2026.04.01
確定測量とは何?現況測量との違いや必要な費用、期間の目安、注意点を徹底解説
土地売買後のトラブルを避け、安心して暮らすために、確定測量は大切な作業です。ただ、立ち会いの現場以外は専門的な事柄が多く、どのように進めるかなど、不明な点が多いもの。
本記事では確定測量とは何か、現況測量との違いや必要な費用、期間の目安、注意点などを解説します。
大きな金額が動く不動産取引で後悔しないために、確定測量についての基礎知識を持っておきましょう。
INDEX
確定測量とは何?

確定測量とは、所有する土地の情報を明確にするための測量で、後述の各種測量の中で、もっとも信頼性が高い測量です。確定測量で決定される要素は、境界と面積の2つで、どちらも土地の資産価値における基礎となります。
測量の作業は土地家屋調査士が行い、土地の所有者は測量後に作成された確定測量図によって、所有権の内容を正確に証明可能となるのです。
宅地や戸建て住宅の売買をする際には、ほとんどのケースで売主から買主に確定測量図を引き渡すこととなっています。
確定測量・現況測量の違い

確定測量のほかに、建物を新築するための基本設計図面を作成する際などに行う「現況測量」という方法があります。
現況測量は、土地に設置されている境界標のほか、ブロック塀やフェンスなどを参考にして、土地面積や形状を概算するものです。
確定測量との大きな違いは、隣接する土地との境界確定を行っていない点で、現況測量で作成された図面は、参考程度に用いられるのが普通でしょう。
確定測量図・現況測量図・地積測量図の違い

確定測量図とは、「確定実測図」と表題のある図面と合わせて、境界確認書や道路確認書類などを含めたものです。
現況測量図は、前述の方法で制作された図面ですが、表題には「現況測量図」もしくは単に「測量図」と書かれています。
地積測量図は、法務局に登録されている測量図で、全ての土地が対象ではありませんが、誰でも入手が可能です。境界確定の有無については、2005年(平成17年)3月7日以前には義務ではなかったため、現況測量で登録されているものが多数を占めます。
地積測量図の変遷をご紹介すると、1961〜1970年ごろから、土地に関する表題登記、分筆、地積更正登記などを申請する際の地積測量図添付が義務となりました。
しかし、特に当初の図面は現況測量がほとんどで、その後2005年の確定測量義務付けまでの間に、徐々に不動産に対する権利意識が高まり、確定測量が増えていった経緯があります。
不動産取引の契約書に記載されている図面の区分=公簿・実測のうち、公簿が地積測量図です。
つまりもっとも信頼できるのは、2005年の該当時期以前に関しては公簿図面よりも、実測された確定測量図ということです。
確定測量図・現況測量図・地積測量図について、取得方法や費用、使用するケースなどの比較は、以下の表をご確認ください。

確定測量の目的

この項では確定測量の目的について、なぜ必要となるかをご説明します。
①土地の境界を確定させるため
境界確定は、次項の正確な面積出しには不可欠な要素です。正確な面積が不明な場合、住宅の建築や不動産売却、土地の分筆・更正登記など、さまざまなケースで問題が生じる可能性があるでしょう。
ただしそこまでの支障がない、格安の取引で予算を割かないなどの場合、「公簿売買」といって、地積測量図を基礎にした取引が行われることもあります。
しかし心配な状況として、隣地との関係が現在は問題なく良好であったとしても、将来的に所有者が世代交代した場合に、境界の認識を巡ってトラブルが発生するケースも。
このような状況を防ぐために、境界確定をしておくほうが良いことは、いうまでもありません。
将来土地を売却したり、分筆して相続したりする可能性があるため、隣接所有者との関係が良好な状況で、双方立ち会いのもと、境界確定を行うことが大切です。
②正確に面積を測量するため
前述の公簿売買と実測売買では、公簿に基づいた取引の場合、実際の面積のほうが公簿の数値より少なかった場合、買主は損をすることになります。
そのため公簿売買では、契約不適合責任免責を取り決めることが一般的ですが、地価相場が高い場所では、のちに影響が出るリスクが高いでしょう。
確定測量のうえ、正確な面積に基づいた実測売買をおすすめします。
確定測量が必要なシーンは?確定測量図がないとトラブルが起きる?

