Find your new style!

会員番号:

家づくりの雑学

2024.02.15

注文住宅とは?メリット・デメリットや分譲・建売住宅との違いについて解説

注文住宅は憧れですが、さまざまな種類があり、特徴やメリットもそれぞれです。この記事では、注文住宅とは?という問いにお答えすべく、分譲・建売住宅との違いやメリット・デメリット、予算相場や後悔しないポイントなどをお伝えします。

INDEX

注文住宅とは

注文住宅とは、施主がご自身で土地と建築業者を選び、住まいを作る方法の住宅です。

施主は土地に関して売主と「不動産売買契約」を、ハウスメーカーなどの建築業者と「建築工事請負契約」を結んで、家作りをします。

ご自分で立地を選んで購入する土地や、すでに所有している土地に、間取りや外観の形、家の仕様などを自由に考えて建てられます。

建物の高さや建てられる広さなど、住宅建築では共通である法律上の規制は受けますが、理想に沿った住宅に仕上がりやすいといえるでしょう。

注文住宅と分譲・建売住宅の違い

注文住宅の対義語としていわれるのが、分譲住宅や建売住宅です。分譲・建売住宅との違いを知れば、注文住宅のことがより理解しやすいでしょう。立て方や建築のプロセスなど、それぞれにはこんな違いがあります。

注文住宅と建売住宅の違い

建売住宅とは、土地と新築住宅を一括で販売する方法で、完成形あるいは完成の3カ月程度前に販売され、購入から比較的早く入居が可能です。

建売住宅の場合、販売業者と「不動産売買契約」を結ぶことで購入できます。家作りにそこまでこだわりがなく、見た物件をとても気に入った場合は複雑なプロセスなく入居できる住宅です。

建売住宅は好み、使い勝手ともに平均的なデザイン・間取り・設備となっています。暮らしやすく、こだわりを通した結果失敗してしまうのでは?という不安がある方にも安心です。

「どっちが安いか」といえば、答えは一般的に建売住宅ですが、「注文と建売のどっちがいいか」となると、答えは難しいです。

家作りに何を求めるかによりますし、注文住宅と建売住宅はきっぱり分かれているのではなく、中間的な選択肢がたくさんあるためです。

以下は、2020年度のフラット35の住宅ローン融資件数の違いです。建売と注文の発注戸数の比較は多数あり、差もさまざまですが、どのデータでもほぼ、注文住宅のほうが建売住宅の1.5倍ほどの件数となっています。

注文住宅と分譲住宅の違い

続いて分譲住宅とは、分譲地と新築住宅をセットで販売する住宅形式です。

分譲地とは、複数棟を建築する住宅用地として開発するひとまとまりの土地で、数棟から数十棟まで規模はさまざまです。

整地のみ終わった状態での販売、建築条件付きで特定のハウスメーカーで建てる前提の販売、すでに住宅を建てた状態の販売など、販売方法も多岐にわたります。

分譲地としての販売は、建築条件付きや建売状態など、住まい作りを自由にできないケースが多いです。

建築前の場合は、外壁・床の素材、2階の部屋数、トイレ・浴室・システムキッチンの設備など一部の仕様を選択肢から選べるケースもあります。

なお、建売住宅と分譲住宅を区別せず、どちらも建売に扱っていて、上記のような仕様選択が可能な場合もあります。

分譲住宅の詳細、注文住宅との違いは以下の記事もご参照ください。

「注文住宅」と「分譲住宅」どっちがいい?それぞれのメリット、デメリットを比較しよう!|住宅展示場のハウジングステージ

注文住宅の種類

注文住宅にも、大きく分けて以下の3種類があります。

  • ● セミオーダー住宅
  • ● フルオーダー住宅
  • ● 規格住宅

注文住宅とは自由なオーダーが前提ですが、それだけではコストや時間面、仕様やデザインの選択肢などの問題で不自由が生じます。したがって、このような種類が生まれてきました。

