育てグリーン住宅支援事業は、光熱費や物価の値上がりの影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯※を対象に、省エネ性能・経済性能の高い住宅取得のサポートを行うものです。

基準を満たした省エネ住宅の取得を対象に、補助金が支給されます。

※子育て世帯:申請時点において、18歳未満の子を有する世帯
若者夫婦世帯:申請時点において夫婦であり、いずれかが39歳以下である世帯

新築住宅は、次の条件を満たす建築が対象となります。

  • ● GX志向型住宅
  • ● 長期優良住宅
  • ● ZEH水準住宅

補助金額

補助対象住宅 1戸あたりの補助額 古家除却を行う場合の加算
GX志向型住宅 160万円 なし
長期優良住宅 80万円 20万円
ZEH水準住宅 40万円 20万円

ただしこの支援事業は、基準をクリアするだけの住宅性能を満たすための設計・施工にコストを要するため、ローコスト平屋の場合、活用するのが難しい面があります。

また、住宅性能を満たす助成金を得られるローコスト住宅の商品開発を行っているメーカーがなければ成立しないため、今後の展開に期待したいところです。

ご参考:
子育てグリーン住宅支援事業|国土交通省

給湯省エネ事業(経済産業省)

給湯省エネ2025事業は、エネルギー消費の大きな給湯に高効率の設備を導入し、省エネとCO2排出削減を促進するための事業です。

エコキュートやエネファームなどの高効率給湯器の導入は、ローコスト平屋の予算上ややコスト高であっても、補助金を受けられ、光熱費が削減できる点は大きなメリットでしょう。

補助対象の高効率給湯器を導入する住宅で申請でき、以下の3つが補助対象となります。

  • ● ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
  • ● 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機、エコジョーズ他)
  • ● 家庭用燃料電池(エネファーム)

注意点として、子育てグリーン住宅支援事業との併用はできません。

補助金額と加算措置

設置する給湯器 加算要件 補助額(加算額)
ヒートポンプ給湯機(エコキュート) A 4万円/台 両方の場合は7万円/台
B 6万円/台
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機) A 5万円/台 両方の場合は7万円/台
B 5万円/台
家庭用燃料電池(エネファーム) C 4万円/台
  • ● A:インターネット接続可能な機種。気象情報連動によって、日中に沸き上げをシフトする機能を有するもの
  • ● B:補助要件下限の機種と比べ5%以上CO2排出量が少ないことなど、一定の条件に該当すること
  • ● C:ネットワークに接続可能な機種。気象情報連動で、停電が予想される場合にも稼働を停止しない機能を有するもの

ご参考:
給湯省エネ2025事業|経済産業省

自治体独自の補助金制度

国の補助金事業とは別に、各都道府県や市町村が地域の活性化や課題に対応するために独自に実施している補助金制度も多く行われています。移住支援、空き家活用、地元産木材の利用促進、耐震改修、特定の省エネ設備導入など、目的もさまざまです。

ローコスト平屋でも活用できる補助金としては、導入コストのかからない以下のような補助金がおすすめでしょう。

  • ● 移住・定住支援金
  • ● 空き家リフォーム等補助金

例えば現在、以下のような補助金の例があります。

補助金例 対象 補助額
群馬県館林市
わくわく地方生活実現支援金
住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区内に在住、又は東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、東京23区内へ通勤していた ほか 世帯で移住する場合:100万円
(18歳未満の子どもを帯同して移住する場合は、子ども1人につき100万円加算)
埼玉県秩父市
移住支援金
東京23区(在住者又は通勤者)から移住し、下記1~3のいずれかに該当する方。

1. 対象地域の中小企業等に就職した方
2. 移住前からの勤務先の業務をテレワークで継続する方
3. 秩父市内の農林水産業、医療・介護・福祉、建設業に就業する方

(1)基本支給額
ア 単身での移住の場合:60万円
イ 世帯での移住の場合:100万円

(2)加算額
上記(1)イの支給要件に該当する者が18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合:100万円

新潟県佐渡市
移住・就業支援金
東京圏から新潟県佐渡市へ移住し、就業・起業する者 単身:60万円
2人以上世帯:100万円

18歳未満の子ども1人につき100万円加算

各自治体の支援制度は、以下から検索できます。

参考リンク:
全国自治体支援制度検索|ニッポン移住・交流ナビ JOIN

ローコスト平屋の実例

この項では、用途や要望ごとに、ローコスト平屋のメリットを活かしている建築の実例をご紹介します。シンプルな外形でも軒や外壁の美しさが際立つ平屋は、予算をかけなくても工夫次第で、おしゃれな外観演出も可能です。

夫婦2人の充実した暮らしを支える平屋

シンプルな長方形の建物の中に、夫婦2人の合理的な暮らしを支える機能が詰まった小さな家です。

キッチンを中心にコンパクトにまとまった回遊動線や、スペースに制約のある中、妥協せずに設けられたランドリースペースや土間収納が、家事効率へのこだわりをあらわしています。

