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住宅のマネーと制度

2026.05.22

注文住宅の価格推移は?高騰の原因や価格を抑えるコツを解説

最近の戸建住宅市場は、価格面で大きな変化に見舞われている状況です。建築資材や人手不足による人件費の上昇に加えて、国際情勢の影響を受けた原油高など、さまざまな要因が値上げ方向に向かっています。

こんなときこそ、情報を集めて賢い家づくりをしたいものです。

本記事では、注文住宅の価格推移はどのような状態か、高騰原因の詳細や、家づくりの価格を抑えるコツを解説します。

以下は、首都圏の住宅価格高騰の影響について調べたデータです。「大きく影響している」「ある程度影響している」を合わせて77.2%という結果となりました。

出典:2026年 いえらぶGROUP調べ

INDEX

近年の注文住宅の価格推移

まず、近年の注文住宅の価格推移はどのような動きとなっているでしょうか。以下は、近年の不動産価格の推移を表す資料です。

不動産価格指数・2025年7月(2010年の価格を100とした場合の変動の推移)

出典:国土交通省|不動産価格指数(令和7年第2四半期分)

この期間で見ると、コロナ禍が本格化して住宅の発注手控えが発生した2020年頃から、コロナの反動のように値上がりが始まっているのが分かります。

2008年からの約17年間で全国平均約2.2倍にも上昇となっているマンション(区分所有)に比べれば、戸建住宅(注文住宅・建売住宅総計)は約1.1倍と上昇幅は緩やかです。しかしこの数値は予断を許しません。

全国平均でなく関東で集計すると戸建は1.2倍ですが、資材の少ロット発注が多く、建築費の影響を受けやすい注文住宅単独では、もう少し上昇幅が大きいと見たほうが良いと考えられるためです。

さらに、首都圏・注文住宅のくくりとなると、かなりの価格上昇が起きています。

以下は国土交通省が公開している、近年の首都圏における注文住宅の建築費などの推移を示したものです。

年度 建築費 延べ床面積 建築費単価
2020 3,510万円 113.1㎡ 31.0万円
2021 4,077万円 125.0㎡ 32.6万円
2022 5,050万円 143.4㎡ 35.2万円
2023 5,466万円 133.4㎡ 41.0万円
2024 6,095万円 128.8㎡ 47.3万円

令和7年度住宅経済関連データ・注文住宅の建築費(首都圏)|国土交通省

やはり着実ともいえるペースで高騰しています。首都圏の場合はほかのエリアと比較して、地価の上昇が受ける要因が大きいことで、このような数値の動きと考えられるでしょう。

次項では、上昇傾向の原因について、細かく見ていきます。

注文住宅の価格が上昇傾向になっている原因

資材の価格高騰

建築資材の価格高騰は、コロナ禍や当時の世界情勢の影響で2021年頃に本格化した「ウッドショック」と呼ばれる木材価格高騰が引き金となりました。

ウッドショックが発生した主な要因は以下です。

  • ● アメリカ国内の新築住宅需要の増加・木材相場の変動
  • ● ヨーロッパ諸国での木材需要の拡大
  • ● 中国の経済回復などに伴う木材需要増
  • ● コロナウィルス蔓延防止のため、輸送コンテナの扱いが減少

これらの結果、日本向けの輸入材と原木の供給量が大きく減ったことが大きな原因です。

対策として、国は「国産材転換支援緊急対策事業」や「林業技能士の創設」を行うほか、 業界でも構造材の木材を入手しやすい杉などに変更するなどを行っています。

しかし、一度絶えていた森林からの流通ルートや、林業スキルのある人材の不足をすぐに解消することは難しい状況です。

木材以外も解体材のリサイクルなどの試みは行われていますが、現状でも高値の状況は続いています。

導入する住宅設備の価格高騰

建材だけでなく、キッチン、バスルーム、トイレ、給湯器、エアコンなどの住宅設備も、家づくりのコストを上昇させています。

これらの設備は国内製のものだけでなく、輸入品も多く使用されていることから、国際情勢や為替レートの影響で値上がりします。

また、半導体不足の影響も深刻です。住宅設備の制御システムやセンサーなどに使われる半導体も、世界的な需要の急増と供給不足で調達コストが上がっている状況です。

したがって、IoT機能を持つような最新の住宅設備も上昇傾向にあります。

さらに、環境意識の高まりやZEHの普及促進から、高性能換気システム、高効率給湯器、太陽光発電などの導入が増え、高騰しているこれらの設備や仕様にかかる費用は住宅価格を上昇させている状況です。

地価の高騰

建材部分のコストだけではなく、前述のように土地高騰が進む都市部の地域では、地価によっても大きく左右されます。

2025年度の地価公示によれば、全国の平均地価は5年連続で上昇しており、とくに三大都市圏や地方中核都市の駅周辺エリアなど、好立地の地価は上昇幅が拡大している状況です。

