2025.12.22
床暖房にかかる費用はどれくらい?設置費用・ランニングコスト、節約のコツを解説
寒い季節に、快適な暖房選びは大切です。足元から部屋全体を気持ちよく温めてくれる床暖房は近年人気ですが、設置の費用や維持費が知りたいところ。どんなタイプを選べばいいのかや、節約の方法も気になるでしょう。
本記事では、床暖房にかかる費用はどれくらいなのか、設置費用やランニングコスト、節約のコツなどを解説します。
以下は、「あって良かったと思う住宅設備」についての調査結果です。複数回答で、床暖房が浴室乾燥暖房機や食洗機と僅差のトップ争いをしています。

INDEX
床暖房の種類とは?

床板に伝わった伝導熱が、ふく射熱として部屋全体を温める床暖房は、天井付近と床付近で温度差が発生しにくく、血流が良くなって身体の代謝にも好影響があるでしょう。
床暖房には、主に温水式と電気式の2種類の熱源タイプに分かれます。
①温水式床暖房
温水式(温水循環式)の床暖房は、エコキュートやガス給湯器などで温めたお湯を床下のパイプに通して床材を温め、お部屋を暖房する方式です。
古くからオンドルという床暖房が発達していた韓国でも、現代のオンドル は、温水のパイプで床を温める方式が主流となっています。
温水式床暖房のメリットは、以下の点です。
- ● 部屋が温まるまでの時間が短い
- ● スイッチを切ったあとの余熱が長時間温かい
- ● 低温やけどのリスクが低い
- ● 光熱費が安い
電気式よりも早く温まり、停止後もしばらく温かさを維持できます。床暖房のリスクである低温やけども、床の温度が40℃ほどまでで使用する温水式では、起こることがありません。電磁波の心配も無用です。
温水式のデメリットとしては、不凍液の定期的な交換メンテナンスが必要な点でしょう。寒冷地では、暖房用水の凍結防止のため不凍液を使います。不凍液は3〜5年ほどで交換が必要なため、予定しておきましょう。

②電気式床暖房
電気式は、床材の下に電気で発熱するヒーターを敷き詰めて温める方式です。発熱用のヒーターには、「PTCヒーター」と「電熱線ヒーター」の2種類があります。
2種類の違いは、一般的な暖房性能の電熱線ヒーターに対し「PTCヒーター」は電熱線温度の低い箇所をセンサーで検知し、優先的に温められる仕組みから、効率的な運転が可能な点です。
電気式床暖房の主なメリットは、構造がシンプルで基本的に30年ほどと長期間メンテナンスが不要である点でしょう。
一方、デメリットとしては、電気式の発熱のほうが光熱費が高くなりがちなこと、お部屋が温まるスピードが遅いことなどが挙げられます。
床暖房の設置費用の目安

床暖房の設置費用=イニシャルコストはどのくらいかかるのでしょうか。方式別にご覧ください。
温水式床暖房の場合
温水式の施工費用相場は以下です。
温水式床暖房・設置面積1畳あたりの施工費用
| 床材分離型タイプ | 床材一体型タイプ |
|---|---|
| 4~6万円 | 6~9万円 |
床材の分離型と一体型の違いは、床暖房パネルと床の仕上げ材が別になっているか、床暖房の熱源が床材に組み込まれているかです。
分離型は自由に床材を選べて施工費用は安め、ただし温まるのにやや時間がかかります。一体型は温まるスピードが速く熱効率がいい分、ランニングコストは安め、ただし施工費用はやや高めとなる傾向です。
電気式床暖房の場合
以下のように、床材分離施工の場合、温水式に比べて電気式のほうが、設置費用は高めとなります。
温水式床暖房・設置面積1畳あたりの施工費用
| 床材分離型タイプ | 床材一体型タイプ |
|---|---|
| 8~11万円 | 6~9万円 |
施工費用はエリアや施工会社などでも異なり、温水式のほうが電気式より高くなるケースもあります。問い合わせや相見積もりで確認しましょう。
床暖房の設置費用を左右する要因

