2025.12.23
同居・同棲で世帯主を二人にするメリット・デメリットや手続き方法を解説
友人との同居や、将来を見越した同棲などで、必要となるのが「世帯主」。住民登録から社会保障、勤務先の諸手当まで、世帯主が基礎になって進められます。
同居しながら世帯主を二人にすることで、同棲で困った問題に対処することもできる反面、不利な点も。
本記事では、同居・同棲で世帯主を二人にするメリット・デメリットや手続き方法を解説します。二人暮らしを始める方は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
同居・同棲で世帯主を二人にすることはできる?

同居・同棲の場合でも、世帯主を二人にすることは可能です。一人暮らしの世帯では、世帯主は必ず一人ですが、二人以上で暮らす場合、世帯主の資格や決め方に法律上の規定はありません。話し合いのうえでどちらかが、あるいは二人それぞれが世帯主となることも可能です。1つの住所に世帯が2つ=世帯主が二人いても、問題はありません。
世帯主を一人にするか二人にするかによって手続きの違いがあり、メリット・デメリットも大きく変わってくるため、要注意です。
何のために二人世帯にするのか、どのような点に違いが出てくるのか、以下でご説明します。
そもそも世帯主とは?
世帯とは、住居や生計を共にする人の集まり、または独立して生計を立てる単身者のことです。そして世帯主とは、世帯を代表する人のことを指し、世帯主以外の同居者は、世帯員と呼ばれます。
その世帯の生計を主に担っている人=収入の多い人を世帯主とすることが多いのですが、それは法的にはっきり決められたことではありません。
「生計を一にする」とは、どういう意味なのでしょうか。日常生活の財産を共にする=生活費を1つの財布でまかなっているというというのが定義になります。例えば現在戸籍上他人同士で、二人共収入があっても、生活費を出し合っていれば同一生計です。
逆に、血縁関係があっても、生活空間を分け、住居費をそれぞれが負担して「別生計」ということもできます。
世帯主は、社会保険や納税、選挙、国勢調査など、行政上のさまざまな手続きの窓口といった役割を持つことに。
1つの世帯に世帯主は一人だけなので、二人の世帯主がいる場合は、同居していても別世帯の扱いです。独立した収入や生計を持っていれば、別々に世帯主となっていることのメリットもあります。
世帯主の条件と一般的な決め方
住民票など、公的な証明書や年末調整ほか、さまざまなシーンの書類記入で、世帯主を書くことがひんぱんに出てきます。曖昧なままにしておくと、自分たちが混乱してしまうことにもなるので、同棲をスタートする前に、世帯主を決めておきましょう。
前述のように、カップルのそれぞれが世帯主として住民登録(住民票を分ける)ことができます。また、どちらか一人が世帯主となり、片方を同居人=世帯員として登録することもOKです。
友人同士の同居でも同じことが可能で、同じ住所に住んでいる=世帯が同じということにはなりません。
同棲カップルが入籍して夫婦となった場合は、夫婦どちらかが世帯主の1世帯となるのが一般的ですが、生計が別な場合などでは、別世帯を継続することも可能です。

同居・同棲で世帯主を二人にするメリット

世帯主を分けておくことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。自分たちにとってどちらが合っているのか、考える参考にしてください。
手当や補助を個別に受けられる可能性がある
生計を1つにした世帯では収入が多くて受けられない補助や手当は、別生計の別世帯にしていると、対象にできる可能性があります。
自治体による住宅補助や医療費の助成、勤務先の家賃補助などは、個人の収入や世帯構成で判断されることが多いため、手当を受けやすくなる可能性があるのです。
しかし、住宅手当(家賃補助)を受ける場合、対象者となるのは1物件につき一人となります。世帯主が二人だからといって、どちらも手当の対象とするのはルール違反です。
プライバシーを守ることができる
会社員の場合、年末調整や福利厚生のサービスを受ける際に、世帯主を記入したり、住民票を提出したりすることがあります。
世帯を分けておけば、これらの際に、会社に同棲の事実を知られることはなく、プライバシーを守ることが可能です。ただし、同じ会社で働いている場合は、住所変更で同じ住所になってしまうため、工夫が必要でしょう。
同居・同棲を解消する際の手続きがシンプル
同居や同棲を開始したからといって、お互いの様子をよく知ってから、将来のことを決めたいと考えるケースも多いでしょう。
別世帯にしておけば、もしも別れて別居ということになっても、「世帯分離」の手続きをすることなく、引っ越す人が転出・転入の手続きだけをすれば良いです。
また、別世帯であれば、銀行口座や携帯電話の契約も、世帯ごと別々に行えるため、お互い収入や契約情報を知られることなく暮らせます。
同居・同棲で世帯主を二人にするデメリット

