2025.12.23
子供の一人部屋はいつから必要?男の子・女の子の違いやポイントを解説
子供の成長に伴って、気になってくるのが子供部屋をどのようにするかでしょう。何歳ごろから一人部屋なのか、そもそも必ず必要なのか。諸説があって、決定的な答えはなさそうです。
性別やきょうだいの構成によっても、考えるべきことがあるでしょう。
そこで本記事では、子供の一人部屋はいつから必要か、男の子・女の子の違いやポイントを解説します。新居のプランや、今後のお部屋の使い方の参考にしてください。
以下は、子供部屋の必要性について調査したデータです。85%近くが「必要」と答えています。

INDEX
子供の一人部屋はいつから必要?年齢と男の子・女の子によるタイミングの違い

子供専用の一人部屋は、小学校入学をきっかけに準備して、自分専用の物の整理整頓、学習の場、一人で寝る習慣づけの場として活用する家庭が増えてきます。
逆に未就学や、中学生以上というケースは少ないという傾向ですが、各家庭でリビングやダイニングの利用状況、塾の利用状況などによって、違いが出てくるものです。
子供の居場所がほかにある場合、個室は急がないケースもあるでしょう。
以下は、子供部屋がいつくらいから必要かという意識調査です。「小学校のうちに」という意見が7割を占める結果になりました。
この項では子供の年齢別で、子供部屋を作る目的についてご説明します。