この項では、設置費用についてもう少し詳しく掘り下げます。
①暖房の種類
前述のように、床材分離型の場合、電気式のほうが温水式よりも、1畳あたりの施工費用は4万円ほど高くなります。
しかし、温水式床暖房は床下のパイプに熱源機で温めた温水を循環させる仕組みで、パイプの敷設や熱源機の設置が必要となり、工事が大掛かりになることが多いため、電気式床暖房と比べて高額になることも。
電気式の床暖房は、電熱線やヒーターで床を直接温める仕組みで、施工が比較的簡単です。部分的な設置や、狭い空間での設置用に適しています。
②部屋の広さ
床暖房を設置する部屋が広ければ、材料費や工期が増えてコストが上がります。リビング・ダイニングのように広い面積を温める必要がある空間では、設置の費用が数十万円単位で増加することも。
ダイニングテーブルやリビングのソファー周辺の足元だけ温めれば良いのではなく、リビング・ダイニング全体をくまなく温めるためには、床材のふく射熱を発揮させるために、ある程度広い範囲の施工を要します。
③直貼りするか張り替えるか
リフォーム施工の場合は、施工方式でコストに差が出ます。
直貼りとは、既存の床の上に床暖房設備を直接施工する工法です。既存の床材を撤去しないため、安く施工できるメリットがあります。この方法は、築年数の浅い住宅やリフォームの施工で多く行われている方法です。
全面張り替えは元の床材をすべて撤去し、新たな床材として床暖房設備を設置して施工します。
この方法では、古い住宅や床材の劣化が激しい場合に行われ、断熱性能をやり直すことができ、安心である反面、材料費や工事費がかさむため、費用がかなりかかる場合も。
施工方法の選択は、予算だけでなく家の状態、長期的な耐久性を見越して計画しましょう。
この項では、設置費用についてもう少し詳しく掘り下げます。
①暖房の種類
前述のように、床材分離型の場合、電気式のほうが温水式よりも、1畳あたりの施工費用は4万円ほど高くなります。
しかし、温水式床暖房は床下のパイプに熱源機で温めた温水を循環させる仕組みで、パイプの敷設や熱源機の設置が必要となり、工事が大掛かりになることが多いため、電気式床暖房と比べて高額になることも。
電気式の床暖房は、電熱線やヒーターで床を直接温める仕組みで、施工が比較的簡単です。部分的な設置や、狭い空間での設置用に適しています。
②部屋の広さ
床暖房を設置する部屋が広ければ、材料費や工期が増えてコストが上がります。リビング・ダイニングのように広い面積を温める必要がある空間では、設置の費用が数十万円単位で増加することも。
ダイニングテーブルやリビングのソファー周辺の足元だけ温めれば良いのではなく、リビング・ダイニング全体をくまなく温めるためには、床材のふく射熱を発揮させるために、ある程度広い範囲の施工を要します。
③直貼りするか張り替えるか
リフォーム施工の場合は、施工方式でコストに差が出ます。
直貼りとは、既存の床の上に床暖房設備を直接施工する工法です。既存の床材を撤去しないため、安く施工できるメリットがあります。この方法は、築年数の浅い住宅やリフォームの施工で多く行われている方法です。
全面張り替えは元の床材をすべて撤去し、新たな床材として床暖房設備を設置して施工します。
この方法では、古い住宅や床材の劣化が激しい場合に行われ、断熱性能をやり直すことができ、安心である反面、材料費や工事費がかさむため、費用がかなりかかる場合も。
施工方法の選択は、予算だけでなく家の状態、長期的な耐久性を見越して計画しましょう。
床暖房の種類ごとの運用・維持費用

続いて、設置後における床暖房のコストについてご説明します。
温水式床暖房の場合
温水式床暖房の場合の、運用時のコストの例として、8畳間で8時間運転した場合、1日あたりのガス代が約170円、1カ月の使用で約5,100円という試算があります。(東京ガスのデータ )
この金額はガスを使用した場合のデータであり、エネルギー源や家の気密・断熱性能、連続・断続運転の別などで差が生じますが、一つの目安となるでしょう。
一定の温度を長時間維持しやすい温水式の床暖房は、高齢の方や小さい子どものいる家庭=リビングで過ごす時間が長いケースに向いています。
電気式床暖房の場合
次に電気式床暖房の場合、8畳の部屋で1日8時間(床温約30℃)使用した場合で、1カ月の電気代が約8,000円代です。
ランニングコストが高めな反面、修繕やメンテナンスが少なくて済む電気式床暖房は、狭い範囲や短時間の使用に適しています。食卓の下など、限られたスペースや時間帯で暖が取りたい場所に活用しましょう。
広めの範囲・長時間に使用する場合には、効率的な運転が可能なPTCヒーターがおすすめです。
床暖房とその他暖房器具の費用を比較

