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2023/04/25
住宅ローンの分割融資ができる銀行を紹介!仕組みを活用してマイホームを建てよう

分割融資とは、複数回に分けて融資が実行されるタイプの住宅ローンです。
住宅購入では土地の購入や建築の着手金など、複数回に分けて費用を支払う必要があるため自己資金を用意しておく必要があります。
しかし、貯蓄が少なく、まとまった費用を一括で支払えない方も多いでしょう。そのようなときに便利なのが分割融資です。
本記事では分割融資の仕組みや分割融資できる銀行を紹介します。住宅購入の流れがわかり、今後の資金計画を立てられるでしょう。
住宅購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
注文住宅を建てるまでの流れ

分割融資について理解するには、注文住宅購入の流れを知る必要があります。注文住宅購入の一般的な流れは以下の通りです。

土地の売買契約から建物の引き渡しまでに計5回ほどの支払いが発生します。しかし、住宅ローンは建物がないと使用できないため、融資が実行されるのは建物の引き渡し時です。
つまり、建物の引き渡しまでにかかる費用はすべて自己資金で支払わなければなりません。土地の購入費用を含めると数百万円〜数千万円になるため、自己資金で支払うのは現実的ではない方も多いでしょう。
自己資金が不足している場合は、分割融資を利用することで住宅を購入しやすくなります。
分割融資の仕組み

分割融資では、本来建物の引き渡し時に一括で実行する住宅ローンを複数回に分けて実行するため、自己資金が少ない方でも住宅を購入しやすくなります。
分割融資の具体的な流れは、以下の図を参考にしてください。

分割融資の返済は、土地の引き渡し時からスタートします。本章では、分割融資の回数や返済タイミングについて詳しく解説します。
分割融資の回数
一般的な分割融資であれば、融資を受ける回数は以下の4回です。
- ● 土地の引き渡し(土地の残代金)
- ● 建物の着工(着手金)
- ● 建物の上棟(中間金・上棟金)
- ● 建物の引き渡し(建物の残代金)
なかには分割融資の回数を3回までと定めている銀行もあるため、分割融資を受ける際は事前に回数を確認しておきましょう。
また、融資にかかる手数料も銀行によって異なります。1回分だけの場合もあれば、融資の実行回数分かかる場合もあります。
なお、分割融資を申し込むのは土地の売買契約後と建築請負契約後の二回です。土地の売買契約と建築請負契約で支払う手付金は、自己資金で支払う必要がある点に注意しましょう。費用の目安はそれぞれ売買価格・建築価格の5〜10%程度です。
分割融資を返済するタイミング
分割融資の返済は、土地の引き渡しがあったタイミングからスタートします。
その後も融資実行の都度返済が始まるため、分割融資の回数が4回の場合、ローンは合計で4本となります。
しかし、最後の融資が実行されるまでの期間は金利分のみの返済にしている銀行も多いです。土地の引き渡しから建物の引き渡しまで1年程度かかる場合もあり、元本を含めた返済にすると負担が大きくなってしまうためです。
最後の融資が実行された次の月からは、元本と金利の両方を返済していきます。
分割融資のメリット

分割融資のメリットは以下の通りです。
- ● 住宅ローンと同じ金利で借りられる
- ● 要件を満たせば住宅ローン控除が適用される
各項目について詳しく解説します。
住宅ローンと同じ金利で借りられる
分割融資は住宅ローンを分割して実行する仕組みであるため、金利は住宅ローンと同じです。
後述する「つなぎ融資」も自己資金が不足している際の選択肢の一つですが、住宅ローンではないため金利が高く設定されています。
金利を重視する場合は分割融資のほうがお得といえるでしょう。
要件を満たせば住宅ローン控除が適用される
分割融資は住宅ローンを分割したものであるため、一定要件を満たせば住宅ローン控除が適用されます。
住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が最大13年間所得税(一部住民税)から控除される制度です。住宅ローン控除は節税効果が高い制度であるため、マイホームを購入する方は活用しましょう。
分割融資を利用する際に注意すべき住宅ローン控除の要件は以下の通りです。
- ● 住宅の新築の日前2年以内にその敷地を取得すること
- ● 住宅取得後6ヶ月以内に入居し、引き続き居住していること
住宅ローン控除を受ける場合、土地を購入してからの期間や建物完成後の入居期間が定められています。新築一戸建ては土地購入と建築のタイミングが異なるため、上記の点に注意しましょう。
その他の住宅ローン控除の要件は国税庁のサイトで確認できます。
分割融資のデメリット