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幼児(0~2歳)
欧米など海外中心の習慣として、新しい家を作ると同時に子供部屋を準備し、幼児期から「自分の部屋」に寝かせることが多いです。
それも一つの方法ですが、日本の習慣では夜も、昼間の寝かしつけも添い寝が基本となるため、「新築と同時に準備はしておいて」使わないケースが主流となります。
日中のお昼寝は、リビングや、隣接した和室に危なくないように寝かしつけ、家事をしながらあまり物音を立てないで見守り、やる時は同じ寝床で休むというのが定番でしょう。
一人寝のメリットは、子供の自立心や自信が育つ、親子両方の睡眠の質が向上する、大人にとっては自由な時間が増えるなどです。
これとは逆の考え方で、幼児期のスキンシップが人格形成に有効というのもあります。どうせ独立するのだから、今のうちにしっかり触れ合っておこうという考え方もあります。
未就学児(3~6歳)
保育園や幼稚園への通園が始まり、社会と折り合いをつけ始めながら、家族と過ごす時間も長いのが幼児期後期です。
家族の中にいて、生活習慣や社会的なルールを身につける時期でもあり、個室で過ごす時間は少なく、必要性も低いでしょう。
しかし、この時期は物や場所に対する所有や独占の気持ちが芽生える時期です。それを利用して、個室もしくは個人用スペースに園のかばんや帽子、おもちゃなどを片付けるようにすると、自分の持ち物としての区別や、片付けの習慣を覚えていく助けになります。
小学校低学年
小学校入学や、小学校低学年のタイミングで、子供部屋を使い始めるケースが多い点は前述のとおりですが、その要因として、宿題などの勉強をし始める点があるでしょう。
専用の学習机や本棚が、宿題の意欲を高めてくれそうです。
また、自分の持ち物や服を自分の好みや考えで選ぶことで、自立心が高まる時期でもあります。その意味では、専用のチェストやクローゼットが役立つかもしれません。ただし男の子の場合でよくある、気に入ったものだけを着続ける・持ち続けるのは悩みの種です。
反面、リビングで宿題をやる子供は学力が伸びるといわれており、その根拠は以下の通りです。
- ● わからないことがあったときにはすぐに聞ける
- ● リラックスしながら学習に取り組める
- ● 親が様子を見てサポートをしやすい
- ● 集中力を鍛えられる
- ● 家族の目を意識してがんばれる
- ● 広いスペースを使って学習できる
宿題の内容について、親とコミュニケーションしながら取り組めます。リビングやダイニングの広いテーブルは、高学年以降に辞書や参考書を広げるのも好都合で、個室では集中しにくいときでも、有利かもしれません。
ただし、図書館で借りた本を読むようなときは、静かな場所のほうが集中力は高まるでしょう。
小学校高学年
思春期が近づくと、親に話したくない秘密で悩んだり、自我を持てあましたりするようになってきます。だんだん一人で考える時間、リラックスしてぼんやりする時間は、家族と一緒の空間では持ちにくくなってくるかもしれません。
塾や習い事、スポーツなどの時間が増えてくると、すき間の時間も大切になってくるものです。そのような精神状態の受け皿として、個室の必要性が高まってきます。
女の子の場合は身体の変化に心が追いつかず、早い場合は低学年のうちに、個室をありがたく感じる場合もありそうです。着替えその他を家族や男の兄弟とは別にしたいという点などは、本人から話がある前に、さり気なく確認しておきましょう。
中学生以上
中学生になると、思春期は反抗期も含んできます。人間関係の悩みや、家族とのいさかいから距離を置き、不安定な気持ちを一人で落ち着かせる場が求められてくるでしょう。
また、成績を意識する時期になると、勉強の場は個室に移ってくるケースも多くなります。長時間静かな場所は、やはり個室ということになるからでしょう。
さらに、趣味に没頭している場合、それに関連する物をディスプレイしたり保管したりすることで、自室に対する愛着を覚える良さもあるかもしれません。
もっとも、子供部屋を必要とする事情や意思は、子供自身のものです。自分の部屋があっても、リビングにいるか外出していて、自室には寄り付かない子供もいます。普段から、どんな部屋で過ごしたいかなど、話してみるのも良いでしょう。
確保できる広さとそれに合わせた用途
家造りの際は、予算や建ぺい率・容積率、ほかの居室への要望との兼ね合いで、子供部屋に使用する面積が決まってきます。
そして、家の歴史の中で子供部屋がその目的で使用される期間は、通常12〜15年程度が多いでしょう。近年では、独身で実家に暮らし続ける「子供部屋おじさん」というライフスタイルも増えていますが、その場合でも、子供部屋を使い続ける方が全てではないと考えられます。
子供が独立したあとの部屋が物置代わりになるのは、子供にとっては「思い出ミュージアム」であったとしても、暮らしのうえではあまり良くありません。
泥棒の侵入経路・害虫の繁殖場所となるほか、終活や断捨離が進まない要因となるのです。
子供の独立後の用途も意識しながら、きょうだいの人数や性別に合わせて、子供部屋の使い方を検討しましょう。以下に、広さ別で可能な使い方、置ける物をまとめました。
| 広さ | 用途 | 置ける物 |
|---|---|---|
| 3畳 |
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| 4畳 |
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| 5畳 |
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| 6畳 |
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| 8畳 |
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一人部屋を作るメリット

ここであらためて、一人部屋のメリットをまとめてみましょう。
子供の自立心を育てられる
常にそばにいることで、つい世話を焼きたくなるのが親心ですが、自分で考え、必要なことを選択したり、失敗を反省したりするためには、一人でする行動が必要となります。
個室によって親の過干渉を避け、距離を取ることで、自立心によって行動する力が育つでしょう。
子供の意思を尊重し、自分が決めたことに責任を持たせることで、他人に頼らない自主性も芽生えてきます。一人部屋は意思決定や反省の場として活用させましょう。
自己管理能力が鍛えられる
「部屋は心の中をあらわす」といいます。目の前にあるのが自分の場所、自分の物であると自覚することで、自己管理能力の成長に役立てましょう。
早い段階から、自分の物は自分で片付け、気に入った気持ちの良い場所にする楽しさを知ってほしいものです。すぐには難しいかもしれませんが、経験値を積み、自室の管理を続けていくうちに、汚れや散らかりが嫌だという感覚がつかめるでしょう。
また、一人部屋で自分の持ち物に向き合うことで「これはお気に入り」「これは1年間全く使わなかった」「これは自分が壊してしまった。ないと困る」などがわかるものです。
子供のプライベートを尊重することができる
一人になったり、友達を呼んで一緒に過ごしたり、親の目を気にしないで過ごせる時間も貴重です。何でも親に筒抜けの状態では息が詰まり、家が自分の居場所と感じにくくなるときもあるでしょう。
そのような場所として、一人部屋が機能する時期もあります。
リビングなどの共有スペースが散らからなくなる
リビングが気持ちよく片付いている状態は、家族全員にとって必要なことです。その状態を体験していることで、将来子供もそれが心地良いと考えるようになってくれればとも思います。
せっかくインテリアに気を遣って作ったリビングに、子供の物が散らかっている状態では、家族のくつろぎの場所としては、もったいないでしょう。
リビングに持ち込んだ物も、就寝前に自室に戻すように心がけるよう、時間はかかっても習慣づけをしたいものです。
一人部屋を作るデメリット