世帯主二人は、便利な面以外に、注意したほうがいい点もあります。主なデメリットをご紹介します。
住宅手当(家賃補助)の二重取りのリスクがある
前述のように、家賃補助は一人が原則です。同住所で二人が申請すると、二重取りとみなされて、返還を要求されることも。
申請の際には、勤務先の福利厚生規定をよく確認しておきましょう。
世帯主を一人にする場合でも、住宅手当の制度があるほうの会社、あるいは支給額の多いほうの会社に勤務する人が賃貸借契約を結び、住民票の世帯主になるのが良いでしょう。
基本的に扶養には入れない
同棲カップルが全く扶養控除を利用できないわけではありません。配偶者控除は、基本は婚姻関係を基礎にして行われますが、社会保険で「事実婚」と認められれば、結婚前提でも扶養に入れる可能性があるのです。
世帯主二人の場合、それができなくなるため、どちらかを世帯主にして住民票で「未届の夫/妻」として登録する形にします。
あとは被扶養者が一定の条件(収入が扶養の範囲内に収まるなど)に当てはまれば、健康保険や国民年金などの保険料の負担なしで、社会保険の保障を受けることが可能です。
手続き方法は、年金事務所に被扶養者異動届のほか、戸籍謄本や住民票などの添付書類を提出して申請します。
同居・同棲で世帯主を二人にする場合の手続き

同居・同棲で世帯主を二人にする方法は、とても簡単です。自治体の役所に転入届・住民異動届などを出す際に、それぞれが自分を世帯主として登録すればOK。
この際に必要となる書類は、本人確認書類、前の住所からの転出証明書(同自治体内の異動は転居届)のほか印鑑、賃貸借契約書など住所を証明できる書類などです。
管轄する自治体によってルールが違う場合があるため、事前に役所で確認しておきましょう。役所への届け出は、原則引っ越しから14日以内です。
郵便や宅配のポスト、表札なども名前を出す場合は、二人分を掲示することになります。
既に同じ世帯に入っている場合の「世帯分離」について
現在同じ世帯の構成員になっている場合は、世帯分離届を提出して、世帯を別にしましょう。
なお、世帯分離は同居の親など高齢者が、要介護状態で施設入りとなった際に、自宅住所はそのままで生計を分け、収入基準を変更して適正な補助を受けるなどの際にも行うことがあります。
同居・同棲で世帯主を二人にする際の注意点

同居・同棲で世帯主を二人にする際には、前述のように住宅手当(家賃補助)の二重取りには注意しましょう。通常の形で一人分の住宅手当を受給している世帯に対して不公平=不正となるためです。
また、世帯の単位で税金や保険料(例: 国民健康保険料、介護保険料)合算されていた場合、世帯分離によって負担が増える可能性があります。事前に役所の担当部署に相談・試算をしてもらいましょう。
結婚後も住民票が別々の世帯のままになっていると、行政サービスや税金の申告などで、不便が生じることも。世帯合併の予定であれば、婚姻届の提出後14日以内に、世帯変更届を提出するようにしましょう。
なお、このほか結婚後別世帯の場合、住宅ローンをペアローンで組む際に、その理由を問われたり、審査が厳しくなったりすることがあります。住宅ローンは1世帯につき1つの契約が原則であるためです。
同棲・同居に向けたチェックリスト
| 物件決め前 |
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|---|---|
| 物件決め後 |
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| 引っ越し |
|
| 入居後 |
|
同居・同棲から結婚する場合の「世帯合併」について

世帯合併は、同住所・2世帯であったものを1つの世帯に合併することです。
婚姻届を提出したら、14日以内に世帯変更届を提出して世帯合併を行いましょう。入籍したら、それで自動的に世帯合併がされることはありません。手続きを忘れないようにしましょう。

関連記事:
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まとめ

同居・同棲で世帯主を二人にするメリット・デメリットや手続き方法を解説しました。
二人暮らしを始める際には、さまざまな手続きや準備が必要で、楽しみな反面気が重い点も。
しかし、「何事も始めが肝心」というように、ここで丁寧に二人暮らしのことを考えて、どのようにするかを決めると、ストレスの少ない同居を始められるだけでなく、将来のことを考える布石となります。
住まいや暮らしについてはどんなこだわりがあるか?お金の管理はどうしたらいいか?スムーズに夫婦に移行する方法は?など、世帯主の選択を通じて、考えることは多いです。
良い二人暮らしのために、よく話し合いをしましょう!
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