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2021/03/10

生前贈与で利用できる非課税枠のまとめ

贈与税の税率が高いと、贈与そのものを躊躇し、特に高齢者から若い世代に金銭等の財産が移転されにくくなる恐れがあります。そうならないように、贈与税にも非課税制度が設けられていますので、生前贈与を検討する際には、この非課税制度を活用することが第一優先事項となってきます。今回この贈与税の非課税制度についての概略をみていきたいと思います。

ポイント

  1. 暦年課税贈与の場合、非課税枠+110万円までの贈与財産について、贈与税がかかりません。
  2. 贈与実行前に、必ず、非課税制度利用のための要件をクリアできているか確認しましょう。

INDEX

非課税枠を知ろう

贈与税は、もらう人単位で、1月1日から12月31日までの間に贈与により取得した財産の合計額に対してかけられる税金です。ただし、贈与により取得した財産の全てが贈与税の対象になる訳ではありません。特に、高齢者から若い世代への財産移転や消費促進を目的とした政策的な観点から、以下のような贈与税の非課税制度が設けられています。

1.贈与税の配偶者控除(非課税枠は2,000万円)

贈与の日において婚姻期間が20年以上である配偶者から、自宅となる居住用不動産の贈与を受けた場合や、金銭の贈与を受けて居住用不動産を購入し居住した場合に、贈与を受けた財産の価額から最高2,000万円までの控除(非課税枠)が認められています。なお、配偶者の居住用不動産の共有持分の取得であっても使えます。

図1:住宅取得資金等の贈与に係る非課税枠(令和3年度税制改正項目)

契約の締結日 消費税率10%の住宅等 左記以外の住宅等※2
省エネ等 良質住宅※3 一般住宅 省エネ等 良質住宅※3 一般住宅
令和2年4月~令和3年3月 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
令和3年4月~
令和3年12月※1
1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円

※1 令和3年度税制改正項目(令和2年4月~令和3年3月までの非課税限度額の据置)を掲載
なお、令和3年度税制改正大綱の成立をもって適応されます。 
※2 個人間売買により中古住宅を購入した場合など
※3 一定の省エネ等基準、耐震性基準、バリアフリー基準に適合することが証明されたもの

2.住宅取得等資金の贈与

両親または祖父母が、20歳以上の子や孫に、居住用家屋の取得等に充てるための金銭を贈与した場合、その住宅取得等のための契約時期、良質な住宅用家屋か一般住宅の別に、非課税枠が決められています。具体的には、図1を参照下さい。現時点では、この制度の利用期限は令和3年12月までに住宅取得等に係る契約をした場合となるため、検討されている方はご注意下さい。

3.教育資金の一括贈与(非課税枠は、子・孫ごとに1,500万円)

両親または祖父母は、金融機関等に子・孫名義の口座を開設し、所定の方法で教育資金を一括して拠出した場合には、原則的に、子・孫ごとに1,500万円まで非課税となります。一括で贈与することがこの制度のポイントとなりますが、そもそも、親子などの扶養義務者間での生活費や教育費の援助については、通常必要と認められる範囲のものを必要な都度行われていれば贈与税はかかりません。無理して教育資金の一括贈与の非課税枠を使わなくてもよい場合も多いと思われます。

4.結婚・子育て資金の一括贈与(非課税枠は、子・孫ごとに1,000万円)

両親または祖父母は、金融機関等に子・孫名義の口座を開設し、所定の方法で結婚・子育て資金を一括して拠出した場合には、子・孫ごとに1,000万円まで非課税となります。基本的に教育資金の一括贈与と同様の趣旨となります。

暦年課税贈与の場合、これらの非課税枠のほかに年間110万円の基礎控除がありますので、結論として、非課税枠+110万円までの贈与分について、贈与税はかかりません。例えば、住宅取得等資金の贈与を利用して、省エネ等の良質住宅(消費税10%)を取得する場合、贈与を受けた金額のうち、非課税枠1,500万円+基礎控除額110万円の合計1,610万円までは贈与税はかからないということになります。

生前贈与の際の注意点

贈与税の非課税枠を利用した生前贈与を行う際の注意点について簡単に見ていきたいと思います。
なお、住宅取得等資金の贈与についての注意事項等は、「住宅取得等資金贈与の贈与税非課税枠って何?」に記載していますので、そちらをご確認いただければと思います。

適用要件を確認する

特に、「住宅取得等資金の贈与」「教育資金の一括贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」の非課税枠を利用するための要件は多いため、実行前に、必ずその適用要件を満たすことができるかを国税庁HPなどで確認するようにして下さい。税制改正で頻繁に要件が規制もしくは緩和されたりしますので注意が必要です。なお、令和3年度の税制改正大綱で、住宅取得等資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与について、改正項目がありました。(令和3年度税制改正大綱の成立をもって適応されます。)
※詳細は、国土交通省のホームページをご覧ください。

贈与税の配偶者控除について

配偶者が贈与により取得する居住用不動産については、要件を満たせば、2,000万円の非課税枠と、暦年課税贈与の基礎控除額110万円の合計2,110万円までは贈与税はかかりません。しかし、不動産取得税や登録免許税などのコストがかかることを覚えておいていただければと思います。
また、この特例を使って贈与税額が0円になったとしても、贈与税申告書の提出が要件にあるため、提出漏れとならないよう、贈与を受けた日の翌年3月15日までに必ず申告を行って下さい。

項目 教育資金の一括贈与 結婚・子育て資金の一括贈与
非課税枠 1,500万円 1,000万円
適用期限 (令和3年度税制改正) 令和5年3月31日まで(予定) 令和5年3月31日まで(予定)
契約終了時等に残高がある場合 受贈者が30歳になった日等に使いきれてない残額がある場合、その残額が贈与税の課税対象となる。 受贈者が50歳になった日等に使い切れていない残額がある場合、その残額が贈与税の課税対象となる。
贈与者が死亡した場合 使い切れてない残額に対し、一定の場合、相続税の対象になることもあり。令和3年税制改正により受贈者が孫の場合は2割加算の対象となる(予定)。 使い切れていない残額に対し、相続税の対象となる。令和3年税制改正により受贈者が孫の場合は令和3年4月1日以後の贈与対象分について2割加算の対象となる(予定)。

教育資金の一括贈与及び結婚・子育て資金の一括贈与について

これらの一括贈与は、金融機関等に子・孫名義の口座を開設したうえで、教育等のための資金として信託し、その後に使われる教育等の費用について、当該資金から随時、まかなわれるような仕組みになっています。したがって、教育等のために支出した費用についての報告を、随時、金融機関等に行う必要がでてきます。
これらの贈与税の非課税枠を利用する際に金融機関等に一括して拠出した資金から、実際に使用した教育費用等を差し引いた残額がある場合、後に贈与税の課税関係や相続税の課税関係が生じるか可能性がある点についてご注意下さい(図2参照)。
教育資金等の援助を目的に生前贈与を検討する場合、これらの非課税枠が使える一括贈与方式にするのか、通常必要と認められる範囲内でその都度贈与するそもそもの非課税制度を使うかの判断材料にしていただけばと思います。

贈与税の非課税枠を活用する際の注意点としては、贈与税の非課税に係る特例措置には期限がついているものが多く、かつ、頻繁に税制改正が行われます。
実際に生前贈与を検討する際には、適用要件を満たすか確認することが大切になってくるため、事前に専門家へのご相談されることをお勧めします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2021年1月21日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて詳細をご確認ください。

執筆・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、他業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、
令和元年12月に、池袋にて独立開業。
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