都市部では再開発事業の活発化が地価を上げる要因となります。駅周辺や中心市街地での大規模商業施設やオフィスビル建設、交通インフラ整備などが地域の利便性や魅力を高め、必然的に土地の希少価値が上がるのです。

また、円安傾向の継続で、日本の不動産は外国人投資家による取得が活発化しているため、その点も地価を押し上げる原因になっていると考えられます。円安は訪日客の増加にもつながり、この影響で観光地やリゾート地などの地価も上昇することに。

さらに供給不足も、地価上昇の要因となっており、とくに都市部では宅地利用可能な土地の供給が追いつかない状況です。

人件費の高騰

建築業界における人手不足は、社会的な少子化と現場の高齢化が要因です。人手不足は人件費の高騰を招いています。

仕事はあるのに働き手が足りないため受注できず、倒産する工務店が出てくるほど、大きな問題となりつつあり、賃金の上昇でカバーせざるを得ません。

しかし建築の職能を持つ限られた職人の人材は仕事が多すぎて疲弊しており、外国人労働者の投入も、良いことばかりではないため、何らかの対策を打つ必要があるでしょう。

このままでは、「家を建てたいのに建材も職人さんもいないから、着工まで1年待ち」というような事態になりかねません。

このような諸問題に加え、インフレによる物価の上昇が、細かい経費すべての価格を上昇させている状況です。

注文住宅の価格は今後どのように変動していく?

資材・設備費用の変動

建築資材や住宅設備における価格高騰は沈静化する気配がなく、今後も当面上昇傾向が続くと考えたほうが良いでしょう。

大きな要因は国際情勢の不安定と、円安の進行です。これらが続いている間は、輸入資材のコストはさらに上昇する可能性があります。

国内生産の資材も原材料費やエネルギーコストの上昇の影響を受けることになり、結果として全体的な建築コストに影響してしまうのです。

人件費の今後の変動

建設業界の人手不足は「いつまで」と決めて、短期的に解決することが困難です。

生産性の向上や省力化技術を進めてある程度の改善を図りながら、中長期的な視点での人材育成や生産性向上への取り組みなど、根本的な対策を進める必要があります。

建築の仕事は、技術的なスキルや安全対応の知識などが不可欠です。外国人の技能実習制度も、対象の人が日本に残って長く働いてもらえるとは限りません。国内での労働力における構造変化が必要なのです。

家づくりをする人には実感の持ちにくい、歯がゆい話に終始しますが、DIYで家の維持に関するさまざまなことにトライする機会があると、スキルを持った職人さんの有り難みを感じることがあるでしょう。

地価の今後の変動

地価高騰がとくに問題視されるのは都市部ですが、海外資本を含めてニーズは衰えず、供給不足が収まる気配がありません。

さらに、都市部の開発はコストがかかるうえ、不動産市場への資金流入も限りがあることから、新規の開発は限度がある状況でもあります。

今後新たに再開発がかかる立地を早めに押さえることで、数年から10年後には好立地となる場所の確保ができる可能性はあるでしょう。

住宅ローンの金利の変動

金利の上昇は住宅購入の際に、数百万円単位で影響することがあります。2024年3月の金融政策方針変更以後、政策金利は段階的に引き上げられており、2025年末には0.5%程度から0.75%程度に引き上げられている状況です。

では、利上げの影響は具体的にどのようなレベルとなるのでしょうか。以下は5,000万円の借入が、上記の利上げの影響を受けた場合をシミュレーションしたものです。

金利上昇の影響
(借入額5,000万円・35年ローン・元利均等返済・ボーナス時加算返済なし)

金利 総返済額 返済月額 金利総額
0.5% 約5,451万円 約12万9,000円 約451万円
0.75% 約5,686万円 約13万5,000円 約686万円

このように、0.25%の金利上昇で、返済額や金利にかなりの影響が出ることになります。

利上げの影響は、以下2通りです。

  • ● 借入時:審査で希望額よりも減額した提案がされる可能性が高くなる
  • ● 返済期間中:返済額が上がり、家計に影響する

対策としては、頭金を多めに用意して借入額を減らすか、返済期間を短く設定することです。しかし返済期間を短くすることは家計の負担を増やすことになり、金融機関の承諾も難しくなる可能性があります。

ほかには固定金利で借入する方法もありますが、利上げの影響は受けない反面、もともとの金利が高いため、利上げ対策で固定金利を利用する人は少ないでしょう。

注文住宅のトレンド推移

注文住宅の広さの推移

以下は2024年に発表となった、注文住宅の延べ床面積平均値のデータです。

2024年の113.8㎡に対して、2021年の新築注文住宅(全国平均・世帯属性不問)における平均的な延べ床面積は120.7㎡でした。ややコンパクト化している傾向にあります。