それぞれの特徴をご説明します。

セミオーダー住宅

セミオーダー住宅は、デザインや仕様など、好みに合わせていくつかのパターンから選択して施工内容を決める注文住宅です。

満足度は好みに合う選択肢があるかによりますが、資材や設備などの選択肢が提示されているため、選ぶことによって、短時間で打ち合わせが完了します。

また、まとめて資材・設備を購入するため、コストを下げられ価格も低くなるメリットもあります。

フルオーダー住宅

フルオーダー住宅は間取り、外観、細部の仕様まですべて自由に決める注文住宅です。本来注文住宅といえば、フルオーダーの住宅を指していました。

仕様・設備などを単独で発注する分、施工価格も高額になりやすいですが、予算や時間に細かい制約がない場合にはおすすめです。

また、施主の方が下調べのうえで、こんな家を建てたいというビジョンが決まっているときにはよい選択肢となるでしょう。

さまざまな資材のサンプルや、設備の仕様を比較して決めていく必要があるため、施主の意図をくむ設計や建築担当者の方との相性も重要になってきます。

規格住宅

規格住宅はインテリア、間取り、外壁などをいくつかの組み合わせのパターンから選択していく注文住宅です。

よく似ているセミオーダー住宅よりも選べる項目の幅が狭く、選択の自由度は低めです。設備などはあまり選べません。

ただし選択肢が狭い分、資材・設備のコスト、打ち合わせ等の人件費などをカットでき、注文住宅ではもっとも安く建てられます。

フルオーダー住宅・セミオーダー住宅・規格住宅の3種類にははっきりした定義がなく、施工業者によってその位置づけはさまざまです。

とくに規格住宅については建売の分譲住宅と選択肢の幅があまり変わらないことも考えられるでしょう。

施主ご自身でどの場所をどれくらい自由に決めたいか、外せないこだわりの条件は何かなどを決めたうえで、ハウスメーカー・工務店に相談しましょう。

注文住宅のメリット

コストと時間をかけて注文住宅にするのには、その理由を理解したいところです。ここであらためて、注文住宅のメリットの詳細を見ましょう。

デザインの自由度が高い

近年では建築の技術や性能がアップして、デザインや仕様などはたくさんの選択肢が出てきています。せっかく家を持つのであれば、時代に即した最新のデザインや仕様を自分の好みに組み合わせて実現したいところでしょう。

事前に下調べや勉強は必要となりますが、それは楽しい時間となります。家を買うことが決まって、既存の住宅のデザインやインテリアを見始めると、とても多くの魅力的な意匠の家が存在することが分かります。

セミオーダーや規格住宅であっても、好みのデザインや間取りを選ぶ選択肢があれば、満足度には違いが出ます。

建設中の現場を見られる

建売住宅と異なり、注文住宅では設計後に着工するため、建築中の時間を要します。

設計の意図が建築の現場で違った解釈をされていたり、思い通りの仕様と異なっていたりする場合も、ないわけではありません。

注文住宅は建築中の様子を最初から確認できることで、想定したものと異なる場合は、修正や変更を依頼してみましょう。

修正内容によっては追加の費用が発生する場合もありますが、建築中の修正は建売住宅ではできない依頼です。

現場に行くときはメーカーの方に同行してもらい、作業の妨げや危険にならないよう配慮してもらいます。暑い時期には飲み物など、差し入れを持参するのもよいでしょう。

理想を追うことができる

また、家族それぞれに住まいに対するニーズは異なるもので、たとえば「リビングの居心地」「キッチンへのこだわり」「家族に使い勝手のよい間取り」「ムダを省きたい」などはそれぞれです。

注文住宅は基本的にゼロから住宅プランを作るため、家族の理想を反映しやすくなります。

また、ハウスメーカー・工務店それぞれが持つ強みや特徴を分かれば、自分の理想を強みとしているハウスメーカー・工務店を選ぶこともできるでしょう。

施工業者ごとに注文住宅のイメージがしやすい意匠のプランを用意されている場合も多いです。プロの建築士が高機能や美観、暮らしやすさを追及したプランをベースに、そのよさを享受しながら家族の要望を活かしてもらうこともできます。

注文住宅のデメリット

注文住宅といってもよいことばかりではなく、注意するべきこともあります。それはひとことでは手間をかけるということに尽きます。事前に分かっておいて備えたり、対策をしたりするデメリットは、以下の点です。

コストが高くなりがち

注文住宅と比較すると、注文住宅にはさまざまな理由から、コストが高くなる要素があります。

まず資材や設備は、複数棟分をまとめて発注する注文住宅に比べて1棟ごとに取り寄せるため、単価が高くなります。

フルオーダー住宅の場合は建築士に希望を伝えて設計からおこなうため、独自設計の価値はあるとはいえ、設計料や人件費が加算されます。

土地に関しても、立地にこだわれば土地代は高くなるほか、地質調査や地盤改良、上下水道の引き込みなどの費用は別途施主の負担となることが多いでしょう。

こだわらない部分は汎用性の高い資材や設備を利用し、土地もすでに保有しているか、市街地中心部から少し外れた場所を選択するなどで、コストを下げることができるでしょう。

