2024.09.26
注文住宅の失敗しないキッチンの選び方11選!おすすめの種類や事例もご紹介
注文住宅の家づくりをまとめる過程で、とても大きなウエイトを占めるのがキッチンでしょう。また、収納や動線などであとから不満が出やすいのもキッチンです。最近の流行りや、使いやすくおしゃれなキッチンとはどんなものでしょうか。本記事では、注文住宅の失敗しないキッチンの選び方について、おすすめの種類やノウハウ、レイアウトの事例などもご紹介します。使いやすく居心地のいいキッチン設計の参考にしてください。
INDEX
住宅ローン金利の基本的な種類とは?
本記事では、キッチンレイアウトの種類別における特徴をご紹介していますが、基本となるのは独立キッチンと対面・オープンキッチンの2種類です。まず、この2種類の違いや、それぞれの特徴について解説します。
独立キッチン
独立キッチンとは文字通り、キッチン部分がリビングやダイニングから独立したスペースとなっている間取りのタイプです。キッチンの出入り口は、配膳の使い勝手のためにドアが付いていないことがほとんどですが、写真のようにお勝手口はキッチン部分にあることが多いでしょう。
独立キッチンのメリット・デメリットは以下です。
独立キッチンのメリット
- ● 収納を確保しやすい
- ● 調理の臭いや煙が集めやすい
- ● リビングに生活感が出ない
- ● 料理に集中できる
独立キッチンのデメリット
- ● 調理や片付けの間は家族とコミュニケーションしにくい
- ● 配膳・片付けの動線が長く効率が悪くなる
- ● 空間に圧迫感が出やすい
独立キッチンは壁が多いため収納を配置しやすく、リビング部分と切り離すことができるため、臭いが広がりにくく、生活感も出にくいです。急な来客でもあわてて片付ける必要もありません。
キッチンの機能のみで使いやすいレイアウトにこだわれるため、お料理に集中したい環境にもなります。
一方で、リビングの家族と会話したり、小さい子どもを見守ったりするのが難しくなります。
また、お料理や空き皿を片付ける動線が長くなりがちです。壁に囲まれているので圧迫感が出ないような採光や、明るめの色を選ぶなどの配慮も必要です。
対面・オープンキッチン
近年の注文住宅の主流となるレイアウトは、対面型タイプのキッチンです。リビング・ダイニング側に向いて調理を行え、開放感やデザイン性、使い勝手に優れる面が支持されています。
対面キッチンのメリット
- ● キッチンからもリビングからも視界が広く開放感がある
- ● 家族とコミュニケーションがしやすい
- ● デザインやバリエーションが豊富
- ● 配膳や片付けがラク
対面キッチンのデメリット
- ● 生活感が出やすい
- ● リビングに臭いと煙が広がる
- ● 居住空間との線引きやバランスが難しい
視界が常に開けている対面キッチンは、お料理をする際の閉塞感がなく家族とコミュニケーションを取りやすく、子どもの見守りにも最適です。
上部に戸棚のないすっきりしたオープンキッチンや、カフェ風のカウンターキッチンなど、デザインのバリエーションが豊かで選びがい・凝りがいがあるでしょう。
また、ダイニングの距離の近さから、配膳や片付けの効率の良い動線が実現できます。
一方で、対面キッチンはリビングと一体化しているケースが多い分、シンクやコンロの汚れや散らかった道具などの生活感が見えやすいのがデメリットとなりがち。壁のないオープンキッチンの場合、換気が追い付かずに調理の臭いや煙が気になることがあります。
また対面キッチンは、収納や作業スペースを確保するためにある程度の広さが必要となり、リビングの面積を圧迫しやすい点にも注意しましょう。
関連記事:
対面キッチンとは?メリット・ デメリットやレイアウトの種類をご紹介|住宅展示場のハウジングステージ
オープンキッチンとは?メリットデメリットや種類を詳しく解説 |住宅展示場のハウジングステージ
失敗しない注文住宅のキッチンを選ぶポイント11選
この項では、注文住宅のキッチンで失敗しないためのノウハウを集めて解説します。
以下は、キッチンについて不満に感じている点についてのアンケートです。調理作業を行ううえでの機能性が上記を占めているのが分かります。
シミュレーションをして効率の良い配置を考える
キッチンのレイアウトを検討する際は、実際に調理や配膳の作業の際に、どのような家事動線となるかをシミュレーションしてみましょう。
動線はなるべく短くシンプルにするのが基本です。冷蔵庫をはじめとする調理家電の配置や、収納もどこに何をしまうか、ゴミはどこに捨てるか、食材はどこから取り出すかなど、多角的に考えます。
