2026.04.01
三世帯住宅とは何?メリットやデメリット、間取りづくりのポイントを徹底解説
長い核家族生活優先の時代を経て、多世帯同居にも注目が集まるのは、経済負担が減らせる、好立地の確保がしやすいなどのメリットが背景にあるでしょう。
反面、親族であっても、これまで暮らしたことのない人との同居や、それに準ずる暮らしをすることは不安なもの。
本記事では三世帯住宅とは何か、メリットやデメリット、間取りづくりのポイントなどを解説します。三世帯生活のイメージを掴む参考になれば幸いです。
INDEX
三世帯住宅とは?

三世帯住宅とは、3つの家族が同じ世帯に暮らす住まいで、二世帯住宅も含めて多世帯住宅と呼ばれることもあります。
一般的に「親世帯+子世帯」のことを指す二世帯住宅に対して、三世帯住宅の構成は多様で、ニーズもよりさまざまです。
また、世帯ごとに独立した居住スペースを意識することの多い二世帯住宅に対して、三世帯は大家族の暮らしを効率的に回すことに、重きが置かれる傾向があります。
二世帯住宅や三世帯住宅が増加している背景は、後述する経済的なメリットだけではなく、国が政策として推進している側面も。
多世帯住宅は、主に少子高齢化対策、介護負担の軽減、子育て支援などで有利な面があります。かつて「家庭内でなんとかしていた」福祉を、再度世代間で支え合うよう、減税や補助金などによるバックアップが進んでいるのです。
三世帯住宅で暮らす世帯は必ずしも”三世代”とは限らない
三世帯というと、親+子+孫の三世代を連想しがちですが、三世帯には、たとえば以下のような組み合わせがあります。

そもそも親が生きている間は、孫は子と1世帯であることが多く、二世帯のカウントとなることが多いでしょう。
政府の定義している三世代世帯とは以下の通りです。
”世帯主との続き柄が祖父母・世帯主の父母(または世帯主の配偶者の父母)・世帯主(または世帯主の配偶者)・子(または子の配偶者)および孫の直系世代のうち、3つ以上の世代が同居していることが判定可能な世帯。”
細かい定義ですが、なるべく簡単に表現すると、世帯主夫婦の直系=祖父母・父母・子・孫・きょうだいの同居する家ということでしょう。したがってまったくの他人世帯は対象となりません。
三世帯住宅で暮らすメリット

この項では、三世帯住宅を建てて暮らすメリットをご確認ください。経済上だけではなく、暮らしのメリットにも着目しましょう。
①建築費用を抑えられる
物理的な建築コストでは、同じ建坪でもたとえば2軒や3軒ではなく、1軒の家で建てたほうが、建築費用が抑えられます。大きな家となっても、基礎や外壁を共有したほうが安く建てられることがほとんどです。
光熱費も、構造や間取りによっては複数の建物よりも抑えられるかもしれません。
また、建築費用を出し合って分担できれば、さらに負担が減ることになります。とくに、頭金を増やすことができれば、ローンの返済負担が金利・返済期間ともに圧縮できるため、メリットは大きいでしょう。
②育児・介護を協力し合える
少子化が進んでいる背景として、核家族化の進行による育児負担の増大も考えられます。「預ければお金がかかるし、仕事をやめれば収入が減る・・・」
三世帯同居は、このようなジレンマを払拭する方法の一つです。
子どもの教育方針については、親との世代間ギャップで、価値観が異なることが問題になりやすいでしょう。しかし子どもにとっては、多様な価値観で育てられたほうが高い社会性を獲得できるという意見もあります。
また、介護についても親と離れて暮らしていると様子が充分にわからないため、家庭で対応可能かが判断できないケースも多いでしょう。そして三世帯の場合、介護は子世帯だけの負担ではなくなります。
③自治体によっては補助金が受けられる
自治体によっては、三世帯住宅の新築やリフォームに対して、補助金制度や減税措置が設けられていることがあります。年度によって制度や先着枠に変更がある可能性があるため、問い合わせによって都度最新情報を確認しましょう。
④相続税を大幅に減額できることも
多世帯住宅で親子・祖父母などの親族と住む場合、「小規模宅地の特例」が適用され、相続税を大幅に減税できるケースがあります。
6親等以内の血族、3親等以内の姻族における同居で、相続開始時に被相続人と同居していれば、建物全体(最大330㎡まで)に80%の評価額減額が可能です。
優遇の措置を受けるため登記の方法などが決められており、しっかり確認することが必要となります。住宅会社の担当者や不動産会社のスタッフに相談して、メリットが正しく享受できるようにしましょう。
また、固定資産税についても、減額措置が以下のように拡大されます。