一人部屋は良いことばかりとはいえません。やはり親としては心配になる要素もあるものです。
親の目が届かず子供の変化に気づきにくくなる
子供部屋にこもっている間は、何をしているのか気になり、入っていくと嫌がられる時期も。食事や入浴以外自室でばかり過ごす状況になると、子供の心境や感情の変化がわかりづらくなるものです。
ゲームやパソコンに没頭して、良くないことを覚えはしないか、ゲームの影響で感情のコントロールがしにくくなっていないか。勉強は進んでいるのか。気になってもなかなか確かめることができません。
子供の精神性はどんどん成長するので、いつの間にかゲームなどには飽きて、ほかに関心が移っているものです。親としては口出しを抑え、不安に耐えることも必要になるでしょう。
家族のコミュニケーションの機会が減ってしまう
親子の会話が減ることになるのも、気になる点です。快適な子供部屋にするのは良いことですが、それで家族が一緒に過ごす時間が減ってしまうのも問題でしょう。
リビングで過ごす時間を増やしてほしいと思うほか、引きこもりがちになって、運動不足・社会性不足になってしまうのではという心配も。
一人部屋を作る際に確認すべきポイント

前項のような一人部屋のデメリット対策として、家づくりや、一人部屋を開始する前に確認しておきたいポイントをご紹介します。
前もって子供と一緒にルールを決めておく
子供部屋の運用開始前に、以下のようなことを子供と話し合っておき、約束として意識を共有するようにしましょう。
- ● 定期的に掃除をする
- ● 片付け・ゴミ捨ての方法で取り決めをする
- ● 通風(窓開け)や採光(カーテン開閉)の定期的な実行
- ● 親の立ち入りに関する取り決めをする
- ● ゲーム機やスマートフォンの使用時間帯を決める(使わない時間帯の保管方法)
掃除や片付けについては、やり方のサポートをします。ゲーム機やスマートフォンは依存性が高く、自室で使用しないか、自室利用の場合には、使用する時間帯を決めることがおすすめです。
一人部屋を使用してしばらく経ってからでは、守る効果が薄くなるため、最初から守るように、お部屋の使用開始前に話し合いをしましょう。
子供部屋はなるべくリビングの近くにする
玄関隣接の部屋割りで、まるで2世帯住宅のように「子供がいつの間にか出かけていて気づかなかった」というような状況は、親の保護者としての責務を果たしづらくなるでしょう。
近年見られるプランの中で、リビングの吹き抜けから、2階の子供部屋やスタディスペースに声がけができたり、様子がうかがえたりするレイアウトが人気です。
間取り上ではほかに、リビングに隣接した形の1階子供部屋も増えてきています。あるいは、リビングの中に大人と兼用のワークスペースを設けて、勉強などはそこですることも可能です。
子供のプライベートな空間に対する意識は尊重しつつ、監視ではなくふれあいをしやすくするような近さが理想でしょう。
鍵の取り付けについてはきちんと相談する
子供部屋の鍵については、「何のために必要?」というのが大方の意見ではないでしょうか。鍵をかけてそこに閉じこもることでは何も解決しないという点を、知ってほしくもあります。
とはいうものの、頭ごなしにダメということではなく「鍵がほしい」といわれたら、「大人と子供の責任能力の違い」「緊急時の対応」など、丁寧に話す必要があるでしょう。
以下は、年齢別で子供部屋を使う際に約束した・取り決めた点に関して、生の声を集めたものです。(複数回答・約束内容をセットで記載)
年齢別で約束の内容や、約束の組み合わせが少しずつ変わっていく点に注目ください。
| 年齢 | 約束・取り決め |
|---|---|
| 3歳まで |
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| 4〜6歳 |
|
| 7〜8歳 |
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| 9〜10歳 |
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| 11〜12歳 |
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| 13歳から |
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一人部屋がないことが子供に与える影響

