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住宅のマネーと制度

2019.09.04

減税期間が3年延長! 住宅ローン減税の増税前後の違い


Q 住宅ローン減税の減税期間が延長するそうですが、今までとの違いやいくら得するのか知りたいです。

今回のポイント

住宅ローン減税は消費税の10%への増税に伴い、減税期間が10年から13年に延長されます。消費税の増税で増える負担分は、住宅ローン減税の拡充で相殺される人が多いです。ただしこの3年の延長は2020年12月末までに入居した人が対象という点には注意が必要です。

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INDEX

消費税10%での住宅ローン減税は減税期間が13年に

住宅ローン減税(「住宅ローン控除」や「住宅借入金等特別控除」と呼ばれたりもします)は、毎年末の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から減税できる制度です(所得税から引ききれない分は翌年の住民税からも減税できますが、住民税における減税額は課税所得金額の7%、最大136,500円までとなります)。
1年あたりの最大減税額は、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅にあたる場合50万円、一般の住宅の場合40万円です。
消費税10%が適用される住宅を購入する場合には、減税期間が10年から13年に3年間延長される予定です。延長される3年間は、「毎年末の住宅ローン残高の1%相当額」と「建物価格×2%÷3」のうち小さい方の額までとなります(図表1)。
 
図表1:住宅ローン現時の増税前後での違い

消費税8% 消費税10%
控除期間 10年 13年
控除額 毎月末の住宅ローン残高の1%相当額
(1年あたり最大50万円)
当初10年 11年目~13年目
毎月末の住宅ローン残高の1%相当額
(1年あたり最大50万円)
毎月末の住宅ローン残高の1%相当額
(1年あたり最大50万円)

 
消費税10%における3年の延長は2020年12月末までに入居した人が対象となるという点には注意が必要です。注文住宅を建てるには時間がかかるので、拡充された住宅ローン減税を利用したい場合には早めの行動をおすすめします。なお2021年1月以降の入居に関しては、従来通り、減税期間10年の住宅ローン減税に戻る予定です。住宅ローン減税制度自体は今のところ2021年12月末までに入居した人が対象となっています(ただし過去の住宅ローン減税は期限が来るたびに制度の見直しはあるものの延長が繰り返されているので、制度自体は続く可能性があります)。
 
 

住宅ローン減税の計算方法

ここでは具体例を基に住宅ローン減税がいくらになるかを考えます。たとえば年収700万円、建物価格3000万円、住宅ローン5500万円というAさんの事例を取り上げます(図表2)。
 
図表2:Aさんの事例

年収 700万円 建物価格 3000万円
所得税 248,500円 住宅ローン 5500万円
住民税 350,500円

 
1年目の住宅ローン減税を計算すると図表3のようになります。1年目の年末住宅ローン残高が4872万円だったとすると「年末残高×1%」は487,200円となります。Aさんの減税できる可能額は487,200円ということです。Aさんの所得税248,500円は487,200円の枠内に入っているので全てが減税対象となり、減税しきれない分は翌年の住民税からも減税できます。ただし住民税からの最大減税額は136,500円なので、Aさんの住民税からの減税額は136,500円となります。結局Aさんの1年目の住宅ローン減税額は385,000円となります。
 
図表3:Aさんの住宅ローン減税計算方法

 
 

消費税増税負担を相殺可能?

このように毎年の住宅ローン減税を計算していくとAさんの場合、消費税8%で住宅を建てる場合には図表4のようになると予想されます。
 
図表4:消費税8%時の住宅ローン減税

 
消費税が10%に増税されると図表5のようになると予想されます。減税期間が3年延長になりますが、11年目~13年目の1年あたりの減税額は「建物価格×2%÷3」までなので、3000万円×2%÷3=20万円となります。
 
図表5:消費税10%時の住宅ローン減税

Aさんの場合、消費税10%で住宅を建てる方が、住宅ローン減税は60万円(20万円×3年)分多くなることがわかります。結局、図表6のように消費税の負担が60万円増え、住宅ローン減税でその分が相殺されるということになります。
 
図表6:消費税負担と住宅ローン減税拡充の比較

消費税8% 消費税10%
消費税 240万円 300万円 60万円の負担増
住宅ローン減税 383万円 443万円 60万円お得に

このように消費税の負担が増える分は、住宅ローン減税の減税期間3年延長で相殺される場合が多いです。

今回は住宅ローン減税について、消費税増税前後の比較を中心にまとめてきました。住宅ローン減税を利用するためには、床面積が50㎡以上(戸建ての場合)であることや、年収が3000万円以下であること、といった要件があります。住宅ローン減税の細かな要件や手続き方法についてなどは住宅展示場にてハウスメーカーに確認してみるとよいでしょう。

監修・情報提供

井上光章(ファイナンシャルプランナーCFP®)

独立系FPとして、住宅購入時の資金計画や住宅ローンのコンサルティングを行なう。注文住宅を建てる人向けの住宅ローンコンサルティングが得意。豊富な相談実績を基にした、マイホーム購入時の資金計画や住宅ローンで失敗しない秘訣をお伝えします。

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