一般的に確定測量が必要なケース=境界と面積の不正確がリスクとなりやすい例を、6つご紹介します。
①不動産を売却
土地を売却する場合、公簿売買では商品の信頼度に不安があるため高く売りにくいことがあります。したがって、買主から購入の条件として、確定測量を求められるケースも。
測量技術は進歩しているため、昔と今では実測値に誤差が生じていることも多いです。
②新築の建物を建てる
建物を新築する際には、建築基準法などの諸法令を遵守する必要があります。建ぺい率・容積率・壁面と境界との距離などは、全て土地の正しい面積や境界を基準にして測るものです。
また、境界が曖昧なままだと上下水道の取り出しや外構工事にも支障が出る場合があります。
したがって、基本設計の段階では現況測量でも、施工を進める前には確定測量が求められるでしょう。
このほか、土地に抵当権を設定する場合も確定測量が必要となります。正確な土地面積が不明では、評価額も正確に計算できません。さらに、土地の一部分だけに抵当権を設定する場合も、土地の分筆登記をするための確定測量が必要です。
住宅ローンの融資を受けて土地を購入する場合も抵当権の設定は行われます。金融機関が正確な担保価値を求めるため、確定測量は必要となるでしょう。
③土地の分筆登記
1つの土地を複数に分割する分筆登記は、宅地の一部分を売却する、相続人で分割するなどの際によく行われる登記です。2005年の不動産登記改正法施行以降はこの分筆の際も、確定測量図を添付して申請することが義務付けられています。
④地積更正登記
地積更正登記は、法務局の公簿面積データを訂正するために申請する登記です。更正登記も2005年の不動産登記改正法施行以降は、確定測量を行って確定測量図を添付しなければなりません。隣地との境界確定なしに正確な面積は出せないので、これは当然といえます。
⑤境界杭や境界標が不明
以前の確定測量で設置された境界杭や境界標が、経年劣化で破損し失われたり、地中に埋まって探せなかったりというケースもあります。
このようなときにも、あらためて確定測量を行い、物理的な証しを立てておけば安心です。
⑥地価が高い土地
多くの取引では、実測面積と公簿との誤差が1〜2%以内であれば、許容範囲とすることが多いです。
ところが地価の高いエリアの場合、1〜2%でも深刻な金額差となって、トラブルになるリスクがあります。このような土地では、境界確定を含む確定測量は必須となるでしょう。
地価の高いエリアの取引では、どの範囲までの誤差を許容するか、面積の相違についての清算方法まで、契約時に売主・買主間の取り決めをします。
確定測量が不要なシーン

過去に境界確定を含んだ測量が行われている場合は、基本的には不要です。(縄伸び・縄縮みなど、古い測量の不正確性が疑われる場合については、この限りではありません)
分譲地など確定測量が明らかで、情報の新しい土地の購入についても、考える必要がないでしょう。
また、地方で地価が安く、広い土地=誤差による影響が少ない土地、土地の価格より確定測量費用のほうが高くなるような土地などは、確定測量は行われません。

確定測量の費用相場

確定測量を依頼する費用の相場は、エリアや依頼先によって開きがありますが、通常の整形地で35~70万円程度かかり、ケースによっては100万円以上となることもあります。
価格決定は2003年以降に測量の報酬規定が撤廃されており、土地家屋調査士が独自に決めて良いルールです。したがってこれという指標がなく、あらかじめ依頼先の土地家屋調査士から見積もりを取る必要があります。
確定測量の費用が高くなってしまうケースは主に以下の3つです。
- ● 測量する土地の状況
- ● 確定する境界の数
- ● 隣接地所有者の承諾
土地の広さや不整形地の場合、敷地内に高低差がある場合などは一般的な整形地と比べ、測量日数や手間を要し、費用は高くなります。
また、確定する必要のある境界の数については、たとえば接する道路が2つある場合で考えましょう。2つの道路のうち2つとも境界が確定していないケースと、道路1つは確定している場合では当然、2つの道路の境界を確定するほうが高額になります。
隣地の所有者から境界の承諾を得る手間はケースによってまちまちです。隣接地の所有者が物件から遠方に住んでいて、境界確認書の署名や捺印をもらうために土地家屋調査士が出張したり、あるいは交渉の必要などがあったりした場合、費用に加算されます。
確定測量の流れ