住宅ローンの価格推移

続いて、住宅ローンの年間返済額における推移です。

こちらのデータでは、対象の5年間で全国・三大都市圏ともに、年々増加の傾向はありません。
ただし、2024年以降もかなりの変化が想定されますので、今後住宅価格の高騰に伴う借入額の増加が、傾向として表出してくる可能性はあります。

また、金融機関による「年収などに基づく審査基準」は容易に変更されないことを考えると、予算に対する借入比率が下がっていることも考えられます。その場合、頭金の調達が重要視されるでしょう。

注文住宅の価格を抑える5つのポイント

土地選びの条件を見直す

家づくりの価格を抑えるうえで、もっとも効果的なのは立地の見直しです。都市部が対象であるほどその効果は高く、都心への平日毎日通勤が不要な場合、東京で山手線まで私鉄60分圏では、都心の4分の1程度の予算となるのは珍しくありません。

実際に1980年代末のバブル期には、平日毎日通勤前提で、そのような立地の戸建注文住宅が多数売り出されていました。

上記はやや極端な例ですが、土地の条件にもご家族の話し合いで理想形の優先順位をつけ、希望のエリア・条件を広げてみましょう。

駅から近いなどの好立地は、価格が高くならざるを得ません。郊外エリアまで候補を広げることで、コスパが良いうえに環境と利便性を両立できる土地が見つかる可能性があるでしょう。

シンプルな家のデザインでコスト削減

同じ床面積でも、家の形状の工夫で建築コストには違いが出ます。

家の形状は複雑になるほど建築費用がかかるものです。可能であればシンプルな形状とデザインを選ぶことで、工期の短縮・資材費用や人件費を下げることができます。

壁面に凹凸の少ない正方形や長方形の外形は総面積が少なく施工も早く仕上がり、したがって安く施工可能です。2階建ての場合、1階と2階が同じ形状をしている総2階がコスト上はおすすめとなります。

平屋にすれば施工がシンプルでコストを下げられそうなイメージです。しかし同じ面積で2階建てよりも大きな1階面積を要する平屋は、基礎や床面などコストの高い箇所を大きく取るため、割高となるのが一般的な傾向となります。

このほかに、屋根の形を切妻や片流れにすると工程がシンプルになり、コストダウンにつながるでしょう。

家の外形と同様に、間取りもシンプルで施工効率の良いものを選択すると無駄なコストがかかりません。

キッチンやお風呂などの水回りの設備をなるべく近くにまとめたり、収納スペースも集約したりするなどで、工賃が抑えられるでしょう。部屋数や廊下、内壁面を少なくすることでも、コストダウンが可能になります。

ただしこれらは家族の要望に沿っていればという前提です。せっかくのマイホームがコストダウンのために住みづらいものになっては、本末転倒となります。

設備のグレード見直し

設備に関しても、無理にグレードの高いものを選ぶ必要はないかもしれません。システムキッチンや浴室は、後年のリフォームで変更が可能で、クロスや床材などの内装も、10〜15年程度で一新するチャンスはあります。

こだわりの対象外という部分であれば、オプション料金がかからない標準仕様の製品を選んだり、グレードを下げたりを検討し、その分をエコ性能に向けるようにすれば、経済性にすぐれた家にすることも可能です。

補助金制度の活用

建築プランと並行して、国や地方自治体による補助金・減税の制度を調べ、活用するようにしましょう。

中には100万円単位の補助金も。建築費用や納税の負担を軽くすることで、家づくりの総予算を圧縮することが可能です。

補助金はエコ仕様や長期優良住宅の普及が目的のものが多いため、検討している家の仕様によって、補助金の金額が変わります。

また、年度によって実施内容や実施の有無が異なったり、予算が限度額に達して締切となったりすることも。常に最新情報を確認し、早めに申請準備を進めるようにしましょう。

工務店や住宅会社を慎重に選ぶ

どこの工務店やハウスメーカーに依頼するかで、コスパや満足度は大きく変わります。

規模の大きいハウスメーカーは建築資材の確保が大量に可能なため、調達コストを抑えられる面も。反面地域密着型の工務店は宣伝費や人件費に予算を割かない分、割安となる面があります。

もちろん安さだけで比べるのではなく、依頼した内容によく応えてもらいつつ、安くできたという結果を目指したいところです。

まとめ

注文住宅の価格推移はどのような状態か、高騰原因の詳細や、家づくりの価格を抑えるコツを解説しました。

冒頭でも述べたように、住宅市場の高騰に対抗するためには、情報収集と工夫が大切です。さまざまな側面からコスパの良さを追求した家は思い入れもひとしおで、愛着のある住まいとなってくれるに違いありません。

建材や設備の内容と予算の関係などは、実物に見て触れていただくのが一番です。関東一円に展開するハウジングステージに、ぜひお越しください。

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

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