三世帯住宅で暮らすデメリット

反面、三世帯住宅にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
①同居によるストレスを感じやすい
ライフスタイルや生活の価値観は、世帯によってさまざまで、それらがストレスとなってしまうことも。
生活時間の違いから、音を騒音に感じたり、掃除の仕方、光熱費の負担にいたるまで、多くのギャップが想定できたりします。
「人はそれぞれなのだ」と許容する気持ちも大切ですが、あらかじめ、あるいは問題が生じたごとに「こうしましょう」と取り決めていくことが、解決策となるでしょう。
②買い手が見つかりにくい
三世帯住宅であることで、間取りや大きさに個性がある場合、一般的なニーズとは合わずに売りにくいということが考えられます。
土地の広さや設備の多さから、価格を下げにくいという事情もあるでしょう。ただし、同じようなライフスタイル=多世帯同居を求めている購買層には非常に引きが強いため、そのような方が対象になれば、商談は弾みます。
③一世帯分の部屋が空いてしまうことも
高齢世帯の施設入居や、子ども世帯の独立などで、使わないスペースが生じることも考えられます。これは事前に対策することは困難ですが、空いた部分の世帯を賃貸するという方法はあるでしょう。
ただし賃貸併用住宅は住宅ローン契約の対象外であるため、低金利の住宅ローンは継続が難しい場合があります。住宅部分の床面積の割合など、金融機関によって要件が異なる点も。
借り換えなどの可能性も視野に、金融機関と相談しましょう。
三世帯住宅で快適に暮らすための間取りづくりのポイント

三世帯住宅の間取りを考える上で、ポイントとなる点をご紹介します。共有部分の設定が要点といえるでしょう。
ポイント①プライバシースペースと共有スペースを確保する
間取りを完全な分離型にしてしまえば、集合住宅と同じなので、暮らす上でのストレスは少ないでしょう。しかし、円滑な生活を確保する上では、コミュニケーションの取れる場、共有スペースを決めておくのがおすすめです。
「相手が何をしているかわからない」というほうが、お互いに対する疑念が生じやすい部分もあります。皆が集まってリラックスできる時間帯を共有できる場所を確保しましょう。屋内でスペース的に困難であれば、屋外でも準備します。
反面、家族それぞれのプライバシーを確保できる場所も、意識してつくることも必要です。
ポイント②共有スペースは全員がアクセスしやすい場所に設置する
共有する玄関や水回り、物干し場などを利用するときに、ほかの世帯を経由していくことのないようにつくるとお互い気兼ねが少なく、長い目で使い勝手のいい間取りとなります。
3階建ての場合は、階段周りにそのような設備を集めることで、問題を解消しやすいでしょう。
三世帯住宅・三世代住宅の施工事例

この項では、三世帯同居で家族の快適な暮らしが可能な実例をご紹介します。
【21坪・3LDK】3人3世代・思いやりの家
50代の女性と20代娘の親子に、女性のお父様が同居したコンパクトな3人3世代の住まいです。
水回りは一つを共有しますが、寝室の配置などには、それぞれのプライバシーを守れ、生活時間帯のズレがあっても音などが気にならない配慮が感じられます。
趣味の園芸に最適な広い庭、1階で生活が完結・玄関アプローチのスロープなどのバリアフリー対応も万全。お父様への思いやりが感じられる住環境づくりです。


【33坪・4LDK】スペース効率が居心地良い6人暮らし
夫婦に子ども2人、母、祖母という6人3世帯にペットの、にぎやかな暮らしを支える家です。
この家も水回りは一つで、各世帯の独立性よりも、家事効率と経済性を最大限重視した水回りに設計されています。食事・洗濯の家事プロセスにはまったく無駄がありません。
お祖母様の生活動線も最小限のバリアフリー対応。そのような中にも、専用のプライベートテラスが憩いのひとときを提供してくれるでしょう。
6人が集うLDKはダイニングの配置をリビングと一体化させ、無駄のないスペースとなっています。


【55坪・3LDK】在宅ワークも趣味も犠牲にしない三世帯を目指して
40代会社員ご夫婦+ご両親・妹+祖母の、6人家族の住まいです。55坪・総2階の大きな家ですが、それぞれの希望を余すことなく満たし、無駄なスペースは見当たりません。
親世帯と祖母の暮らしは3つの寝室が支え、1階で完結。2階は音楽やトレーニングのための部屋を備えたご夫婦用です。
1階・2階にそれぞれ水回りを備えますが、1階のダイニングは、家族全員が集って食事やくつろぎの時間を過ごせるようになっています。
両方のフロアに家事と収納の回遊動線が見られるなど、生活の工夫も詰まった家です。


住まいに関するご相談はハウジングステージへ

地価・住宅価格高騰の状況下にあっても、住宅費用を世帯間でシェアでき、減税や補助金もある多世帯住宅は、都心部に戸建てを持つ有効な手段になりえます。
同居に対する気遣いや、生活リズムへの不安は尽きませんが、事前に家族と相談し、しっかりと考えて対策をすれば、デメリットよりもメリットのほうがはるかに多いものです。
ハウジングステージでは、二世帯住宅相談会も催しています。悩んだら、まずは住宅展示場で相談してみませんか。
関連記事:
失敗から紐解く 二世帯住宅のススメ|住宅展示場のハウジングステージ
まとめ

三世帯住宅とは何か、メリットやデメリット、間取りづくりのポイントなどを解説しました。多世帯住宅は、直系の親・子・孫だけでない住まいが、暮らしに奥行きを持たせてくれる側面もあるのではないでしょうか。
もちろん共同生活の上で超える必要のあるハードルはあるでしょう。しかし、核家族化で失ってきた、家族や人間関係の絆を見直すチャンスとなりそうです。
経済面でのメリットや、公的な優遇措置の件も把握の上で、検討してみてはいかがでしょうか。
執筆・情報提供

滋野 陽造
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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