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今どきの住まい・暮らし

2022.11.10

インテリアスタイリスト さかのまどかさんの「好き」を自由にミックスして楽しむ空間

シリーズ:わたしのこだわりの家

住宅街のヴィンテージマンションに同業者のご主人と暮らすインテリアスタイリストのさかのまどかさん。各種メディアや広告撮影のスタイリングで活躍するさかのさんのご自宅は、自分の「好き」を大切にした空間でした。

INDEX

【1】植物の息吹を感じる空間づくり

大小さまざまな観葉植物のプランターがディスプレイされたリビングダイニング。テーブルに活けた花を見るだけで元気が湧くと微笑むさかのさん。

東京郊外にある緑豊かな住宅街のヴィンテージマンションにお住まいのさかのさん。多様な装飾が絶妙に同居する自宅のインテリアは、まさにプロならではのスタイリングです。リビングダイニングのいたる所にグリーンが豊かに生い茂り、窓辺はまるでボタニカルショップの一角のよう。そんな個性的な空間で暮らすさかのさんのマイルールとは?

「まず、自宅には花やグリーンが欠かせません。室内に植物があると、朝から『おはよう』と話しかけたくなるし、たくさん元気をもらえます。植物は思い思いに枝葉を茂らせ、花を咲かせたり、枯れたりして、決して私の思い通りの形になるわけではありません。でも、彼らがいるだけで、そこにやわらかな動きが出るので、空間全体が生き生きして見えますし、部屋のアクセントになります。仕事でも自宅でも、植物の息吹を感じる空間づくりを大切にしています」

画像(左):リビングの本棚の上に置かれたベトナム製の花器に大胆に活けられた枝ものが、多様なスタイルの装飾品をふわっと有機的に包み込む。

画像(右):モロッコ製の丸いローテーブルには、ソファの色に合わせたイエローの小花がさりげなく。

ともに暮らす花やグリーンを「彼ら」と親しみを込めて呼ぶさかのさん。コロナ禍は「彼ら」の魅力を再認識するとともに、スタイリストの仕事を見つめ直す機会にもなったそう。

「緊急事態宣言下で休業していた街の生花店に再び生花が飾られているのを見たとき、なんだかほっとしたんですよね。やはり植物には人の心を癒し、元気づける力が宿っていると思ったし、それらを飾ることで気分も上がり、優しい気持ちになれました。スタイリストという仕事はエッセンシャルワーカーではないし、生きていくのに即必要ではないのかもしれません。でも、飾ることは気持ちを豊かにする、とても大事なことだとあらためて実感し、これからも“飾る”ことをもっと楽しみたいと思いました」

【2】スタイリングに不可欠なのは、自分の「好き」を知ること

夫婦で1年近くかけて決めた『リーン・ロゼ』のイエローのソファ「TOGO」を中心に空間を構成。
リビングダイニングの床や壁は夫婦で板を張るなどDIYを施した。

多種多様なテイストのアイテムがディスプレイされているリビングダイニングや寝室。それらはばらばらな印象はなく、むしろひとつの小宇宙のように呼応し合って見えます。

「自宅の空間づくりに欠かせないのは、“自分を知る”ことです。私がそのことに気づいたのは、スタイリストになる前の独身時代に、自室がインテリア雑誌に取材されたことがきっかけでした。当時の自宅はロフト付きワンルームだったのですが、物が多かったので整理するためにすべて床に出してみたら、アイアンとクラフト紙の物が妙に多かったんです。そのとき初めて『私はこの素材が好きだったんだ!』と気づきました。自分の『好き』を知ると、それを中心にスタイリングできるので、物が多くてもまとまりやすくなりますよ」

和室にラタンの椅子やモロッコの照明、アメリカのベッドリネンなどを合わせた寝室。
さかのさんは洋風に偏るのではなく、和洋折衷のスタイリングに興味があるそう。

「自分の『好き』がよく分からないという人は、まず自分の持ち物を整理してみると、見えてくると思います。インテリアもファッションと同様、自分の『好き』をちゃんと知っていると、それを軸にすることで展開しやすくなります」

【3】「好き」がミックスされた空間で、「飾る」を楽しむ

壁に板を張り、その上に飾り棚を取り付けた。これなら元の壁を傷めることなく、ディスプレイが楽しめる。

「自分の『好き』を自覚したら、それを自由に飾って楽しむのが3つ目のルールです。私は自宅で大好きな植物はもちろん、国籍も様式も異なるアイテムを柔軟に飾って楽しんでいます」

確かにさかのさんのご自宅には、オランダの照明、モロッコのテーブル、イームズのヴィンテージチェア、古代魚のクッションのほか、動物モチーフのオブジェやお茶目な人形など、ユニークなアイテムがあちこちに。それらのリミックス感を楽しんでいることが伝わってきます。

妹さん手作りのユニークなお香立てもあちこちに。室内で焚くお香の香りや、流すBGMも含めて空間づくりを楽しんでいるそう。

画像(左):飾り棚にはかわいらしいミニチュア動物があちこちに。

画像(右):棚に下がっているのはピカソやフリーダ・カーロのお茶目な人形。こうしたユニークなアイテムを空間にさりげなく置くのは、上級者ならではの「崩し」のテクニック。

「変に冒険してインテリアで失敗したくないという人がよくいますが、それでは独自性のない部屋になってしまいますよね。大切なのは、失敗を恐れず、常識に捉われず、もっと自由に楽しむことです。自分の『好き』を楽しんでいる人の家は、多様な物があっても、その人自身の趣向が見えるので、こちらも楽しくなっちゃいます。私は異質な物をミックスした空間が好きなので、夫と微妙に異なる好みも含めて、自宅のスタイリングを楽しんでいます」

さかのさんが特に大切にしているマイルールから、まずは自分の「好き」をきちんと知り、それを自由に楽しむことが、自分らしい空間を作る秘訣のようです。」

ちなみに住宅展示場には、自分の「好き」を知るヒントがたくさんあります。具体的なイメージづくりの参考に、ぜひお近くの住宅展示場をチェックしてみてください。

取材協力

インテリアスタイリスト さかの まどかさん

メディア・カタログ・広告などの撮影にまつわるインテリアとプロップスタイリング・ディレクションをメインに活動。そのほか、ホテルや商業施設のディスプレイ、店舗VMD、モデルルームのコーディネート、イベントディスプレイなども手がける。またメディアやイベントなどでインテリアのアドバイスや連載企画も担当し、最近では月1でラジオにも出演。植物とクラフトアイテム、ヴィンテージアイテムを使ったスタイリングを得意とし、美しい瞬間と五感が心地よい空間を追求している。ストーリーを大切に、匂いが感じられるようなスタイリングを心がける。

HPhttp://coryo.co 
INSTAGRAMhttps://www.instagram.com/coryo.co/
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取材・執筆:轡田 早月
撮影:小島 沙緒里
編集:石倉 夏枝

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