暖房器具やその種類によって有効な使い方、ランニングコストなどが大きく異なります。上手な使い分けのために、床暖房と、その他の暖房器具の特徴や、かかる費用を比較しました。
・エアコン
エアコンは、広い部屋を効率的に温められることから、広く普及しています。消費電力635W、1日8時間使用の場合、電気代の参考値は以下の通りです。
- ● 1時間あたりの料金:0.635kW×31円/kWh=約19.69円
- ● 1日あたりの料金:19.69円×8時間=約157.48円
- ● 1カ月あたりの料金:157.48円×30日=約4,724.4円
電気代は高騰と自由化の影響で単価に開きがあるため、上記はおおよその目安と考え、細かい計算はkWベースで試算することをおすすめします。
エアコンは、床暖房と比べても同等かそれ以上の効率性を発揮してくれますが、床暖房に比べて足元が温まりにくいのが難点です。また、内部の清掃状況や、型の新旧によって暖房効率に差が出るため、その点も考慮が必要でしょう。
・ガスファンヒーター
ガスファンヒーターが消費する1時間あたりのガス代は都市ガスで約15円 です。そこから計算すると、8時間の使用で以下のようなコストが目安となるでしょう。
- ● 1日あたりのガス料金:15円※×8時間=約120円
- ● 1カ月あたりのガス料金:120円×30日=約3,600円
※プロパンガスの場合は、1時間あたり30〜40円 程度。電気式床暖房くらいのコストとなる。
ガスファンヒーターは電気も使用するため、上記に1時間あたり0.3〜0.5円の電気代を加えたものが、具体的な数値となります。
都市ガスの場合は使用時のランニングコストが低く、すぐ温まるのも、ガスファンヒーターの魅力です。
・オイルヒーター
オイルヒーターの場合、設定する出力=ワット数ごとの電気料金は以下です。(メーカーの推奨:10畳まで・相場19,800円の機種 におけるデータ)
| 500W(0.5kW) | 1時間あたり:15.5円 1日あたり:124円 1カ月あたり:3,720円 |
|---|---|
| 700W(0.7kW) | 1時間あたり:21.7円 1日あたり:173.6円 1カ月あたり:5,208円 |
| 1,200W(1.2kW) | 1時間あたり:37.2円 1日あたり:297.6円 1カ月あたり:8,928円 |
1,200Wで稼働させると、9,000円前後とコストの高いオイルヒーターです。しかし、空気を汚さず湿度にも影響しない、ホコリが立たない、安全性の高さなどが良い場合、魅力的な選択になります。生まれたばかりの子どものために購入するケースは多いでしょう。
・電気カーペット
電気カーペットにおけるコストの参考値は以下です。(2畳サイズ・定格490W の機種)
- ● 1時間あたりの電気料金:0.49kW×31円/kWh=約15.19円
- ● 1日あたりの電気料金:15.19円×8時間=約121.52円
- ● 1カ月あたりの電気料金:121.52円×30日=約3,645.6円
部分暖房として優れる電気カーペットですが、床暖房ほどふく射熱の放射が多くなく、部屋全体を温めるのには向いていません。
いずれの暖房器具も、床暖房との併用や使い分けで、効率の良い快適な暖房となるでしょう。
※電気・ガス・灯油などの料金は変動するため、細かいコスト試算は現在の料金を反映させて行ってください。
床暖房の運用・維持費用を抑える方法

