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住宅のマネーと制度

2022.12.15

2023年度税制改正大綱が発表~贈与税・相続税制度の見直しで住宅購入資金の支援方法が変わる!?~

シリーズ:税制改正大綱

2022年12月、与党は2023年度の税制改正大綱を発表しました。住宅分野については、業界団体(住宅生産団体連合会など)が要望していた買取再販や空き家の抑制に関する特例措置の延長などが認められることとなりました。
住宅ローン減税制度の大幅な変更があった22年度と比較すると、その内容は小粒なものばかりという印象を受けるかもしれません。しかし、これから住宅を検討、取得する人にとってみれば、「打ち切られたら困るもの」ばかり。状況次第では「お得な制度」となるでしょう。
それでは、2023年度の税制改正大綱のうち、住宅取得に関連する項目を中心にみていきましょう。

INDEX

2023年税制の大枠

税制改正大綱とは、刻々と変化する社会情勢に応じて、税金を徴収する制度を新たに創設したり、税率を調整するなど既存の制度を見直したりするものです。内容は、各省庁が財務省に要望したものを基に、与党の税制調査会が中心となってまとめています。毎年、12月中旬頃に発表されるのが慣例となっています。

2023年度の税制改正大綱では、個人金融資産や企業の内部留保、地域の観光資源などのポテンシャルを最大限引き出すとの名目のもと、「NISAの拡充」や「エコカー減税制度の見直し」などが柱となったようです。

一方、住宅関係では、優良住宅地の造成のための土地の長期譲渡所得課税の特例延長や、土地の所有権移転登記にかかる登録免許税の特例延長、事業用資産の買い替え特例延長などが盛り込まれました。

長期譲渡所得課税については、22年12月末までとなっていた適用期限が3年間延長され、25年12月末までとなりました。また、長期譲渡所得のうち2千万円以下の部分にかかる税率については、所得税は15%から10%に、個人住民税は5%を4%となります。

土地の所有権移転登記にかかる特例措置も、期限が3年間延長されました。登録免許税は所有権移転登記で2%から1.5%に、信託登記で0.4%から0.3%となります。税負担を低減することで土地流動化を促すことが目的のようです。

また、災害により住宅や家財などに損失が発生した場合の雑損控除の繰越控除期間が3年間から5年間へ延長となっています。

住宅ローン減税制度

これらの各種特例の期限延長が、今年の国会で可決されれば、税制に関連した住宅取得環境は「ほぼ現状維持」と言えるでしょう。もちろん、2022年度の税制改正で見直された「住宅ローン減税」も活用できます。そこで、住宅ローン減税制度の内容についても確認しておきましょう。

住宅ローン減税は、年末のローン残高から定められた割合を所得税から控除できるという住宅購入検討者にとっては見逃せない制度となっています。控除率は一律0.7%、控除期間は13年(新築の場合。既存住宅の取得は10年)です。

控除対象の借入限度額は最大5千万円。23年末までの入居を条件に、通常は3千万円の控除に対して、省エネ基準適合住宅は4千万円まで、ZEH水準の省エネ住宅は4500万円、さらに長期優良住宅または低炭素住宅の認定を受けた住宅では5千万円へと控除額が引き上げられます。

ただし、入居時期が2024年以降2025年末までの入居になると、控除対象の借入限度額が引き下げられてしまいますので、入居時期に注意する必要があるでしょう。このほか所得要件や床面積要件などの細かい条件があるものの、「住宅ローン減税の恩恵を最大限に活用したい」と考えている人は、早めの住宅取得を検討したほうがよさそうですね。

住宅購入資金贈与の非課税枠

このほか、住宅を取得する際に、父母や祖父母などから資金援助を受ける際、一定額までの贈与であれば、贈与税が非課税となる制度もあります。

非課税限度額は住宅の性能によって差があり、断熱性能や耐震性が高い住宅やバリアフリー仕様の「省エネ等住宅」は1千万円、それ以外の住宅は500万円となっています。

この省エネ等住宅とは、住宅性能表示制度の①断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上――のいずれかに適合することが条件となっています。

また、資金援助を受ける人が18歳以上であることや、所得金額が2千万円以下(住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1千万円以下。)であること――などの要件を満たす必要もあります。

適用期限は2023年12月31日までの贈与となっています。なお、2023年度税制改正大綱の「贈与税の非課税措置」に関する説明では、「資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっており、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、不断の見直しを行っていく必要がある」との文章が書き込まれていました。住宅購入資金贈与の非課税措置もいずれは制度変更の対象となりそうです。こちらの制度も活用を希望しているのであれば、贈与時期に注意しましょう。

暦年贈与で相続税対策

このほか、親からの資金援助を予定している人は、「暦年課税」の110万円の基礎控除を活用するという節税方法もあります。

暦年課税とは贈与税の課税方法のひとつで、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に贈与した総額に応じて課税率が決まります。ただし、暦年課税には110万円の基礎控除額が設定されており、毎年110万円までの贈与であれば税金がかからず、非課税で財産を贈与することができるのです。

この制度を利用すると、例えば、5年間で550万円、10年間では1100万円といった贈与が非課税で行えることになります。

ただし、2023年度の税制改正では相続税の対象とみなされる期間が延長されました。これまでは、贈与者が死亡した日から3年間を遡った期間の贈与を相続財産として加算していたのですが、この期間が7年間と延長されました。制度変更について、税制大綱では相続税対策のための駆け込み贈与を防ぐことと、より早期に親から子や孫への資産移転を促す狙いがあるとしています。

相続時精算課税制度の見直し

親などからの資金援助については、2023年度からは贈与税のもうひとつの課税方法「相続時精算課税制度」の使い勝手が改善されるようです。

贈与税は、暦年課税と相続時精算課税制度のどちらか一方を選択する必要があります。相続時精算課税制度を選択した場合の特別控除額の限度は2500万円。ただし、父母や祖父母などの贈与者が亡くなった際、相続財産の価格にそれまでに贈与した財産の価格を加算して相続税額を計算するというルールがあります。

ふたつの課税方式は、一度選ぶと変更することができないので注意が必要です。住宅購入など、一度に多額の資金が必要になる場合は、暦年課税の110万円の基礎控除よりも相続時精算課税制度を選んだ方が良いケースもあります。ただし、これまでは相続時精算課税制度に暦年課税のような節税効果はありませんでした。

そこで2023年度税制改正大綱では、「相続時精算課税の使い勝手の向上」を目的に、制度変更が盛り込まれました。具体的には、相続時精算課税にも暦年課税と同水準の基礎控除(110万円)を創設するというものです。さらに、贈与者が亡くなった際に相続財産に加算する贈与財産は、基礎控除した後の残高となるようにしました。

これで、暦年課税と相続時精算課税制度のどちらを選んでも、一定の節税効果が得られるようになります。どちらの制度を使った方がよりお得になるのかは、税の専門家によるアドバイスをもらったほうがよいでしょう。

こどもエコすまい支援事業

住宅取得支援策については、2023年度の税制改正大綱とは異なりますが、2022年度第2次補正予算に盛り込まれた『こどもエコすまい支援事業』も注目です。若年層や子育て世帯を対象に、ZEHレベルなど省エネ性の高い住宅の取得や改修を補助金で支援するもので、補助額は1戸あたり100万円となっています。

こどもエコすまい支援事業については、次回のコラムで詳しく解説いたします。

2022年12月16日時点の情報を基にしています。

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