一人部屋がないことが、ネガティブな方向に作用することも。そのような点を見越して、対応してあげると良いでしょう。
親からの干渉を避け隠し事が増えてしまう
絶えず親と一緒にいることで、かえって親の目を避けたくなることがあるかもしれません。また、反抗期に反発心がエスカレートして、口も聞かない時期がある場合も。
隠すべきでないことが共有されないのは問題です。しかし親に知られて困ることの内容が、悪いことであるとは限りません。また、親に知られたくない、干渉されたくないというのは、自立心の裏返しともいえます。
親が必要以上にあれこれ詰問したり、子供の全てを把握しようとしたりする姿勢をなくせば、一人部屋がなくとも隠し事が増えることは、避けられる部分があるでしょう。
親の目が気になりストレスを感じてしまう
親の目がストレスとなる場合、過干渉に対するような反抗ではなく、萎縮や逃避につながる場合があります。
しかしその場合、子供は頭が柔軟なので、ずっと同じ空間にいなくてはならないというストレスを軽減する方法は自分で編み出すものです。きょうだいの人数がとても多い子供などは、そういった方法に長けています。
あまり神経質にならず、親が一人や夫婦の時間を持つようにするのも、良いでしょう。
一人部屋がない場合の対処法

間取り上、あるいはポリシーとして子供部屋を個室として設けないケースもあります。そのような場合でも、子供のパーソナルなスペースを作ってあげることは、良い効果をもたらすでしょう。
以下の方法も参考にしてみてください。
共有スペースに半個室の空間を作る
リビングなどの共有スペースに作る半個室空間は、囲まれ感や特別感から、思いのほか勉強などの作業がはかどるものです。写真のようにシンプルな家具を置くだけでも、オフィスのような安心感があります。
下図の間取りのように、リビングに通じるスキップフロア=中2階に勉強等のできる個人スペースを設けて子供の物を置き、収納管理まですれば、ある意味個室よりも理想的な場所になりそうです。


家具やカーテンで空間を区切る
写真のようなシステム式の学習机は、ベッドとセットになったようなロフトベッドタイプもあり、それだけで子供用の個人スペースとなります。きょうだいがいる場合はカーテンや本棚でこれらの個人スペースに区切りをつけることで、子供は自分の居場所を感じられるでしょう。
間取り図は、リビングの家族スペースのすぐそばに設けた大人兼用のスタディコーナーです。専用窓まで持ち、入り口部分にカーテンを設ければ、ほぼ個室として機能します。


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まとめ

子供の一人部屋はいつから必要か、男の子・女の子の違いなどを解説しました。
家をどのように使っていくかは、建ててから数十年と、長いスパンで考えていくことが必要です。想定される家の将来の中で、子供が家にいる時期がどんな位置づけとなるかで、子供部屋の在り方は変わります。
たとえばほかの場所で、子供が一人の時間や自立心を育むことができれば、子供部屋の意義はミニマムとなるでしょう。中にはない方がいいという人さえいます。逆に、子供がやりたいことが何かあれば、それに合わせた場として子供部屋を考えるのも良いですね。
また、5人きょうだいのためにそれぞれの個室を準備するのは、いくらなんでも・・・ということもあるでしょう。子育てに正解はなく、与えられた環境が子供を成長させると考えれば、無理なく柔軟な対応を考えるのがおすすめです。
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総合住宅展示場ハウジングステージ編集部
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