2026.03.30
インナーバルコニーは固定資産税がかかる?発生条件やメリット、デメリットを解説
気軽に外気に触れ、屋外リビングのようなくつろぎを得られるインナーバルコニーは、ほかにも子どもの遊び場など、住まいの日常に豊かさを足してくれる場として人気となってきました。
しかし普及途上の新しい仕様は、デメリットに対する不安も伴うもの。建築費や維持費、固定資産税は?つくっても利用しないのでは?など、気になる点もあります。
本記事では、インナーバルコニーには固定資産税がかかるのか、発生条件やメリット、デメリットなどを解説しますので、家づくりの参考にしてください。
INDEX
そもそもインナーバルコニーとは?

インナーバルコニーとは、住宅の2階部分に設けるバルコニーを、建物の内側に取り込んだ形のスペースです。この項ではインナーバルコニーの特徴について広さや、ベランダなど似た設備との違いを確認してください。
インナーバルコニーの広さの目安
通常のバルコニーで、物干しやエアコンの室外機設置などに利用するスペースは、奥行きが1m程度です。
インナーバルコニーの場合、椅子やテーブルを置いて、何人かでくつろぐアウトドア空間に利用することを想定すると、奥行きは2m程度が必要となります。
奥行きを設けることで、屋外でも天候の影響を受けにくくなり、スペースの用途が広がるのです。
インナーバルコニーとバルコニー、ベランダ、サンルームの違い
まず、インナーバルコニーとほかの仕様の最大の違いとして、バルコニーやベランダ、テラスは建物の外に張り出した構造となっています。したがって、基本的に壁面を持ちません。
バルコニーは、基本的に屋根のない広めのスペース。ベランダは、2階以上に設けられた屋根があるスペースです。テラスは、1階の部屋に設けられた屋根のないスペースをいいます。
サンルームとは、洗濯物干しや屋内ガーデニングのために、屋外から日光を取り込みやすい設計にした空間で、おもに1階に設けられることが多いです。居室に準じた床の仕様であるため、水栓や排水口を備えて床に水を流すような構造にはなっていません。

インナーバルコニーを設置するメリット

インナーバルコニーのメリットは、空間としての快適性のほかにも多数あります。
①開放感を演出できる
外気に触れる面積が広く、採光も大きいインナーバルコニーは、開放感にあふれています。2階にリビングを設けてインナーバルコニーを併設させる場合は、1階におけるアウトドアリビングのような明るく広々とした感覚を常に味わうことが可能です。
また、バルコニーとして給排水をつくれば、洗濯家事やガーデニングなどの機能も持たせることも可能でしょう。緑に囲まれるインナーバルコニーも魅力的です。
②雨の日でも洗濯を干すことができる
屋根・壁を備えるインナーバルコニーはベランダや通常のバルコニーに比べて、洗濯物干しに向いています。
雨の日などでも、天候に左右されずに洗濯物を外気に当て、風通しできる点はありがたいです。2mほどの奥行きがあれば、強い雨でない限りは、降り込みを避けることができます。
③人目を気にしなくていい
周囲の環境にもよりますが、インナーバルコニーは、視線を避けやすい2階につくる上に建物内側につくるため、プライバシーの確保もしやすくなります。人目を気にせずに、バーベキューや気軽なアウトドア活動が可能です。焚き火は難しいものの、炭火の使用はできるでしょう。
例えばつくる場所が庭に面していれば、プライバシー的に有利です。また、設けるのが家の南側であれば、隣接住戸からは北側となるため、お隣の目に触れる確率は低くなります。
④お子様の遊び場にもなる
家族みんなで楽しむだけでなく、第2子ども部屋のような用途も考えられるでしょう。外気や日光に触れることは、身体の成長や自律神経の安定に必要な要素といわれます。
ゲーム機やスマホのブルーライトによるリスク=意欲・学力・体力の低下、精神不安定などを防いでくれる効果も期待できそうです。外遊びに近いフィジカルな遊びができると、より効果的でしょう。
インナーバルコニーを設置するデメリット