引渡しまでに時間がかかる

契約してから即入居もあり得る建売住宅に比べ、注文住宅は9カ月から1年の期間を要します。

まず初期面談から契約までに1~2カ月をかけて打ち合わせをおこないます。着工後も工法によりますが上棟から竣工まで45~90日程度かかります。

さらに土地探しから始める場合、気に入った土地を決めるまでに半年以上かかることもあるでしょう。

このほか、土地の取得やそれに伴う費用の支払いなど、契約までの工程が複雑で時間と手間を要します。資金計画からローン審査も、1カ月程度必要になります。

さらに、注文住宅は完成予想をイメージしづらい点があり、パース(CGなどを使った完成予想イラスト)を依頼できる場合は、それを頼りに打ち合わせを進めます。

時間を短縮するには、セミオーダー住宅・規格住宅の検討や、仕様・こだわりを明確化します。また、専門家に相談して家族の要望やスケジュールを整理し、購入手続きの準備に関するアドバイスを受けるとよいでしょう。

打ち合わせを繰り返す必要がある

注文住宅の設計段階では、設計士に希望を伝えて図面やCGのパースなどで視覚化してもらい、検討を進めます。

予算や施工上の制約と照らし合わせながら、施主の希望を図面に反映していくために、繰り返し設計士と打ち合わせする必要があります。

また、設計図が完成したあとも、着工までに設備や資材などを選ぶ打ち合わせが続きます。

設計に入る前に、あらかじめ注文住宅の基礎知識を持つことと、こだわる点、こだわらない点を明確にしておくことが、打ち合わせの効率化につながるでしょう。

注文住宅の予算相場

注文住宅の施工の特徴は建築予算によって変化します。予算別の施工の特徴を知ることで、希望を叶えるためにどのくらいの予算が必要かを考える材料となります。

あくまで傾向の話とはなりますが、予算別に1000万円台、2000万円台、3000万円台に分けて注文住宅の特徴をそれぞれご紹介します。

注文住宅の予算と特徴

予算 依頼先 特徴
1000万円台 ローコスト~中堅ハウスメーカー シンプルなデザイン。定型の仕様が増える。部分的にカスタマイズが可能。工期は短め。
2000万円台 中堅~大手
ハウスメーカー
標準仕様に加えて、最新設備の導入が可能。デザインの自由度が上がる。
3000万円台以上 大手
ハウスメーカー
最新設備と、凝った間取りが可能に。こだわりを反映しやすくなる。

1000万円台

建築費が1000万円台の注文住宅の場合、コストを抑えることでシンプルな外観となります。土地の形との兼ね合いを調節するのは難しく、外壁の表面積を抑えるため、正方形や長方形といったシンプルな形が基本です。

外観がシンプルなのがよくないわけではなく、むしろ風水上は理想とされており、最近のシンプルモダンという流行にも合致しています。

シンプルな家の形状を意識して、土地の形を選ぶ点はポイントとなるでしょう。

外壁もレンガやタイルなどを使わずすっきりとシンプルな外見になります。屋根も片流れ屋根が多く、屋根や壁は資材の色の組み合わせをアクセントにします。

1000万円台などの予算の高くない施工は、土地に予算を割きたい場合や、こだわりの点以外の出費を安く抑えたい人は検討してみましょう。

2000万円台

2000万円台の予算があれば、採光や通風をよくするために、間取りに窓やバルコニーを多く設けたり、外壁をタイルにしたりするなど高級感を付加するのもよいでしょう。

その他、快適な暮らしや安全性のために、耐震、気密、断熱などの住宅性能に予算を投入することもできます。

内装などでもここぞという箇所に、部分的にこだわりの資材や仕様を取り入れることも可能でしょう。立地、建物、支払いともに満足のいく家作りを目指した予算2000万円台の家作りは、施主の方のセンスの発揮しどころです。