来客や泊まりに来る家族に対応できるサブリビング兼用の客間は、仕事で遅くなったときに、奥様を起こさないように就寝するスペースにも活用。真似したくなるアイデアです。

リビングのデスクはダイニング兼用で、ちょっとした仕事や家事にも活躍します。ハンモックでくつろぎながらテレビが見られるなど、遊び心も投入。

外観は木質系のサイディングを部分的にあしらい、片流れ屋根と相性のいいアクセントとなっています。

間取り引用元:madree

老後に安心して過ごせる終の棲家

もとの家の土地で、ローコストのコンパクトな平屋に建て替えた例です。ほとんど1LDKに近い2LDKのプランは、夫婦や一人暮らしの「終の棲家」として、余計な労力を使わない暮らしを意識したアイデアが多く採用されています。

来客時以外はそのまま衣類やリネン類にアクセスできるクローゼット。大きめのパントリーで買い物回数を削減。食事はキッチンカウンターです。また、ものが少なくリビングの掃除は極めて簡単、メンテナンスのしやすい材質のウッドデッキなど、やさしいつくりの生活動線が魅力的に感じます。

今後の生活のためにバリアフリーを意識している部分は平坦な玄関、寝室に隣接のトイレ、広めの浴室動線などです。

居心地の良さも抜かりはありません。キッチン、リビング、4帖の客間の3方向から南に向けて通る風を感じながら、ハンモックから芝生の緑を楽しめるようになっているのです。

間取り引用元:madree

家族数に応じた拡張性を意識

シンプルな和モダンの外観の中に、未来を見通した仕掛けのたくさん整えられた家です。現在は夫婦と子ども1人用でありながら、第2子以降や親との同居、老後など30年後を考え備える拡張性も追求。300万円からはオーバーしたものの、満足度の高い仕上がりとなりました。

ランドリールームやファミリークローゼット、土間収納をしっかり設け、寝室はコンパクトという近年多くなった傾向にのっとり、家事動線も万全です。

吹き抜け状勾配天井の、気持ちの良いLDKや子ども部屋は、さまざまな間仕切りの可能性を検討してあります。玄関のアプローチは最初からスロープ・手すり付きでバリアフリー対応。

今後変わっていく家の用途にもおおらかに対応できるコンパクト平屋になりました。

間取り引用元:madree

ローコスト平屋を建てる際に確認すべきポイント

この項では、ローコストでの平屋建築を実現するために、以下確認しておく点を解説します。

  • ● 建ぺい率を考慮する
  • ● 希望条件や予算を明確にしておく
  • ● 信頼できる業者を選ぶ

建ぺい率を考慮する

コンパクトなローコスト平屋は広い土地も必要としませんが、前述のようにワンフロアで必要な広さを確保するために、注意しなければならないのが建ぺい率です。

2階建て家屋の感覚で土地選びをすると、家の必要な広さを確保できないことがありえます。

しっかりした車庫も建てたいというような場合は、その分も建ぺい率の対象となることから、なおさら予算内で広さを確保するという意識が必要となるでしょう。

必要な床面積から逆算して、土地の広さを考えることが大切です。

また、平屋建てにする場合は周りの建物の高さによって、日当たりや風通しが左右されやすいため、土地選びの際はその点にも注意が必要となります。

関連記事:
建ぺい率(建蔽率)とは?容積率との違いや制限・緩和される3つのケースを解説!|住宅展示場のハウジングステージ

希望条件や予算を明確にしておく

例えば予算を300万円と定める場合は、どこまでを300万円で収めるか、諸費用などを含めるかなど、はっきりと線引きしておきましょう。

ローコストの建築では、ちょっとしたことで予算をオーバーしがちです。平屋の特性として、工費のかかる屋根と基礎が2階建てよりも大きい面積となる点も考慮が必要になります。

以下を意識しましょう。

  • ● 事前に分かる出費はすべて洗い出しておく
  • ● どこにお金をかけるかのメリハリをつけて予算を決める
  • ● こだわりのポイントを絞り込む

外構などは、入居後に徐々に仕上げていくこともできます。趣味を兼ねてDIYでつくるのも良いでしょう。

関連記事:
【実例】平屋の価格相場はいくら?坪数別予算や抑えるコツを解説|住宅展示場のハウジングステージ

信頼できる業者を選ぶ

「ローコストの平屋」というセグメントがはっきりしているので、その施工実績が多く、評価の高い会社に依頼することが大切です。

インターネット上の情報や、営業担当者の対応を確認しながら、複数社にプランを依頼して、価格や内容を比較しましょう。

「ローコスト 平屋」のキーワードでWeb検索すると、すでに多数のメーカーがスポンサー表示され、比較サイトも増えており、マーケットが拡大していることがうかがわれます。

まとめ

ローコスト平屋は300万円で建てられるのか、デメリットや注意点、実例を交えて解説しました。

予算の制約があるプランづくりこそ、家族の希望をしっかり吸い上げ、メリハリをつけた予算配分が大切です。

入居後に仕上げたり、間取りなど拡張性を意識したり、あるいは予算をやや見直して500万円まで増やせないかなど、検討することもあるかもしれません。

たくさん集めた情報を、柔軟な発想で検討する。ローコスト平屋の検討は、きっと楽しい作業になるでしょう。

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総合住宅展示場ハウジングステージ編集部

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