子どもの見守りや洗濯で作業が中断したり、調理と洗い物、乾いた食器の片付けなど、2つ以上の作業を同時並行して行ったりすることも意識して考えると、さらに現実的な検討となります。
理想的な通路幅を確認する
キッチンの通路は、場所によっては2人の人が背中合わせに立ったり移動できたりする空間が必要です。平均的なキッチンの仕様で、1人でお料理する場合80~90㎝、2人で分担して料理する場合100~120㎝前後の通路幅が必要といわれます。
ただ実際には、体格や調理作業の内容によっても必要な通路の幅は違ってきます。また、1人の調理でも、キッチンに立ち入る人の動線を確保したほうが効率がいいこともあるでしょう。
これを試して実感するには、現在お使いのキッチンの状態を基準にして、住宅展示場のキッチンで、動きを確認してみることをおすすめします。
最適な収納スペースを把握する
収納はスペースの量、容積のサイズ、出し入れの際の使い勝手が三拍子そろって、効率の良いキッチン仕事につながります。
そのためには、普段なかなか考えないことですが、キッチンで使う調理器具や食器の数やサイズを、概算でも把握してみることが必要となります。
出し入れの際の使い勝手は、例えば引き出しと開き戸とどちらが都合がいいかを考えることです。雑誌やインターネット上などで、使い勝手の事例が掲載されているので、参考にしてみましょう。
コンセントの数や配置を確認する
キッチンは意外にコンセントを要する場所です。常時使わないものも含めると、かなりの数のコンセントが、決まった場所に必要となるものです。
代表的なキッチン家電
- ● 冷蔵庫
- ● 炊飯器
- ● 電子レンジ
- ● オーブン
- ● 電気ポット
- ● 電気なべ
- ● コーヒーメーカー
- ● フードプロセッサー
これらの配置と同時に、コンセントの確保について、考えておきましょう。水回りの近くのタコ足配線は非常に危険なので、安全面への配慮も必要です。また、電子レンジや食器洗い機など、大きな消費電力を要するものは、ブレーカーの落ちにくい配電も意識する必要があります。
汚れが落ちやすい素材を選ぶ
キッチンは調理中の油の煙や、飛散するしぶきで汚れやすく、年末の大掃除の科目に組み入れられる場所です。通常の壁紙や、凝った床材などでは汚れが落としにくく、掃除が大変になってしまう場合も。
キッチンの素材にはセオリーがありますが、よく使われる素材を上手に利用して、掃除しやすいようにしましょう。油汚れの始末が簡単な大理石の天板や、自動洗浄できるレンジフードなど、時短を意識したアイテムを取り入れることもできます。素材選びは、建築雑誌やインターネットのサイトが参考になります。
セミオープンキッチンで視線を調整するのもおすすめ
キッチンの生活感は、リビング側からどう見えるかがポイントです。
都度きれいにしても汚れていることの多いシンクなどは、視線をさえぎるようにしたほうが、後悔しないこともあります。対策として、カウンターを設けたセミオープンキッチンにしたり、片方を壁付けするペニンシュラ型のキッチンにしたりできます。生活感あるものへの視線をさえぎる場所をつくると、リビングを落ち着いた空間にしやすくなるでしょう。とくに来客の多い家では、検討の価値があります。
身長に合った高さを探る
シンクの高さがしっくりこず、高すぎる、あるいは低すぎるという話はよく耳にします。キッチンの水平面をワークトップといいます。メインでキッチンに立つ人に適した床からワークトップまでの高さは、しっかりオーダーしておきたいポイントです。
注文住宅のワークトップ高で既成の主流となっているのは、80~95cmの間のサイズです。しかし身長÷2+5cmが理想の高さといわれるので、それに合致しているかを確認のうえ、高さ合わせをしておきましょう。身長が高くない方がたまに使うためには、台を置くなどの対応も可能です。
汚れや臭いの対策をする
とくに壁のないオープンキッチンの場合、汚れや臭いが広がらないための対策は、最初からの課題となります。
コンロの前だけは壁をつくったり、換気用のレンジフード選びに力を入れたりして、しっかり対策を行いましょう。オープンキッチンの持つ開放感は魅力ですが、実用的なキッチンの性能を確保する必要があります。
前述のように汚れにくく、汚れを落としやすいことも大切ですが、飛散しにくくしておく対策も検討しましょう。
内装全体のコーディネートと合わせる