ここまでの利点の反面、インナーバルコニーには、どんなデメリットがあるのでしょうか。居室とみなされる分、「そのスペースをインナーバルコニーに割いて大丈夫?」という点に尽きるといえます。
①他の部屋が狭くなってしまう
インナーバルコニーは建物内部に組み込まれた屋根付きスペースであり、原則として建築面積(建ぺい率)と床面積(容積率)の両方に算入されます。
したがって、限られた建坪のなかで必要なスペースを割り振っていく際に、ほかの部屋の面積確保に影響が出る可能性があるのです。
インナーバルコニーは常時人が暮らす空間ではありません。そこを誰かの部屋にはできないことになります。
また、つくる上で柱や壁を必要とするため、ほかの部屋の間取りとの兼ね合いについて、検討の必要が出ることもあるでしょう。
②固定資産税が発生してしまう
構造によっては、建物の一部として壁や柱で囲まれた屋内の空間とみなされ、固定資産税の対象にもなります。より快適な空間をつくるほど、課税対象になりやすいのです。
課税対象となる基準は後述しますが、自治体によって多少基準が異なるため、確認が必要となることがあります。
③建築費用・メンテナンス費用がかかってしまう
インナーバルコニーは屋根や外壁、柱などを持ち、床には居室のような断熱材や防水の加工が必要となります。一般的なバルコニーと比較すれば、建築費用は高くなるでしょう。
また、半屋外のインナーバルコニーは、落ち葉やほこりなどが蓄積し、外気にもさらされる分、日々の掃除や再塗装などの手入れが必要となります。10~15年に一度は床の再防水などのメンテナンス工事も事前に計画しましょう。
④隣接する部屋の採光を妨げる可能性も
2階の間取りプランで生じやすい問題として、奥行きの深いインナーバルコニーに隣接する居室は、日当たりが届きにくくなる可能性があります。
窓の配置を工夫したり、トップライト=天窓をつくったりするなどの対策をしましょう。子ども部屋とつなげて、1階の場合のアウトドアリビングのような構造も、いいかもしれません。
インナーバルコニーの費用相場

インナーバルコニーを設置する際における一般的な費用の相場は、広さや使用する建材などによっても変動しますが、坪単価で30~50万円程度が主流です。
インナーバルコニーの平均的な広さには2畳(約3.3㎡=1坪)程度が多いため、その場合30~50万円が施工費用となるでしょう。
インナーバルコニーの設置費用を抑える方法は?

この項では、インナーバルコニーの施工費用を抑える方法をお伝えします。素材選びや仕様の簡素化などを参考にしてください。
①屋根の素材選び
インナーバルコニー部分の屋根材を工夫しましょう。ほかの2階部分と同じにすることも可能ですが、高価となります。ポリカーボネート・アルミ・樹脂板などを使用することで、価格を抑えることが可能です。
②屋根や窓の仕様の簡素化
屋根については加工なしで既成品が使えると、工賃込みで費用を抑えることができます。既成品のサンルームのような素材を用いると、やや高級感には欠ける仕様となるものの、明るく、開放感に優れたスペースとなるでしょう。
③広さの最小限化
不必要に広くしないことでも、材料や施工の費用は抑えることができます。ただし、広さに後悔の出ないよう、インナーバルコニーに想定する用途に合わせて、実際に椅子やテーブルなどを配置した計算をしておくと良いでしょう。
④複数社への見積もり依頼
施工の依頼先によって、コストパフォーマンスには違いが出ます。家全体の設計先選定の段階で、インナーバルコニー部分も複数社から相見積もりを取り、比較してみましょう。
要点として、安いことだけが優先ではなく、どのような仕様でその値段なのか、施工例を把握し、こちらの要望もしっかり伝えた上で見積もりを依頼します。
⑤工事内容の明確化
見積もりに記載された工事内容は、細かいもののほうが信用できます。防水の処理や排水勾配付け、躯体との接合ほか、追加が発生しやすい箇所は、最初から確認しておくと、予算の膨張が回避可能です。
インナーバルコニーの設置で後悔しないためのポイント

せっかくつくったインナーバルコニーも、入居後にあまり使わないようでは、もったいないでしょう。後悔しないために、どのようなポイントに注意するかを解説します。
①動線
インナーバルコニーは2階に設けるものです。例えばリビング、子ども部屋、洗濯機などが全て階下にある場合、2階のインナーバルコニーが活用されるかが、やや心配になります。
利用上の要望に応じてセカンドリビング、子どもの遊び場、物干し場など、それぞれの動線を想定し、インナーバルコニーを自然に使いやすいかも、活用のためのポイントとなるでしょう。
②デザイン
内観・外観ともに、周りの空間における仕様から浮いて見えないことも、愛着を持てるスペースにする上でのコツです。
天井に居室と同じ素材を使ったり、壁・インテリアのテイストを合わせたりすることで、より自然な、心地よい空間となるでしょう。
③視線対策
周りの視線が気になる状況では、安心してスペースの活用ができません。お隣のベランダからの視線がある場合は、ブラインドを設置するなどで対策しましょう。ブラインドは日差しや明るさ、通風の調節も可能で、デザイン上のアクセントにもなります。
また、構造によってはルーバーやカーテンなどを設置して視線を遮る方法もあるでしょう。
④設置方角
設置する方角によって、日差しの強さ・方向や風通しの流れが違ってきます。これから暮らす立地で、よくわからない場合は建築士などからアドバイスを受けましょう。
南向きで日当たりが良いと、洗濯物は早く乾き、暖かい場所になるかわりに、紫外線・熱の強さの人への影響、建材の劣化には不利といえます。 逆に北向き、日陰になりやすい場所は、暗めで湿気がこもりやすいことから、通気・換気の工夫が大切です。
⑤活用方法
いうまでもなく、まず家族にとってどのように活用したい場かをはっきりさせることで、活用の道は広がるでしょう。以下のようなケースが考えられます。
- ● セカンドリビング
- ● ランドリースペース
- ● アウトドア空間
- ● 子どもやペットの遊び場
- ● パーソナルなくつろぎの場
- ● ガーデニングスペース
これらから複数の目的を兼ねる場合もあるでしょう。例えば物干し場とセカンドリビングを兼ねるような場合、両方の用途が両立できる機能・利用時間帯などの使用イメージがなければ、使い勝手として中途半端となるリスクもあります。
⑥固定資産税
課税については、つくりたいインナーバルコニーの仕様から、事前におおまかでも把握しておくことをおすすめします。
固定資産税が課税される条件は以下です。
● インナーバルコニーの奥行きが2m以上
● 手すりの高さが天井までの半分以上
ほとんどのインナーバルコニーがこの条件に該当するため、つくらなかった場合よりも課税額が高くなる可能性を意識しましょう。
インナーバルコニーの設置に伴う固定資産税の発生条件は?

