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2020/09/15

自宅の相続税が軽減!小規模宅地等の特例について

たとえば、自宅を相続した場合に多額の相続税が課されると、場合によっては、納税資金を確保するために、やむを得ず自宅を手放すケースが出てくることも考えられます。そうならないように、相続を機に、生活の拠点を手放すことなく継続的に居住できるよう、相続税の計算上、配慮されています。「小規模宅地等の特例」というもので、一定の要件のもと、宅地の相続税評価額について、自用地価額の80%または50%を減額できる制度です。今回、この小規模宅地等の特例の概要を見ていきたいと思います。

ポイント

  1. 特定居住用宅地の場合、特に、誰が取得するかで、適用の有無が決まります。
  2. 適用を受けるには、遺産分割が済んでいなければなりません。争続にならぬよう対策しましょう。

INDEX

小規模宅地等の特例の概要

小規模宅地等の特例は、生前、被相続人等が一般事業、不動産賃貸業、居住用等として使用していた宅地の相続税評価額を、一定の要件のもと減額することで、その宅地を相続等により取得した相続人の事業又は居住の継続性の確保に配慮した制度となります。
被相続人の、相続開始直前の建物や構築物が建っている宅地の利用状況で、大きく3パターンに区分されます。区分された宅地の種類にもとづき、減額割合が定められており、その適用要件なども変わってきます。まずは、 図1をご確認下さい。それぞれのポイントを下記にまとめてみました。

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区分 被相続人の相続開始直前の利用状況による宅地の種類 取得者要件 申告期限までの継続要件 備考 適用面積 減額割合
事業又は 居住 所有
特定事業用 事業承継親族 400㎡まで ▲80%
 ※不動産賃貸業を除く
(特定同族会社事業用)
特定居住用 1)配偶者 継続要件なし 330㎡まで ▲80%
2)同居親族
3)(別居親族)家なき子※ 所有要件のみ
貸付事業 事業承継親族 200㎡まで ▲50%

(1)小規模宅地の種類は大きく3パターン。相続開始直前の利用状況により決まります。

①特定事業用宅地等(不動産賃貸業を除く)、特定同族会社事業用宅地等
被相続人等が、飲食店などの一般事業を、個人事業主として、もしくは同族会社を設立して行っていた宅地です。なお、特定同族会社事業用宅地等の適用要件は、少し複雑なのですが、説明の便宜上、特定事業用宅地等とひとくくりにしています。

②特定居住用宅地等
被相続人等が、居住用として利用していた宅地です。

③貸付事業用宅地等
被相続人等が、不動産賃貸業(駐車場業を含む)のために利用していた宅地です。

(2)それぞれの宅地の種類に応じ、限度面積及び減額割合が決められています。

上記①と②の宅地については、自用地価額の80%が減額(①については400㎡まで、②については330㎡まで)されます。つまり、相続税評価額は自用地価額の20%相当になります。③の宅地は、自用地価額の50%が減額(200㎡まで)されます。

(3)取得者要件と申告期限までの継続要件があります。

特に、上記②の宅地の場合、小規模宅地の特例の適用を受けるには、誰が取得するかが重要になってきます。原則的には、配偶者か同居親族が取得すれば、その要件を満たしますが、例外的に、別居親族しかいないケースでも、家なき子に該当する親族が取得すれば要件を満たします。

(4)当該宅地を相続した親族は、申告期限まで保有し続け、承継した事業又は居住を継続させる必要があります(一部例外あり)。申告期限を待たずに売却等してしまうと、この特例が使えなくなるケースもありますので、ご注意下さい。

小規模宅地等の特例を利用する場合の注意点

小規模宅地等の特例が使える場合、相続税額を大きくおさえられることは、減額割合からもわかると思います(図2参照)。

図2:小規模宅地等の特例の節税効果

【計算前提】

相続財産及び相続税評価額は、自宅の土地(200㎡):1憶円(自用地)、その他財産:2,200万

項目 特定居住用宅地等
小規模宅地等の特例
適用あり 適用なし
居住用宅地 自用地 100,000 100,000
小規模宅地の特例 ①×80% -80,000 0
その他財産   22,000 22,000
課税価格 ①-②+③ 42,000 122,000
基礎控除 3千万+6百万×2名 -42,000 -42,000
課税遺産額 ④-⑤ ④≦⑤∴0 80,000
相続税額   0 12,000

相続財産の中に宅地がある場合、まずは、この小規模宅地等の特例が使えるかどうかを検討してみて下さい。検討にあたっての主な注意点は下記のとおりです。

(1)適用対象とならない宅地

小規模宅地等の特例の対象となる宅地は、被相続人等が、相続開始直前に、その宅地をどのように利用していたかで決まってきます。簡単にいうと、相続開始直前において、その宅地が、事業用や居住用のために利用されていなければ、その宅地は、特例対象から外れてしまうということです。
具体的には、別荘の敷地や空家の敷地(入院等により空家になっている場合を除く)は、対象外となります。アパート経営をされている方が、相続開始日において、空室があった場合、原則として空室相当の敷地部分のみ、小規模宅地等の特例は使えません。また、駐車場経営をされている場合、その宅地が、貸付事業用宅地となるためには、アスファルト舗装等していなければ認められません。青空駐車場では、対象外となりますのでご注意下さい。
なお、生前贈与により取得した宅地等については、特例の対象とはなりません。

(2)今後、新規に貸付事業等を始められる場合、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地は適用除外となってしまいます。少なくても3年間は貸付事業を行っていないと対象とならないため、早めの対策実行が必要となります。

(3)遺産分割、申告手続きなど

小規模宅地等の特例を適用するためには、相続税申告書を提出しなければなりません。小規模宅地等の特例を使うことで相続税額が0円となった場合でも、相続税申告書の提出は必要です。また、争続などで申告期限までに遺産分割協議が整わない場合などは、分割協議が整うまでは小規模宅地等の特例は使えません(一定の手続きが必要)。遺産分割ができていることが、適用要件になっているため、生前に、遺言書を作成するなどして、確実に遺産分割できるように対策をたてておきたいものです。
         

相続財産に宅地がある場合、まずは、小規模宅地等の特例が使えるか否かを検討することが重要です。
相続開始前に施設に入院していたケースや二世帯住宅のケース等も多いため、相続が発生する前に事前に、専門家へ確認することをお勧めします。

※本文で紹介させていただいた内容は概略となります。また、2020年8月22日時点の情報に基づいております。実際のお取引の際には、改めて詳細をご確認ください。

執筆・情報提供

利根川 裕行(税理士)

利根川税理士事務所 代表。
大学卒業後、大手会計システム関連の会社に入社し、約8年間営業に従事。
その後、税理士を目指し会計事務所に転職してから、他業種の法人業務に携わる。
都内税理士法人の資産税部責任者として、多くの資産税案件に携わったのちに、
令和元年12月に、池袋にて独立開業。
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