分割融資はメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- ● 二度の登記費用がかかる
- ● 取り扱っている金融機関が少ない
各項目について詳しく解説します。
二度の登記費用がかかる
分割融資では二度の登記費用がかかります。登記とは土地や建物に関する以下のような項目を法務局へ申請する手続きです。
- ● 所在
- ● 面積
- ● 所有者
- ● 担保の有無(抵当権等)
通常の住宅ローンでは土地と建物を合わせて登記するため、一度の登記で済みます。しかし分割融資の場合は土地と建物を分けて登記するため、登記費用を二重で支払う必要があります。
登記費用の内訳は以下の通りです。
- ● 土地の所有権移転登記
- ● 建物の所有権保存登記
- ● 抵当権設定登記
- ● 司法書士報酬
所有権移転登記や保存登記、抵当権設定登記は登記の回数に関わらず同額ですが、登記の回数が増える分司法書士報酬が増加します。依頼する司法書士によっても異なりますが、一度の登記で10万円程度の費用がかかると考えましょう。
取り扱っている金融機関が少ない
分割融資は金融機関としてもリスクが高く、取り扱っている金融機関が少ない傾向にあります。
通常の住宅ローンは建物ができてから融資を実行しますが、分割融資では建物ができる前に融資を実行するためです。
万が一建物が完成する前に契約の不履行などが発生すると、金融機関側が融資した資金を回収できない恐れがあります。
住宅ローンを組む際は、利用を検討している金融機関が分割融資を取り扱っているか確認しておきましょう。
分割融資ができる銀行

本章では分割融資ができる銀行を紹介します。
国内の主要銀行のうち、分割融資を取り扱っているのは以下の通りです。
- ● みずほ銀行
- ● りそな銀行
- ● 三井住友銀行
- ● 三井住友信託銀行
上記のうち三井住友銀行は、分割融資の回数が3回までと決められています。
なお、ネット銀行では基本的に分割融資を取り扱っていません。楽天銀行やSBI新生銀行、イオン銀行ではつなぎ融資を取り扱っています。つなぎ融資の詳細は次章で解説します。
分割融資以外の選択肢

住宅購入に充てる自己資金が不足している場合は、分割融資以外にも以下のような選択肢があります。
- ● つなぎ融資
- ● 親族からの贈与
各項目について詳しく解説します。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、土地の購入や建物の建築にかかる費用を支払うために一時的に借りる融資です。住宅ローンとは別のローンであるため、建物引き渡し時に実行される住宅ローンでつなぎ融資を一括返済します。

各融資の違いは以下の表を参考にしてください。
つなぎ融資 | 分割融資 | |
---|---|---|
仕組み | 住宅ローンとは別のローンを組む | 住宅ローンを分割して実行する |
金利 | 住宅ローンよりも高い | 住宅ローンと同じ |
登記費用 | かからない | 2回かかる |
住宅ローン控除 | 受けられない | 受けられる |
【融資期間は建物の引き渡しまで】
つなぎ融資の融資期間は建物の引き渡しまでであり、建物の引き渡し時に実行される住宅ローンで一括返済します。
ただし、つなぎ融資は「6ヶ月以内の返済」など、借入期間が定められているため、初回の借入から建物の完成までのスケジュールを組む必要があります。
銀行やハウスメーカーとも相談して、問題なく返済できるスケジュールを組みましょう。
なお、つなぎ融資を受けてから住宅ローンが実行されるまでの期間は、金利分のみ返済するのが一般的です。
【無担保で借りられる】
つなぎ融資は無担保で借りられるため、登記費用などはかかりません。しかし、銀行側としてはリスクの高い融資であることから、金利は高く設定されています。
借入期間が長引くほど返済額は多くなるため、期間を踏まえて資金計画を立てましょう。
【住宅ローン控除は利用できない】
つなぎ融資は住宅ローンとは別のローンであるため、住宅ローン控除の対象外です。建物の引き渡し時に実行される住宅ローンのみ、住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローンを分割して実行する分割融資との大きな違いであるため、注意が必要です。
【つなぎ融資のみの利用はできない】
つなぎ融資は住宅ローンとセットになっており、単体での利用はできません。
仮に住宅ローン金利が低いA銀行の商品が魅力的だとしても、つなぎ融資をB銀行で受ける場合は住宅ローンもB銀行で組む必要があります。
また、つなぎ融資を取り扱っている銀行はあまり多くないため、つなぎ融資を利用する場合は住宅ローンの選択肢が限定されると考えましょう。
銀行を選ぶ際は、つなぎ融資と住宅ローンの両方の条件を加味して選ぶ必要があります。
親族からの贈与
住宅購入のための自己資金が不足している場合は、分割融資やつなぎ融資以外にも親族からの贈与という手段があります。
2022年(令和4年)1月1日から2023年(令和5年)12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属からマイホーム購入のために受けた贈与は一定額が非課税となります。具体的な非課税額は以下の通りです。
- ● 省エネ等住宅:1,000万円
- ● 上記以外の住宅:500万円
なお、非課税で贈与を受けられるのは、住宅購入者の直系尊属からの贈与です。たとえば、夫名義で住宅を購入する場合、妻の直系尊属から受けた贈与は非課税の対象外となる点に注意しましょう。
また、贈与を受けた翌年には贈与税の申告が必要です。非課税の範囲内であっても申告をしなければ非課税扱いにならないため、忘れずに申告しましょう。
まとめ
本記事では分割融資の仕組みや取り扱っている銀行を紹介しました。
分割融資とは住宅ローンを分割して実行する融資です。分割融資を利用すると、住宅購入のための自己資金が不足している方でも住宅を購入できます。
しかし「二度の登記費用がかかる」「取り扱っている金融機関が少ない」などのデメリットもあります。
住宅購入時に自己資金が不足している場合は、つなぎ融資や親族からの贈与という手段もあるため、自分に合った方法を考えてみましょう。
執筆・情報提供
岡﨑渉(おかざきわたる)

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