インナーバルコニーにおける固定資産税の発生条件を、もう少し詳細にわたって見てみましょう。家屋=床面積の一部とみなされるかは、以下の要件にもよります。
屋根と三方の壁に囲まれている:居室同様に利用できるとみなし、 床面積に算入され課税対象。
壁面の二方向以上が開放されている :三方が壁でなければバルコニーやベランダとみなされ、 課税床面積に含まれない。
半分程度が壁で囲まれている :床面積に一部算入=2分の1課税などとする自治体もある。
ただし、これらの増税に対する考え方は、「インナーバルコニー部分に何もなかった、あるいは通常のバルコニーだった」場合と比較してのものです。
そこを居室とする場合、居室の面積分で固定資産税がかかることに変わりはありません。

引用:固定資産税をパパッと解説
インナーバルコニー設置に伴う固定資産税額の計算例
平均的なインナーバルコニー設置について、いくらになるのか簡単な固定資産税増額のシミュレーションをしてみましょう。
固定資産税額 = 建物評価額 × 1.4%(標準税率)
インナーバルコニーが2畳=3.3㎡で、建物評価額の単価が1坪あたり30万円の場合30万円 が建物評価額に上乗せされ、
固定資産税増加額 = 30万円 × 1.4% = 4,200円
固定資産税の年額は、インナーバルコニー分で4,200円増額することになります。
インナーバルコニーにかかる固定資産税の負担を抑えるコツ

インナーバルコニー部分が、居室と同等の扱いを受けなければ、固定資産税は課税されません。この項では、そのための方法についてご説明します。
①屋外との一体性
屋外との一体性・外気の分断性によって屋外とみなされる方法は、大きな開口部を確保する、壁を三方囲わないなどの方法です。バルコニーとしてみなされれば、固定資産税はかからないことになります。
②屋根のかけ方
屋根を完全に覆わず、一部をあと付けで可動式の日よけなどにすることで、屋外の扱いにすることができます。可動式のシェードとルーバーなどを組み合わせれば、必要に応じて日よけ・風よけにも役立つでしょう。
③設計図面上の用途
建築確認申請時の図面は、スペースの用途を定義することになります。図面上で「バルコニー」や「テラス」と明記しておき、登記上の床面積には算入しないように、設計士さんに書いてもらいましょう。「サンルーム」や「居室」と記載した場合、床面積に算入されて課税につながります。
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近年住宅の仕様や意匠は種類がとても豊富で、ひと言で「インナーバルコニー」といっても、各住宅メーカーが工夫をこらして提供するインナーバルコニーの施工は千差万別。
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まとめ

インナーバルコニーには固定資産税がかかるのか、発生条件やメリット、デメリットなどを解説しました。
1階にアウトドアリビングを設ける、中庭の植栽などで、自然とのつながりを感じる家づくりが人気です。インナーバルコニーの利用を通して、忙しい日常で忘れがちなアウトドアの良さを気軽に味わえるのは、とても魅力的といえます。
せっかくつくるインナーバルコニーなので、活用のイメージをはっきりさせておき、有効に利用するようにしましょう。
執筆・情報提供

滋野 陽造
早稲田大卒。マスコミ広報宣伝・大手メーカーのWebディレクター・不動産仲介業を経て、ライター業・不動産賃貸業に従事。実務経験をもとに住まいづくり、不動産の売却・購入、暮らしの法令などのジャンルで記事の執筆を行う。
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この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。