オープンキッチンを、リビングの空間の中でおしゃれに見せる手段として、リビングとの一体感や相性を演出する方法があります。
前述のように、キッチンは汚れが取りやすい素材を使うことも多いですが、その中でも工夫して、リビングの内装とコーディネートすると、リビング全体の開放感を強調でき、おしゃれな空間にできるでしょう。
また、キッチン部分はペンダント系の照明をうまく配して、明るく暖かい配光を意識しましょう。
無駄なオプションを付けない
キッチンは使い勝手の柔軟性を高めるために、オプションの取捨選択に力を入れ、無駄なオプションを省くことで使いやすくなります。
IHクッキングヒーターはフラットで掃除がしやすい反面、使える調理器具を選ぶなどが難点です。また、生ごみのディスポーザーや戸外へのダストシュートは、故障や近隣の苦情などを考えると、後付けの生ごみ処理機が魅力的に見えます。浄水器も無理にオプションとせず、さまざまな後付け商品が入手可能です。
ゴミ箱の置き場所を事前に決めておく
ゴミ箱は調理中ほか、ひんぱんに使用するうえ相応の場所を取り、夏季は臭いの元になる、かなり存在感があるアイテムです。
分別も必要となるため、当初から意識して配置を決めておくことが大切です。使い勝手を考えると、シンク下が理想に近いと思われますが、容積が十分でない場合もあります。十分な収納量の確保も必要ですが、ゴミの量を減らす工夫も検討事項かもしれません。
こだわりの注文住宅のキッチンレイアウト【実例】
この項では、代表的な5つのキッチンレイアウトについて、それぞれの特色と実用例をご紹介します。
以下は人気のキッチンレイアウトについてのアンケート結果ですが、現在はペニンシュラ型が一番人気、続いてアイランド型型となっています。
I型キッチン(独立)
1990年代の戸建て住宅でよく見られた独立型のI型キッチンは、パントリーの普及などに伴って、キッチンをバックヤード化する良さが見直されています。
お料理に集中でき、リビングダイニングをすっきり見せるよう、パントリーや食器棚、写真のようにお勝手口も含んだレイアウトがおすすめです。
I型キッチン(対面)
I型のキッチンを対面で設ける場合は、写真のようにカウンター状に椅子を配置して、少人数の食事はそこでできるようにするのもおすすめです。
I型キッチンは長さを取りますが、配膳や片付けのために食器を移動させるスペースがたっぷり取れるため、家事の効率が良くなります。キッチン内の通路を広めに取れれば、同時に2人以上が使えるため、さらに動線が改善され、使い勝手が良くなるでしょう。
ペニンシュラキッチン
キッチンユニットの一方が壁付けとなっているぺニンシュラキッチンは、適度に生活感の露出をカバーでき、対面使いにもできるなど、柔軟性の高いレイアウトです。
写真のように壁側にパントリーを設けたり、背面に調理家電などのスペースを取ったりすることで、さらに機能性の高い調理スぺースが誕生します。
アイランドキッチン
現在とても人気の高いアイランドキッチンは、リビングの開放感をさらにアップさせます。ユニット前面や横にダイニングテーブルを隣接させることもでき、子どもが小さい間の見守りや配膳・片付けも安心です。
横幅を取らない分動線は合理的なので、可能な限り通路幅を確保し、2人が背中合わせで作業したり行き来したりできるようにすると、使い勝手の良いキッチンとなります。
二列型キッチン(セパレート)
洗う・切ると煮る・炊くを分けられる二列型キッチンは、調理の各作業に使えるスペースが豊富で、とても使いやすいキッチンとなります。
シンクやコンロ下の収納スペースを工夫し、ゴミ箱を収納できるようにしても機能的でしょう。
まとめ
注文住宅の失敗しないキッチンの選び方について、おすすめの種類やノウハウ、レイアウトの事例などもご紹介しました。
理想のキッチンは、隣接あるいは一体化させるダイニングやリビングへの希望、使い勝手の方向性、食事をする人数や時間帯など、家族によって異なり、また、年数を経ることで変化する側面もあるでしょう。
変化していく部分も意識しながら、お料理して、食事して、片付けて、すべての作業が楽しく合理的にできるキッチンを目指しましょう!
執筆・情報提供
滋野 陽造
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の購入・売却、住まいの知恵、暮らしの法令などのジャンルを中心に記事の執筆を行う。
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