3000万円台

注文住宅の建築費は全国平均で3000万円台の前半なので、3000万円台の予算ラインなら妥協や無理のない家作りがしやすく、希望の多くを実現しやすくなるでしょう。

床暖房や質のよいフローリング、吹き抜けやスキップフロアなどのインテリアの選択肢も増えるほか、防犯対策の塀や柵など、外構の予算もとることができるでしょう。

快適な暮らしデザインにこだわりたい場合、3000万円台の予算がおすすめです。

年収別の予算や、費用の内訳など注文受託の予算の詳細は、以下の記事をご参照ください。

注文住宅の予算相場は?坪数、年収別で解説!予算別のイメージも|住宅展示場のハウジングステージ

注文住宅で後悔しないためのポイント

ここまでにも注文住宅の注意点や対策などをご説明してきましたが、施工業者を決定する前にできる、注文住宅で後悔しないためのポイントをご紹介します。

希望をなるべく具体化する

家作りで「こんなはずではなかった」という点は、はっきりと意見がいえなかった場合もあるでしょう。しかし基本的には施主の意図をよく理解できないままに設計や打ち合わせが進んだ結果であることが多いです。

最初は思いついた点からでよいので、こうしたいという点と、その理由を以下の例のように書き出していきましょう。

場所 希望 理由
リビング 子どもの宿題スペースがほしい。 コミュニケーションのため。
リビング階段にしない。 音やにおいを2階に上げない。

また、施工業者との打ち合せの前に、どのような家にしたいかを家族全員で話し合って意見をまとめておきましょう。

たとえば外観の雰囲気やリビングの大きさ、リビングでどんなことがしたいか、フローリングや壁の色なども、家族の意見を紙に書き出し、リスト化しておくことで、設計や施工のスタッフに伝えやすくなります。

この希望にさらに第2希望や優先順位を作っておくと、予算オーバーの可能性があるときにも、話が進めやすくなります。

理想に近い間取りや画像を探す

希望の外観デザインや内装に近い写真や、希望に近い間取りを準備して、「このデザインでこの色」「ここにひと部屋足して」など、具体的な打ち合わせのツールにしましょう。

希望の方向性がはっきり伝わり、思い描く線に沿った注文住宅に仕上げられます。

インターネットの画像検索や、建築雑誌の記事などで、希望に近いデザインや設備を探して、資料として準備しましょう。ハウスメーカーからカタログを取り寄せるのもおすすめです。

集めた資料をもとに、家族で話してみるのもよいでしょう。

住宅のプロにアドバイスを受ける

注文住宅は自由度が高い分、選択すること、決める点がとてもたくさんあります。注文住宅を作っていくうえで、初めての方はおもに以下の点で悩むのではないでしょうか。

  • ● 資金計画や予算決め、必要経費
  • ● 建築の基礎知識
  • ● こんな家がいいという要望のまとめ方
  • ● 土地やハウスメーカー探し
  • ● 不動産購入の流れ

どのような間取りや外観デザイン、設備を選べばよいか分からない場合は、ある程度家族のニーズをまとめたうえで、不動産会社や設計事務所のスタッフに相談してみましょう。

早い段階で、要望と専門知識のすり合わせを一度おこなってみると、以降の流れがスムーズで、ニーズを実現するためのアドバイスももらうことができるでしょう。

注文住宅を建てるまでの流れ

注文住宅で家を作ろうと決めてから、実際に入居できるようになるまでには、以下の流れをたどります。

  1. 1. 予算の検討
  2. 2. 希望条件の整理
  3. 3. ハウスメーカー・工務店選び、土地探し
  4. 4. 仮プラン作成、見積もり
  5. 5. 工事請負契約の締結
  6. 6. プランの打ち合わせ、決定
  7. 7. 着工
  8. 8. 竣工

予算の検討では、金融機関からどのくらいの借り入れを起こせるか、自己資金はいくらに設定するか、月の支払いはどのくらい可能かを内々に検討します。

検討のためには対象となる土地建物のおよその価格と、諸経費の仮説を立てる必要があるため、1.から4.は、ほぼ並行して進める感覚となります。

プランの打ち合わせが始まってからは、工期や予算の変化に注意しながら、施工会社とのコミュニケーションを密にしながら進めましょう。

まとめ

注文住宅とはどのようなものか、分譲・建売住宅との違いやメリット・デメリット、予算相場や後悔しないポイントなどをお伝えしました。

繰り返しますが、注文住宅はマンションや建売住宅、中古物件の購入に比べて、考えて決めなければならない点がとても多いです。

しかしその分、住み始めてからの住まいへの想いや満足度は、充実したものがあると思います。専門家の知恵を借りながら、希望やこだわりをうまく形にしましょう!

執筆・情報提供

滋野 陽造

保有資格:宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士。
マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産投資に従事。
実務経験をもとに、不動産の賃貸業・売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。

© Housing Stage All rights reserved.

この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

この記事をシェアする

おすすめ記事 他の記事を見る

pagetop