床暖房も上手な使い方をすれば、ある程度コストを抑える効果があります。長期間にわたって続ければ、節約額も無視できないものになるでしょう。以下を試すようにしてください。
①電源のオン・オフを繰り返さない
床暖房はエアコンなどと同様、スイッチオンから設定温度に達するまでに、多くのエネルギーを使います。何度も電源を入れたり切ったりすることで、冷めてしまった床・お部屋を温め直す必要が。
短時間の外出ならば電源を切らずに、温度設定を下げて運転しておいたほうが、コストを減らせます。また、長時間使用の際は自動運転モードで適温を保つことで、無駄なエネルギー消費を回避できるのです。
また、就寝前は前述のように予熱で温かい時間を利用し、早めに電源を切ってしまうこともできます。どのくらい温かさが保てるのかは、外気温や家の断熱性能によって異なります。理想的な状態を探してみましょう。
②家具やカーペットを置かない
床暖房は熱の伝導以外に、ふく射熱で部屋を温めるため、熱の放出を妨げるカーペットや家具を上に置くと、効率が落ちてしまいます。
カーペットのほか大きめのラグ、床を覆う大きな家具は、床からの熱を吸収する存在です。室内の配置を工夫し、床暖房の設置場所はなるべく床面を露出しておくようにすると、暖房効率をフルに活かせます。
③省エネモードの活用
省エネモードは、必要以上に高い温度設定=無駄を避けて、エネルギー消費を抑えながら快適な室温を保つ仕組みです。
自動で効率的な運転を行い、温度設定を細かく調整する手間も要りません。とくに夜間や使用人数の少ないときには、コスト削減効果を発揮してくれます。
電気式床暖房のPTCヒーターも、場所ごとの電熱線温度を制御できるため、効率的な運転に役立つ方式です。
④電力会社とプランを見直す
エネルギー自由化によって、電力会社やガス会社の選択肢が広がりました。
家族の生活スタイルに合ったエネルギー会社・料金プランを選ぶことで、コストを削減できます。各社のシミュレーションツールで、最適なプランを探してみるようにしましょう。
電気料金の単価が、市場価格に合わせ時間帯で変動する「市場連動型プラン」を用意する会社も。単価が安い時間帯に電気を使えれば、料金が安くなります。
電気とガスの同時に見直したい場合は、電力とガスを別々に契約するより、東京ガスやLooopでんきなどのセット割プランを検討しましょう。(東京電力のエリア限定)
関東エリア・電力サービスの例
| 電力会社 | 特徴 |
|---|---|
| Looopでんき |
|
| リボンエナジー |
|
| CDエナジー |
|
⑤気密性・断熱性の高い家づくりをする
電気やガスの料金を下げるのと同様に、家の気密性・断熱性も、床暖房のランニングコストに直接影響する要素となります。
気密・断熱の住宅性能が高ければ、少ない出力で快適な暖房性能が得られるためです。とくに、省エネモードなどの自動運転の際には、光熱費削減に効果を発揮してくれるでしょう。
ここまでの内容に加えて、固定資産税についても意識が必要です。
床暖房は設置することで、固定資産税の課税対象となります。自治体・設備点数=床暖房の種類・接地面積などで開きが出ますが、1㎡あたりではおおよそ数百円であることが多いでしょう。
必要以上の大きな面積にしないこと、設置する機種選びなどによって、節税できます。
床暖房の費用負担を抑える補助金制度はある?

床暖房で温水式を選び、ハイブリッド床暖房=床暖房機能付きのハイブリッド給湯機を設置すると、最大15万円の補助金が出るほか、光熱費を抑えることができます。
ハイブリッド給湯機とは、ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせた機器です。2種類の熱源を効率的に用いて、高効率な給湯ができます。
補助金の出所は国の実施する給湯省エネ2025事業 で、住宅の建築主や購入者が対象です。
ご参考:
対象機器の詳細|給湯省エネ2025事業(資源エネルギー庁)
よくあるQ&A

床暖房のデメリットは何?
代表的なデメリットとしては、光熱費が高くなる場合がある点、温まるまでに時間を要することがある点などです。
これらは運転の仕方を工夫したり、ほかの暖房器具と組み合わせて使ったりするなどでカバーできるでしょう。快適で低コストな暖房使用には、こまめな工夫が必要になることがあります。
床暖房の寿命はどれくらい?
床に通すパイプ部分は30〜50年と、非常に長期にわたって性能を維持可能です。温水式の熱源ユニットとなる給湯器は10〜15年で交換が必要となるほか、寒冷地で温水用に不凍液を使用している場合、3〜5年で液の交換が必要となります。
以上のメンテナンスを行えば、床暖房は家の寿命に対して遜色ない働きができる暖房設備です。
床暖房の電気代は毎月いくらくらい?
8畳間で1日8時間の使用の場合、1カ月で5,000〜8,000円が目安となります。冬季のみの使用で、その年の気候にも左右されるでしょう。
また、床暖房の方式=電気か温水、家の気密断熱・性能、エリア=寒冷地かどうか、家族ごとの使用方法などでも差が出るため、専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。
まとめ

床暖房にかかる費用はどれくらいなのか、設置費用・ランニングコスト、節約のコツなどを解説しました。
床暖房が下半身を温めてくれる熱の伝わり方や、下から上に部屋を温める感覚は、とても魅力的です。灯油の給油や、ひんぱんな温度調節など、暖房器具を強く意識するような手間もないのです。
一方で、エネルギー費用高騰が進む昨今、その運転コストについては敏感にならざるを得ません。本記事を参考に、お得で快適な暖房利用を目指してください。
提供
総合住宅展示場ハウジングステージ編集部
© Housing Stage All rights reserved.
この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