この項では、依頼から登記完了まで、確定測量の流れを以下のステップでご紹介します。
- 1. 土地家屋調査士へ依頼
- 2. 資料の収集と提出
- 3. 現地調査と測量
- 4. 境界立ち会いと境界確定
- 5. 測量図作成と境界杭の設置
- 6. 土地の登記
①土地家屋調査士へ依頼
確定測量は、土地家屋調査士に依頼すると、登記できる職権があるため、測量からワンストップで依頼が可能です。
測量士に依頼して、登記は土地所有者、あるいはその代理人が行うこともできますが、図面や申請書作成などかなりハードルが高く、時間がかかって取引のスケジュールに影響を及ぼす可能性も。
②資料の収集と提出
依頼を受けた土地家屋調査士は、主に法務局から以下のような図面や書類を集め、測量の際の資料とします。
- ● 地積測量図(前述)
- ● 14条1項地図(不動産登記法第14条第1項で定められる精度の高い地図)
- ● 公図(地図に準ずる図面。明治時代に租税徴収の目的で作成され、精度は低い)
- ● 登記簿(全部事項証明書)
以下は依頼者の手元に控えがあれば、提供します。
- ● 建物図面
- ● 現況測量図
- ● 筆界確認書
- ● 越境の覚書
筆界確認書とは、境界に接している土地の所有者双方が合意して作成する境界証明書です。この筆界確認書があれば、対象となる境界は過去の確定を尊重し、確定測量をしないこともあります。
越境の覚書とは、塀や屋根、枝などの工作物が隣の土地へ越境しているという事実と、将来的な撤去などの対応を隣人間で合意した書面で、共有することで測量をスムーズに進めることが可能です。
逆に、境界が確定することで、これまで分からなかった越境の問題が浮上することがあります。境界の確定前には、境界があやふやだったことで問題にならなかった箇所も、境界が明確になり、越境が明らかになってしまったケースです。
越境が明確になった場合は、これをことさらトラブルにすることなく、隣地所有者との間で越境の覚書を締結します。
一般的には確定測量図を作成する際に「筆界確認書」によって、隣地所有者との間の取り決めを明確にしているケースも多いです。
「筆界確認書」も「越境の覚書」も実印を押印して締結する大切な書類であり、売却の際にも買主へ引き渡すこととなります。
③現地調査と測量
土地の所有者と土地家屋調査士(測量士)は隣接地の所有者に挨拶に行き、以下を説明します。
- ● そちらの土地との境界を確定させる必要が生じたので、協力をお願いしたい
- ● 最終的に、確定した境界を確認のうえ承諾願いたい
- ● 測量作業の際に土地を越境したり塀を登ったりする旨了承いただきたい
測量の担当者は収集した資料や自治体が設置した公共基準点、現地調査の結果などをもとに測量を進め、2~3回の測量ののち、仮の境界杭や境界標を設置する作業をします。
④境界立ち会いと境界確定
土地所有者と隣接地の所有者、隣接道路の管理者の立ち会いのもと、仮設置の境界杭・境界標を確認していきます。それぞれの境界について、関係者の承諾を得られたら、境界確定です。
⑤測量図作成と境界杭の設置
図面や書類作成、現場に暫定に替わって本番の杭などを設置する作業を行います。
作成書類は以下です。
- ● 確定測量図(正確な面積と境界を記載した図面)
- ● 境界確認書(隣接地の所有者から境界について承諾したことを示す署名や捺印を得る)
- ● 道路確認書類(道路の管理者から境界について承諾したことを示す署名や捺印を得る)
確定測量図に基づいてコンクリート製・アルミ製・ステンレス製・石製などの境界杭や、境界標を設置し、杭を打てないような箇所には金属板(プレート)や金属製の鋲などを取り付けます。
⑥土地の登記
法務局へ申請して、新しい境界と面積を登記します。(前述のように、土地家屋調査士が行うことが多い)
登記が完了すると、請求した人は誰でも閲覧ができ、地積測量図として印紙の手数料を払い、発行してもらうことが可能です。
確定測量にかかる期間の目安

