2025.12.22
3坪の物置を設置すると固定資産税が発生する?建築確認申請の条件を解説
すっきりと片付いた暮らしがしたい、趣味や仕事の道具を整理しておきたいなどの場合、大きめの物置が欲しくなるでしょう。
しかし、大きめの物置は作り方によっては住宅以外でも建築基準法上の建物としてみなされ、毎年の固定資産税が徴収されることがあります。どのようにすれば税金がかからないのでしょうか。
本記事では、3坪の物置を設置すると固定資産税が発生するかどうか、建築確認申請の条件なども含めて解説します。
INDEX
3坪以下のガレージやプレハブ物置を設置する際は”建築確認”が必要?

まず、本記事の例にする3坪とは、9.91736㎡=約10㎡、約6畳に相当します。(畳のサイズは地方や建物でやや異なります)
したがって、一般的な外構のプレハブ物置よりも大きめなものを作る場合のお話です。このような物置の場合、原則として建築確認が必要であると考えましょう。
建築確認とは、一定規模以上の建物を建てる場合、建築主事(行政の担当者)や指定確認検査機関から、建築計画及び建物が建築基準法等の基準に適合しているのかの確認を受けることです。
建ぺい率や容積率、防火構造や耐震構造など、複数の確認事項のほか、2020年からは省エネ基準も追加されています。これらの確認事項が法令に適合していなければ、建物を建てることができないのです。
しかし、この決まりには例外があります。物置で確実に建築確認が不要となる条件は、以下の3つをすべて満たすことです。
- ● 防火指定のない地域(防火地域・準防火地域以外の地域)
- ● 増築・改築・移転であること(新築の場合は不可)
- ● 10㎡以下の建築物であること
下図にあるように「敷地単位で増築であれば新築も認められる」ということは、母屋と同時に建てた場合は難しいことになります。

建築確認を行う場合の流れは以下です。
- 1.建築確認を申請する
- 2.特定行政庁(建築主事のいる地方公共団体)等で書類確認
- 3.建築確認済証の交付を受ける
- 4.着工(完成まで)
- 5.完了検査の申請(不要な場合も)
- 6.検査済証の交付を受ける
ガレージを増築する場合の申請条件
車の収納に使用するためのガレージを増築する場合でも、柱・屋根・壁を持ち、屋内として使用できる構造物は原則的に建築物として認められるため、建築確認は必要となる場合があります。
しかし、前述の「防火地域・準防火地域外」「新築以外(ただし増築は新築可)」「10㎡以下」の3条件を全て満たせば、建築確認は不要です。
10㎡以下であっても、防火地域・準防火地域である場合は建築確認が必要な点に、注意しましょう。
プレハブ物置を新たに設置する場合の申請条件
新たに設置するプレハブ物置で大きなタイプのものも、ガレージと同様前述の3要件をすべて満たす場合、建築確認は不要です。
また、倉庫の場合は以下の条件を全て満たす場合、建築基準法上で「貯蔵槽に類する施設」に分類されるため、建築物に該当しない扱いとなります。
● 土地に自立させて設置する小規模な倉庫(物置等)
● 外部から荷物の出し入れを行える
● 内部に人が立ち入らない
※貯蔵槽:サイロやタンクのような、袋に入っていない貨物や液体などを直接貯蔵する施設
※小規模の判断基準:奥行き=1m以下・高さ=2.3m以下・床面積=2㎡以内
判断が難しいという場合は、建築指導を行う自治体に相談し、確認しましょう。
ガレージやプレハブ物置における固定資産税が発生する条件

固定資産税とは、所有する土地と建物を対象に毎年課税される地方税で、ガレージやプレハブ物置も、税法上の建物とみなされれば固定資産税の課税対象です。
物置などが建物と認められるかの基準は、建築確認の要件とはまた異なり、以下とされています。

物置がブロックに載せられただけの状態であったり、3方以下の壁しかなかったりする場合は、課税されません。
また、固定資産税は1月1日時点の所有者に課せられるため、その時点で物置が存在していること、発生した課税額が免税点以上の金額であることも、課税の条件です。
ガレージの場合
ガレージでも、課税条件は前述の条件に当てはまるかどうかです。たとえば柱が土地に定着し、屋根がある状態のガレージでも、周りに壁のないカーポートのようなタイプであれば、どんなに面積が大きくとも課税条件には該当しないことになります。
プレハブ物置の場合
市販されているプレハブの物置は、屋根のほかに全ての面に壁が設置されています。しかし、四隅に置いたコンクリートブロックの上に物置を載せただけの設置であれば、課税の条件を満たさないことになり、固定資産税は発生しません。
つまり、同じプレハブ物置でも、土地に基礎を定着させて建築した場合は、全ての条件を満たすので、固定資産税が課税されます。しっかりした基礎を作れば、台風などのときには安心ですが、課税基準は考慮する必要があるでしょう。
よくあるQ&A

3坪の小屋を建てる際、申請は必要?
まず、建築確認申請の不要なケースとして、判断基準となるのは以下の3点すべてを満たすかです。
- ● 防火指定のない地域(防火地域・準防火地域以外の地域)
- ● 増築・改築・移転であること(新築の場合は不可)
- ● 10㎡以下の建築物であること
また、床面積2㎡以内で、外から荷物を出し入れするだけで中に人が出入りしないものは、「貯蔵槽に類する施設」に分類され、建築物として扱われないため、申請が不要にできる場合があります。
庭にプレハブ小屋を建てたら固定資産税はかかる?
固定資産税が課税される基準は、以下の3点全てに該当することです。
- 1. 屋根があり、3方以上を外周壁や建具で囲われていること=外気分断性
- 2. 基礎等で土地に固定されていること=土地定着性
- 3. 居住、作業、貯蔵等に利用できる状態にあること=用途性
3つのうちどれかを満たさない場合では、課税対象外となります。
ガレージやプレハブ物置を建てた場合、毎年税金がかかる?
固定資産税は毎年課税されるものであり、ガレージやプレハブ物置でも1度対象となると、毎年税金を支払う必要があります。また、3年に1度評価替え が行われ、課税標準額が見直されるため、課税額は上下する可能性があると考えましょう。
さらに、課税対象ではないと思っていても、税務署は航空写真やドローンを利用して、新しい建造物のチェックをしているため、あとから課税対象として認定されることもあります。
まとめ

3坪の物置を設置すると固定資産税が発生するかどうか、建築確認申請の条件なども含めて解説しました。
建築確認を要するかの基準や固定資産税課税の基準は、専門的な知識を求められる場合もあるため、家を施工している段階で、建築会社のスタッフに確認しておくと安心です。
敷地に余裕があれば、大きめの物置を設置することで、趣味・仕事・車の維持などさまざまな用途に活用できます。物置や車庫を考える場合は、その用途やメリットをしっかり考えたうえで、コスト計算もしておきたいものです。
提供
総合住宅展示場ハウジングステージ編集部
© Housing Stage All rights reserved.
この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