測量を依頼してから登記までは、ケースによりますが半年間程度を見込んだほうが良いでしょう。測量自体に1〜2か月、道路の境界を確定する官民境界確定は、自治体の承認までに、平均して3~4か月程度が必要となります。
そのほかに、前述のように隣地の所有者とのやりとりにかかる期間も見込む必要があるため、早めの依頼を進めましょう。
確定測量を行う際の注意点

確定測量で起こりうるトラブルを事前に回避するために、効果のある手段をご紹介します。
①隣人と良好な関係を築く
確定測量とは、隣地との境界について、関係者の承諾を得る行為といえます。前述のように納得のうえで境界確認書に署名や捺印をもらい、境界を確定することができるのです。
スムーズな境界確定のためには、人間関係を良好にしておく必要があります。もし新しく取得する土地であれば、事前に挨拶に行き、隣人として問題のない、良好な近所付き合いのできる人であることをアピールしておきましょう。
そうすれば、隣人が「納得いかない」などの主張をされるリスクを緩和することができるでしょう。
②トラブルを解決できない場合は筆界特定制度を活用する
境界の食い違いが、双方の話し合いでも解決できない場合は、土地家屋調査士が公的資料などをもとに説明し、双方で協議を行うことがあります。
それでも解決を見ない場合、筆界特定制度を利用することも可能です。筆界特定は法務局が行う制度で、筆界特定登記官が外部専門家の筆界調査委員に意見を聞き特定します。
筆界特定登記官は法務局の登記官から任命され、筆界調査委員は土地家屋調査士や弁護士、司法書士などの専門家の中から、法務局長によって任命される決まりです。
たとえば隣地所有者が境界立ち会いに応じない、あるいは行方不明であるなどのケースでも、筆界特定を利用すれば、境界を特定することが可能です。ただし、特定までには1〜2年と長い期間を要し、費用も高額になります。
また、境界を特定できても、隣地の所有者が署名や捺印に応じなければ、境界杭が設置できないこともあり、筆界特定は新規で取得する土地の境界確定にはあまりおすすめできません。
ほかの手段として、訴訟などの裁判、仲裁や調停、あっせんなどの法廷手続きもありますが、期間や費用の面で、デメリットは筆界特定と同様でしょう。
③余裕を持ったスケジュールで依頼する
売買取引に先立って、余裕を持って確定測量依頼を行いましょう。確定測量の完了までには、短くてもひと月半ほどかかります。さらに、前述のように官民の境界を含む土地の所有者=隣地の関係者の数が多い場合は、半年ほどを要することもあるのです。
また、所有者間で境界の食い違いが生じて話し合いとなったり、遠方の所有者との日程調整、所有者と連絡がつかなかったりするケースなど、期間が長引く要素となります。
これらを見越したうえで、極力早い段階で、確定測量の依頼を出すようにしましょう。
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まとめ

確定測量とは何か、現況測量との違いや必要な費用、期間の目安、注意点などを解説しました。
ほかの商品を買ったときに、「これはどこまで自分のもの?」「使っていて大丈夫?」などと考えることは少ないでしょう。
土地の場合、境界が確定していないことで、今は良くとも将来にわたってトラブルのもととなったり、資産価値に影響したりする可能性があります。所有権を移したり、新しく取得したりする場合は、土地の境界確定はしておきましょう。
執筆・情報提供

滋野 陽造
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





